訪問看護で説明する機会がある在宅医療廃棄物の取り扱いについて

 

訪問看護で実施することがある医療処置で出た医療廃棄物の取り扱いをご存知ですか?

 

在宅では、病院と同様に点滴や注射、カテーテルを使用した処置やドレーンの管理、経管栄養など医療処置を行います。

その際に出た在宅医療廃棄物は、正しく破棄する必要があります。

今回は、訪問看護で説明する機会がある在宅医療廃棄物の取り扱いについて解説します。

医療処置が必要な利用者さんに、適切に説明できるように確認してみてくださいね。

 

この記事でわかること

在宅医療廃棄物とは?
在宅医療廃棄物を正しく取り扱う必要性とは?
在宅医療廃棄物の取り扱いにおける訪問看護の役割とは?
在宅医療廃棄物の取り扱い
在宅医療廃棄物の種類
鋭利でないものの取り扱い
鋭利であるが安全な仕組みを持つものの取り扱い
鋭利なものの取り扱い
Q&A
まとめ

 

在宅医療廃棄物とは?

在宅医療廃棄物とは、次のようなものをいいます。

 

 

  • 医師や看護師が患者宅を訪問して行う往診や訪問診療、訪問看護に伴って発生する医療廃棄物
    • 医師の指導に基づき、患者やその家族が行う在宅医療に伴って発生する医療廃棄物

     

    在宅医療の現場では、以下の表のような医療行為が行われています。

    半数以上は自己注射であり、次いで在宅酸素や自己導尿、中心静脈栄養など訪問看護でもよく出会う医療処置が多く見られます。

     

    参考:在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会「在宅医療廃棄物の処理に関する取り組み推進のための手引き

     

     

    在宅医療廃棄物を正しく取り扱う必要性とは?

    では、なぜ在宅医療廃棄物は正しく処理する必要があるのでしょうか?

    在宅医療廃棄物の大半は、一般のゴミと一緒に各地域のゴミの収集業者が回収します。

    そのため、ゴミの収集員の方への針刺し事故や、感染予防のため在宅医療廃棄物を正しく分別し取り扱う必要があります。

    また、上記の表にあったようにインスリンなどの自己注射は日常的に実施する医療行為です。

    自宅以外の飲食店や宿泊先で実施する場合も考えられます。

    正しく破棄されなかった医療廃棄物により、公共の場所で働いている方への針刺し事故や感染を引き起こす可能性もあります。

    在宅医療廃棄物の取り扱いは、患者さんだけでなく関わる医療従事者の方も十分に理解が必要であると言えます。

     

    在宅医療廃棄物の取り扱いにおける訪問看護の役割とは?

    環境省「在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引き」によると、在宅医療廃棄物の取り扱いにおける訪問看護ステーションの役割を次のように示しています。

     

    訪問看護ステーションは、主治医の指示に基づき、看護師等が患者宅に赴き、診療の補助等を行う。

    その際に生じた廃棄物のうち鋭利なものは、患者の事故防止や良好な療養環境の確保の観点から回収することが必要であると考えられる。

    こうした廃棄物については、看護師等が患者に適切に処理できるよう指導するとともに、訪問看護ステーションでの処理の検討が望まれる。

     

    解説

    訪問看護ステーションは、高齢化対策の一環として、在宅医療の重要な担い手として制度化されたものであり、医療機関が訪問看護を行う場合と同様に、主治医に指示に基づき、看護師が患者宅に赴き、訪問看護を行う。

    この際に実施する看護業務の種類により様々な廃棄物が生じるが、こうした廃棄物については、原則的に看護師が訪問看護ステーション(医療機関で行う訪問看護の場合は医療機関)に持ち帰るか、関係医療機関へ持参し医療機関で回収することが望ましい。

    特に血液等の多量に付着した廃棄物等(患者が使用した廃棄物も含む。) は、患者の事故予防、良好な療養環境の確保の観点から回収することが必要であると考えられる。

     

     

     

    つまり、訪問看護ステーションの職員一人ひとりが感染予防や事故防止の知識を身につけ、訪問の現場で利用者さんに適切な医療廃棄物の処理方法を実施及び説明する必要があるのです。

     

     

    在宅医療廃棄物の取り扱い

     

    では、具体的な在宅医療廃棄物の取り扱いについて確認していきます。

     

    在宅医療廃棄物の種類

     

    在宅医療廃棄物は、次のように大きく3つに分類されます。

     

    鋭利でないものの取り扱い

    ビニールバッグ類

    輸液・蓄尿・ストーマ(人工肛門、人工膀胱)・CAPD・栄養剤などの各種ビニールバッグ

    輸液などの残りは排水に流し、排泄物などバッグ内の中身はトイレに破棄します。

    液漏れがないように小さいビニール袋に入れて空気を抜いて口をしっかりと縛り、一般の不燃ゴミとして他の廃棄物とともにゴミに出すことができます。

    点滴や医療物品を透明ゴミ袋に入れてゴミ出すと近隣の方の目に触れる可能性があります。

    プライバシーに配慮し、新聞紙に包んでから袋に入れると良いでしょう。

     

    チューブ・カテーテル類

     

