訪問看護では、利用者さんやその家族の意向と異なってしまうと、クレームを受けることがあります。
このクレームは、訪問する曜日や時間の急な変更、遅刻などの迷惑、声かけの仕方や言葉遣い、自宅での立ち振る舞いなどの接遇に対する内容が多いです。
そのため、改善対応をすることで訪問看護の利用を継続してくれることがほとんどですが、対応次第では、利用者さんやその家族との関係が良くなることも、悪くなることもあります。
今回は、訪問看護におけるクレーム対応の手順とポイントについて紹介します。
クレームに対して苦手意識を持っている看護師さんは、是非参考にしてみてください!
目次
訪問看護におけるクレーム対応の手順
訪問看護におけるクレーム対応では、不満や怒りを感じている利用者さんやその家族をなだめるために行うのではなく、生じた問題と今後の希望を聴取し、解決に向けて取り組む姿勢を示しましょう。
クレーム対応は、4つの手順で行います。
- 謝罪の言葉を述べる
- 内容を確認する
- 解決策の提示する
- お詫びと感謝を伝える
各手順におけるポイントについて以下に紹介します。
クレーム対応のポイント①
「謝罪の言葉を述べる」のポイントを紹介します。
ポイントは2つあります。
- 相手の聞き取りやすい声の大きさや高さ、スピードで話す。
謝罪は、初めに行う大事な行動ですが、相手が怒っている場合やクレームを言われて落ち込んでしまている場合では、萎縮してしまい、ぼそぼそと小声になってしまうかもしれません。
しかし、はっきりと話さない場合は、相手に対して反省の気持ちが伝わりにくくなってしまいます。
- 素直に非を認める。
怒っている時の人間は、自分自身が正しいと強く考えています。
言い訳をすると、火に油を注ぐことになりかねません。
クレーム対応のポイント②
「内容を確認する」のポイントを紹介します。
ポイントは3つあります。
- 話の腰を折らない。
「内容を確認する」段階では、相手の言い分を洗いざらい話してもらい、落ち着いてもらうことが重要になります。
話の腰を折ると気分を害してしまい、対話ができなくなる恐れがあります。
- 相手の感じている問題は複数あると想定する。
1つの問題からクレームに至ったのか、複数の問題が積み重なりクレームに至ったのかは、相手により異なります。
相手の言い分を聞く際には、「他にも、不快にさせてしまったことはありませんか?」のようなフォローアップクエッションを用いて傾聴を進めましょう。
複数の問題を耳にすることはつらいかもしれませんが、多くの人間は悪いことばかりを口にすることが難しいものです。
複数の問題を聞き出すことができれば相手が寛容になりやすいため、是非やってみてください。
- 相手に与えた精神的苦痛を明確にする。
相手は、問題によって生じた精神的苦痛を分かってくれたと感じなければ、怒りのボルテージが収まりません。
問題の内容確認をした後には、今回のクレームで「いつ」、「誰が」、「どのような事象で」、「どのような苦痛を感じたか」について学んだことを伝えましょう。
クレーム対応のポイント③
「解決策を提示する」のポイントを紹介します。
ポイントは、2つあります。
- 可能性を提示する。
「今後は、〇〇しません。」のような誓いでは、具体的な行動が相手に伝わらず、看護師や事業所に対して愛想を尽かす可能性があります。
今回の問題から学んだことを活かして、今後の訪問看護のサービス提供でどのように対応していくかを伝えましょう。
- アドバイスを求める。
今回の問題により、相手から訪問看護に対する具体的な希望を聞き出せる可能性があります。
謙虚な姿勢でアドバイスを求めてみてください。
謙虚さは、親しみやすさや伸びしろがあると相手に感じさせる効果があります。
クレーム対応のポイント④
「お詫びと感謝を伝える」のポイントを紹介します。
ポイントは、2つあります。
- 相手の感情に対してお詫びする。
内容確認で行った事象だけでなく、精神的苦痛を与えたことに対してもお詫びの言葉を伝えましょう。
例えば、遅刻に対するクレームであれば、「今回、訪問時間を大幅の遅れてしまい、来るのか来ないのか不安な気持ちにさせてしまい、申し訳ありませんでした。」のようになります。
ここでも、相手の言い分を理解している旨を伝えてください。
- この対話の機会を持てたことに感謝する。
感謝を伝えることは、解決に向けて取り組む姿勢を見せるために重要です。
クレームをくれたこと、考え方や想いを共有してくれたこと、アドバイスをくれたことなどに対して、感謝の言葉を伝えてください。
まとめ
訪問看護師は、名指しでクレームを受けることが多いです。
どんなクレームでも落ち込みます。
仕事に対する自信を失い、他の業務に支障をきたす場合もあります。
しかし、クレームをくれるということは、相手が改善を期待しているとも考えられます。
そして、クレームを受けた看護師自身は、成長のチャンスと捉えることもできます。
利用者さんやその家族からのクレーム=自分の弱さを認められると、看護師は強くなれます。
今回、紹介したクレーム対応の手順とポイントを参考にし、クレームを受けるだけでなく、解決に向けて取り組む姿勢で対応してみてください!