訪問看護ステーションにおける言語聴覚士の依頼を増やす具体的な方法を解説

 

悩める看護師
せっかく言語聴覚士を雇ったのに、なかなか依頼が増えなくて困っています。

色々工夫して営業していますが、依頼に繋がりません!

 

このような悩みはありませんか?

理学療法士や作業療法士と違い、言語聴覚士は単なる挨拶回りのような営業だけでは増えません。

その背景にあるのは、訪問看護ステーションなど地域で働いている言語聴覚士はまだまだ少ないからです。

具体的にどのようなことができるのか、利用者さんもケアマネージャーさんも、もしかしたら、看護師さんも分かっていないことがしばしばあります。

ですので、通常の営業に加えて、何ができる職業なのかを具体的に伝えたり、実際に対象となる症状を伝えて人物像が浮かぶようにしたり、地域社会で言語聴覚士の認知向上を図ったりしていると徐々に増えていきますよ。

ぜひ、参考にしてみてください。

 

訪問看護ステーションに勤めている言語聴覚士はいったい何人いるのか?

 

そもそも、訪問看護ステーションなど地域で活動している言語聴覚士は何人くらいいるのでしょうか?

厚生労働省が2019年に全国181の事業所を対象に行った調査によると、なんと常勤換算の言語聴覚士の人数は1事業所あたり0.37名(参考:厚生労働省「訪問リハビリテーション」)。

3事業所をあたるとようやく1名見つかるかどうかという割合でした。

単純に考えると、全国で訪問看護ステーションなどに勤めている言語聴覚士は66名程度。

とても少ないですよね。

都道府県あたり1~2名というレアな状態です。

ちなみに、同じ調査で理学療法士は1事業所あたり2.91名で、全体ではおよそ520名。

作業療法士は1事業所あたり1.18名/、全体ではおよそ210名となっています。

ですので、以下のような状況に陥っていると推測されます。

 

  • 地域社会において言語聴覚士の認知自体が低い
  • 言語聴覚士という職業名を知っていても、何をしてくれる人たちなのか分からない
  • 複数の事業所を探さないと見つからないので、探す手間がある
  • ニーズがあっても言語聴覚士が解決できることを知らないので、依頼に繋がらない

 

そのため、認知向上やニーズの掘り起こし、ニーズを依頼へ結びつける道筋の構築など、依頼を増やすために様々な部分を考慮する必要があります。

 

言語聴覚士の依頼を増やす具体的な方法3選

 

では、どのようにすれば依頼が増えるのでしょうか?

ここからは依頼を増やすために、通常の営業に加えてやっておきたい3つの方法をご紹介します。

いずれも私が訪問看護ステーションに勤めていたとき、行っていた方法です。

即効性はそこまでありませんが、コツコツ続けていくとある日突然依頼が増え始めたので、効果があると考えられます。

 

①居宅介護支援事務所に挨拶回り

 

言語聴覚士に限らず、依頼を増やすにはケアマネージャーさんとの繋がりがとても大事です。

顔を見てどんな人なのか知ってもらい、何かあった場合、連絡をいただける関係性を築けると良いでしょう。

ただ、実際に居宅介護支援事業所にご挨拶に行って感じたのは、言語聴覚士のできることや対象疾患などを把握されているケアマネージャーさんが意外と少ないということ。

ですので、わたしが人柄と具体的にどんな価値提供ができるのかを把握していただくために、以下のような言語聴覚士ができることの解像度を上げていただく工夫を行っていました。

 

  • 言語聴覚士ができることを具体的にまとめたパンフレットを準備
  • ご挨拶+どんな疾患の方にこんなことができるといった具体例を添える
  • 言語聴覚士の対象になる方を具体的に挙げて、「こんな方がいたらぜひ依頼を」と言い添える

 

どんなときに依頼できるかなど具体的に伝えるとケアマネージャーさんの頭の中に浮かぶことが多くなるようで、その場でお試し訪問を依頼される場合がありました。

 

②地域での講演会に講師として積極的に参加する

 

所属している事業所が地域社会に根付いていると、看護師などに講演依頼がくるときがあります。

その際に、嚥下障害や失語症、構音障害についての講演を先方に打診するのがおすすめです。

講演会に繋がれば、直接色々な方と知り合え、何かあった場合に連絡をいただけることが増えます。

また、地域の方に知っていただくことで、地域の健康や障害に対する関心が高まり、社会貢献ができるため、言語聴覚士の名前だけでなく所属している事務所の名前を広められます。

そうすると、事務所全体の訪問依頼が増える傾向があります。

 

③既存の利用者さんでニーズがありそうな方にお試し訪問する

 

訪問看護ステーションだと既に、看護師などが訪問している利用者さんで言語聴覚士のニーズがありそうな方がいます。

そのような方がいらっしゃれば、利用者さんとご家族、ケアマネージャーさんと相談の上、同行訪問をしてみましょう。

そのときに必要でなくても、利用者さんやご家族に「ムセがひどくなったらご相談ください」など相談するタイミングや具体的にどんなことをするのか直接説明ができるので、理解がしやすくなるため依頼に繋がりやすいです。

また、ケアマネージャーさんに打診することで、言語聴覚士のニーズを具体的に分かるようになり、依頼のハードルが下がるようです。

 

言語聴覚士のニーズを掘り起こし、依頼を増やそう

今回は訪問看護ステーションで言語聴覚士の依頼を増やす具体的な方法を3つご紹介しました。

ご紹介した内容をしっかり丁寧に行ってもなかなか依頼が増えないかもしれません。

その場合は、一度、地域の関心事はなんなのか市場調査をして、やり方を変えてみるのも1つの手だと思います。

ただ、やはり、地域における言語聴覚士の認知が向上しないとニーズなども掘り起こしにくいため、認知向上のための工夫が必要であると思います。

地域社会の中で、「むせたら」「話しにくくなったら」「ことばの発達が気になったら」など、このような時は言語聴覚士に来てもらおうという道筋ができると、グングン依頼が増えるかと思います。

地味で手間のかかる作業ですが、言語聴覚士を活用できる下地を作る気持ちで取り組んでいただけると幸いです。

一緒にコツコツ積み上げて、言語聴覚士を活用できる地域を作っていきましょう。

 

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