このようなお悩みは、在宅でのサービスでよく聞かれる内容です。
訪問看護の現場でも、同様にお茶を出してくださることがあり、どのように対応すべきなのか迷われる方も多いのではないでしょうか。
今回は訪問看護のマナーについて、ご紹介します。
訪問看護に入職したばかりの看護師さんや、事業所でのルールを統一したい管理者の方まで、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
訪問看護のマナー|お茶は断る?いただく?
訪問看護で利用者さんのお宅に伺うと、ケアを提供した帰り際にご家族に呼び止められ、「お茶を飲んで行ってください!」とお茶をご用意いただいた経験がある看護師さんは多いのではないでしょうか。
訪問看護のマナーでは、出していただいたお茶は飲むのが正解でしょうか。
もしくは断るのが正解でしょうか。
答えは後者、断るのが正解です。
これは多くの訪問サービスの事業所で言われていることだと思いますので、みなさんご存知かと思います。
では、なぜ出してくださったお茶をお断りしなければいけないのでしょう?
お茶を断るべき理由とは?
ビジネスマナーの書籍には、訪問先でのマナーとしてお茶のいただき方が記載されている物もあります。
しかし、訪問看護はそのビジネスマナーとは異なり、お茶はお出しいただかないことが望ましいです。
なぜなら、訪問看護は看護を提供するためのサービスであり、利用者さんとの契約上訪問している時間はお茶を飲む時間は含まれていないからです。
介護保険や医療保険を給付する保険者からすれば、当然のことですよね。
また、お茶をいただくことで予定外のトイレ休憩が増える、次の訪問先へのスケジュールの遅延が生じるなど、訪問看護師側のデメリットとなることもあります。
最近ですと、飲食による飛沫感染のリスクもあります。
お茶を出してくださる利用者さんの心理とは?
では、利用者さんはどのような気持ちでお茶を勧めてくださるのでしょうか。
利用者さんの中には、来客を迎えるマナーとしてお茶をお出しすることが礼儀とお考えの方がいます。
日本の素晴らしい風習ですが、訪問看護師は客人ではなく仕事で伺っていることをお伝えし、お気遣いいただかないようお願いしましょう。
ありがたいことに、訪問看護師へのケアに対し感謝する気持ちからお茶を勧めてくださる場合もあります。
また、外出の機会が減り他者との関わりが少なく、訪問看護との関わりを楽しみにしてくださる利用者さんもいます。
そういった場合とても断りづらいですが、相手が不快に思わないよう配慮したお声かけをして、お気持ちだけいただきます。
訪問看護の契約時には、「事業所の方針としてお茶やお菓子などはいただかないよう決めております。お気遣いはなさらぬよう、お願いいたします。お気持ちだけいただいております。」と事前にお伝えしておくのがいいですね。
訪問看護でのお茶の上手な断り方
「訪問看護では基本的にはお茶はいただかない!」と理解はしていても、いざお茶を出していただくとお断りするのがとても心苦しいですよね。
そこで、いくつかお茶の上手な断り方をご紹介します。
上手な断り方① ケアを充実させ、お茶の時間を作らない
当然と言えば当然ですが、与えられた訪問時間をしっかり看護やリハビリの提供を行います。
わたしは、ケアが早めに終了した時はマッサージや手足の爪の手入れ、簡単なリハビリやストレッチなどを行います。
タッチングを行いながらのお話しは、不安を和らげ思いの表出がしやすいと言われています。
終了時間には「申し訳ありません、次のご利用者様がお待ちになっていますのでお気遣いなさらないでください。」と断りやすくなります。
お茶の時間のコミュニケーションを、ケアの中でのコミュニケーションに変更することで、わたし達も罪悪感なく退室できるのではないでしょうか。
上手な断り方② 感染症の観点からマスクを取れないことをお伝えする
皆様ご存知のとおり、利用者さん宅でマスクを外すことは感染リスクを高めます。
ましてや利用者さんの前で飲食を行うことは、医療従事者として控えるべき行動です。
コロナウィルスの拡大により、訪問看護事業所でも感染者が出ている報告を耳にします。
利用者さんを感染から守る意味でも、お茶はいただかずにお気持ちだけいただきましょう。
まとめ
今回は、利用者さんがお茶を出してくださる場合の訪問看護のマナーをご紹介しました。
- 基本的にお茶は遠慮するのが訪問看護のマナー
- お茶をいただく時間よりケアを充実させましょう
- 感染の観点からも利用者さん宅での飲食はNG
利用者さんのお気持ちは、とても嬉しいものですよね。
「もてなしたい」と思っていただけるということは、あなたを歓迎してくださっているということです。
ぜひその気持ちには素直に「嬉しいです、ありがとうございます。」とお礼の気持ちをお伝えし、看護やリハビリで期待に応えていきましょう。