訪問看護は病院とは違い、1人で判断し、1人で動く場面が多い仕事です。
そのため「自分は本当に成長しているのだろうか?」「訪問看護でどんな力が身につくの?」と不安を抱く人も少なくありません。
しかし、日々の訪問の中には、自分のレベルアップを実感できる瞬間が必ず存在します。
本記事では、現役訪問看護師の経験も踏まえながら、訪問看護師として成長を感じられる瞬間を5つ紹介します。
新人の方はもちろん、訪問看護に挑戦したい方にも参考になる内容です。
目次
訪問看護師の「成長」は“できる処置”だけではない
訪問看護では、点滴や創傷ケア、吸引などの技術的なスキルだけでなく、
-
生活をみる力
-
判断力
-
コミュニケーション力
-
多職種連携
-
家族支援
-
緊急時の対応力
など、幅広い能力が求められます。
多くの訪問看護師は、こうした複数の能力が少しずつ身につくことで、ある日ふと「自分、成長したな」と実感します。
では、具体的な瞬間を紹介していきます。
成長を実感できる瞬間① 一人で訪問しても慌てずに行動できたとき
訪問看護の最も大きな特徴は「一人で行動する」ことです。
新人の頃は、
-
玄関で緊張する
-
バイタル測定の流れがぎこちない
-
観察項目が抜けやすい
-
記録に時間がかかる
など、訪問1件でもドキドキするものです。
しかし慣れてくると、
-
家に入る流れが自然
-
生活環境を見ながら必要な観察ができる
-
予定外のことが起きても対応できる
-
記録のポイントが分かり短時間で書ける
といったように、1人での訪問が“普通にできる自分”に気づきます。
これは訪問看護師にとって大きな成長のサインです。
成長を実感できる瞬間② 利用者さんの「変化」に敏感に気づけたとき
訪問看護では、利用者さんのちょっとした変化をいち早く察知する力が欠かせません。
-
食欲が少し落ちている
-
表情が普段と違う
-
言葉の反応が鈍い
-
歩行のスピードが遅い
-
むくみの程度が変わった
こうした微細な変化をキャッチし、アセスメントにつなげられたとき、訪問看護師は確実に成長しています。
特に、
「なんとなく気になるからもう一回バイタルを確認してみよう」
「家族に少し状況を聞いてみよう」
といった“勘ではなく根拠のある違和感”に気づけるようになるのは大きなステップです。
これができるようになると、早期発見・早期対応につながり、利用者さんの安全を守れる訪問看護師へ成長していきます。
成長を実感できる瞬間③ 家族支援が自然にできたとき
訪問看護の特徴の一つに「家族支援」があります。
家族は不安や悩みを抱えていることも多く、支えになる存在が必要です。
新人の頃は、家族の相談をどう受け止めればいいか迷うこともありますが、経験を積むと、
-
家族の気持ちに寄り添いながら話を聞ける
-
不安を整理して伝え返せる
-
何が必要な支援か判断できる
-
介護負担を軽くする提案ができる
など、より「家族全体を看る」視点が持てるようになります。
家族から
「あなたが来てくれると安心します」
と言われた瞬間、訪問看護師としての成長を強く実感できるでしょう。
成長を実感できる瞬間④ 他職種との連携がスムーズにできたとき
訪問看護は、ケアマネジャー、訪問リハビリ、医師、訪問介護、福祉用具事業者など、さまざまな職種と連携しながら利用者さんを支援していく仕事です。
成長を実感する瞬間として多いのは、
-
必要な情報をタイムリーに共有できた
-
ケアマネへ状態変化を的確に報告できた
-
医師への連絡内容を整理して話せた
-
リハスタッフと一緒にケアプランを考えられた
など、連携が自然にできたときです。
訪問看護師は“在宅のキーパーソン”として重要な役割を担うため、連携ができる=信頼される看護師への成長とも言えるでしょう。
成長を実感できる瞬間⑤ 利用者さんから「あなたでよかった」と言われたとき
訪問看護師にとって最も嬉しく、そして成長を実感できる瞬間です。
-
「あなたが担当で安心する」
-
「今日も来てくれてありがとう」
-
「あなたが来ると元気になるわ」
-
「あなたのアドバイスが助かってる」
こうした言葉は、訪問看護師のモチベーションを大きく引き上げてくれます。
また、定期的に訪問する中で自然と信頼関係が深まり、「この人の生活を支える存在になれた」と感じたとき、自分自身の成長を強く実感できます。
まとめ:訪問看護の成長は“日々の関わりの中”にある
訪問看護師は、病院とは違う環境で多くの力を育てることができます。
今回紹介した成長を実感する瞬間をまとめると以下の通りです。
1.一人で訪問しても慌てなくなった
2.利用者さんの変化に気づけるようになった
3.家族支援が自然にできるようになった
4.他職種連携がスムーズにできた
5.利用者さんの言葉で成長を実感できた
訪問看護の成長は、派手なものではなく、日々の小さな「できた」「気づけた」の積み重ねです。
こうした瞬間に目を向けることで、自分の成長を実感しながら、より自信を持って訪問に臨めるようになるでしょう。



















