Ns上妻「今月は介護サービスの利用料が高くなってしまった……」というご相談、訪問看護の現場でもよく耳にしますよね。
今回は、自己負担が一定額を超えたときに払い戻される高額介護(介護予防)サービス費について、最新の上限額とあわせて整理していきます。
介護保険で訪問看護などのサービスを利用されている方のなかには、この制度に該当する方もいらっしゃいます。
利用者さんやご家族から相談を受けたときに正しく案内できるよう、関わる専門職としておさえておきましょう。
目次
高額介護(介護予防)サービス費とは?
高額介護サービス費とは、1か月に支払った介護サービスの自己負担額の合計が負担上限額を超えたとき、超えた分があとから払い戻される制度です。要支援の方が介護予防サービスを利用した場合は「高額介護予防サービス費」という名称になりますが、仕組みは同じです。
1割〜3割の自己負担でサービスを使っていても、利用量が多い月は負担が大きくなります。その負担が一定額で頭打ちになるよう、上限を超えた分を介護保険から支給するのがこの制度です。
「世帯」と「個人」の違い
世帯……住民基本台帳上の同一世帯で、介護サービスを利用した方全員の自己負担を合計したときの上限額。
個人……介護サービスを利用したご本人だけの自己負担の上限額。
月々の負担上限額(令和3年8月から見直し)
負担上限額は前年の所得などによって区分されます。令和3年8月1日から、それまで一律44,400円(世帯)だった課税世帯が所得に応じて細分化され、93,000円・140,100円の区分が新設されました。
| 区分 | 負担上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上の65歳以上の方がいる世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円(年収約770万円)〜690万円未満の65歳以上の方がいる世帯 | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税世帯(上記以外/課税所得380万円未満) | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| ・前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 ・老齢福祉年金を受給している方 |
24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
※140,100円・93,000円の区分は、同一世帯に課税所得が一定以上の65歳以上の方がいるかどうかで判定されます。
補足:年額の上限額は廃止されています
かつて、一般区分の世帯を対象に年間の上限額(446,400円)を設ける時限措置がありましたが、令和2年(2020年)7月31日をもって終了しています。現在は上記の月額上限額のみで運用されています。
高額介護サービス費の対象とならない費用
高額介護サービス費の対象になるのは、介護保険サービスの1割〜3割の自己負担分です。同じ介護に関わる出費でも、次の費用は対象に含まれない点に注意が必要です。
⚠ 上限額の計算に含めない費用
・特定福祉用具購入費、住宅改修費の自己負担
・施設の食費・居住費(滞在費)、日常生活費、差額ベッド代など
・区分支給限度基準額を超えて利用した分(全額自己負担となる部分)
Ns上妻「先月たくさん払ったのに払い戻しが少なかった」というケースは、食費・居住費や限度額の超過分が含まれていることが多いんです。何が対象になるかを知っておくと、相談されたときに落ち着いて説明できますよ。
高額介護サービス費に該当しやすい例
高額介護サービス費に該当しやすいのは、利用者負担割合が2割・3割の方です。負担割合が高いほど、同じサービス量でも自己負担額が大きくなり、上限を超えやすくなります。
介護保険の利用者負担割合は、本人の合計所得金額と、同一世帯の65歳以上の方の年金収入+その他の合計所得金額によって、1割・2割・3割に判定されます(毎年7月に「介護保険負担割合証」が交付されます)。
📋 計算例
要介護5・負担割合3割の方が、1か月に20,000単位分のサービスを利用したケース(1単位10円で計算)。
① 自己負担額:20,000単位 × 10円 × 3割 = 60,000円
② 負担上限額が44,400円(市町村民税課税世帯)の場合
③ 払い戻し額:60,000円 − 44,400円 = 15,600円
※1単位の単価は地域区分やサービス種別により異なります(10円〜11.40円)。上記は簡略化した例です。
高額介護サービス費の申請方法と注意点
高額介護サービス費の支給を受けるには、申請が必要です。一般的には、該当した方に対して市区町村から申請書(支給申請の案内)が郵送されます。申請方法に迷っている利用者さんやご家族がいたら、関わる専門職として相談にのれるよう制度を理解しておきましょう。
📋 申請の流れ
- 負担上限額を超えた月があると、市区町村から申請書(案内)が届く
- 必要事項を記入し、振込先口座などを添えて市区町村へ申請する
- 2回目以降は、原則として初回に申請した口座へ自動的に振り込まれる(自動償還)
⚠ 申請には時効があります
高額介護サービス費の申請には2年の時効があります(サービスを利用した月の翌月1日から起算)。該当者には速やかな申請をご案内しましょう。なお、2回目以降の自動償還の取り扱いは自治体によって異なる場合があるため、お住まいの市区町村でご確認ください。
あわせて知っておきたい関連制度
医療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」や、医療保険と介護保険の自己負担を年単位で合算する「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあります。利用者さんの状況に合わせて、これらの制度も併せて案内できると安心です。
まとめ
📌 高額介護(介護予防)サービス費 ポイント
高額介護サービス費は、1か月の介護サービス自己負担が上限を超えた分を払い戻す制度です。要点を整理します。
① 負担上限額は令和3年8月に見直され、最高区分は140,100円(世帯)。
② 福祉用具購入費・住宅改修費・食費・居住費、限度額の超過分は対象外。
③ 2割・3割負担の方ほど該当しやすい。
④ 支給には申請が必要で、時効は2年。2回目以降は自動償還が原則。
利用者さんやご家族から相談を受けたとき、最新の上限額で正しく案内できるよう備えておきましょう。
参考通知・告示・Q&A
- 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(令和3年8月施行)
- 名古屋市「高額介護(介護予防)サービス費・総合事業高額サービス費」
- 江東区「介護保険 高額介護(介護予防)サービス費の支給」
※本記事は2026年5月時点で公表されている厚生労働省の通知・告示および自治体の案内を根拠に作成しています。負担上限額の区分判定など最新の運用は、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。












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