    輸液ライン・排液ドレーン・CAPDチューブなど各種チューブ

    吸引カテーテル・導尿カテーテルなど各種カテーテル

    チューブやカテーテル類は、小さくまとめて燃えるゴミに出します。

    体液や排泄物、血液が付着している可能性がありますが、これらの血液は私たちが怪我をして出血したり鼻水をかんだりと日常生活の中でのゴミと同様に取り扱います。

    輸液ラインなどの先端に鋭利な部分や針が付属している場合には、その部分だけハサミで切り離して分別します。

     

    注射筒(針以外の部分)

     

    ペン型自己注射カートリッジ

    経管栄養などで使用するカテーテルチップシリンジ

    針のついていない注射器

     

    インスリン注射の注射筒や針のついていないシリンジは、プラスチックゴミに出してしまう事例がありますが、正しくは燃えるゴミです。

    その際に、針は必ず分別し、針付きの注射筒は一般ゴミには出さないよう注意してください。

     

    脱脂綿・ガーゼ類

     

    ガーゼ・脱脂綿・紙おむつなど

    浸出液や血液の付着したガーゼや脱脂綿は、漏れがないように小さいビニール袋に入れて空気を抜いて口をしっかりと縛り、一般の不燃ゴミとして他の廃棄物とともにゴミに出します。

    紙おむつは、汚物を除去してからビニール袋に入れて空気を抜いて口をしっかりと縛り、一般の不燃ゴミとして他の廃棄物とともにゴミに出します。

    おむつ類は新聞紙に包んで捨てると、臭いも予防できるのでおすすめです。

     

     

    鋭利であるが安全な仕組みを持つものの取り扱い

    ペン型自己注射針・血糖自己穿刺針

     

    血糖測定の際に皮膚を穿刺する針や、インスリン注射などの際に使用する注射針は、針ケースに収めるなど衛生的処理をすれば感染の危険性はほとんどありません。

    医療機関や薬局で回収してもらえます。

    針ケースに正しく収め、散逸・破損防止のためプラ容器類(ペットボトルなど蓋ができるもの)に入れて、さらにポリ袋に入れることで一般ゴミとして市区町村が回収できる地域もあります

    廃棄方法については各自治体にご確認ください。

     

     

    鋭利なものの取り扱い

    注射用針・点滴針

    往診や訪問診療の際に使用した注射用針や点滴針は、医療機関へ持ち帰っていただきます。

    また、医師の指示により訪問看護で注射や点滴を実施した場合には、原則的に訪問看護が訪問看護ステーション(医療機関で行う訪問看護の場合は医療機関)に持ち帰るか、関係医療機関へ持参し医療機関で回収することが望ましいとされています。

     

    Q&A

     

    日本医師会「在宅医療廃棄物適正処理ガイドライン」に寄せられたQ&Aを抜粋してご紹介します。

     

     

    Q

    在宅医療廃棄物は、法律ではどのように扱われているのですか?

    A

    在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上では産業廃棄物ではないので、一般廃棄物です。

    市町村に収集など処理の責務があります。

    これは、平成10年に厚生省(当時)、平成17年に環境省から、その旨の通知文書が出されております。

     

     

    Q

    交換したガーゼなど血液や体液が付いていた場合、感染の心配はないでしょうか?

    A

    感染の心配はありません,ポリ袋に入れ、縛るなど衛生的処理をすることにより、感染の可能性はなくなります。

    先のように、感染症に罹患している率は、在宅医療患者も通常の生活をしている人も同じです。

    大量に出血したりするようなことは起こりません。

    もし起きたりすれば、それは通常の生活している人も同じで、緊急の時で、救急車を呼ぶなどするような事態です。

    この点の誤解が多いです。

    血液などによるウイルス感染の起こるしくみは、傷口や粘膜から、あるいは針で刺しで一定景の血液が体内に入ることにより、感染の可能性が高くなります。

    これらが起きない限りは、皮膚などが守っており、感染は起きません。

     

     

    Q

    インスリン自己注射の針で万一、針刺し事故が起こった場合に、感染症にかかるリスクはどのぐらいありますか?

    A

    インスリン自己注射の針は非常に細く、直径0.2mm程度で長さも短くなっています。

    万一、針刺し事故が起こり、針の中に残った血液が体内に入ったとしても、針に残る血液量が、感染症がうつるのに必要な血液量に満たないために、感染症がうつるリスクは極めて低いといえます。

    ただし、感染症のリスクを回避するためには、針刺し事故が起きないようにすることが最も有効な手段です。

     

     

     

    まとめ

     

    今回は、訪問看護で説明する機会がある在宅医療廃棄物の取り扱いについて解説しました。

    在宅医療の現場では、今後ますます医療処置を必要とする患者さんの利用増加が予測されます。

    在宅で医療処置を必要とする患者さんへ看護を行う際には、今一度、在宅医療廃棄物の取り扱いについてお互いの認識に相違がないか確認してみてください。

     

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    ABOUT US
    石澤 明日香
    埼玉県在住/看護師/急性期総合病院にて6年勤務後、訪問看護ステーションで5年半勤務。令和4年9月に訪問看護ステーションアスエイドを開設、代表取締役兼管理者を務める。そのほか重度訪問介護事業所にも所属し介護士として障害を抱える方への支援や訪問看護に特化したブログ「ウチくる看護」の運営を行う。/趣味は料理とホームパーティ