訪問看護は儲かる?立場別の収入とリスクを正直に解説

「訪問看護は儲かるらしい」と聞いて興味を持った一方で、「本当のところどうなの?」と半信半疑になっている方も多いのではないでしょうか。求人サイトを見ても給料は良さそうに見えるし、開業を勧める記事も溢れていますが、実態を知らずに飛び込むのは不安が残ります。

結論から言えば、訪問看護が「儲かる」かどうかは、あなたがどの立場でこの業界に関わるかによって大きく変わります。この記事では、スタッフ看護師・管理者・経営者(開業)それぞれの収入の実態と、訪問看護が「儲かる」と言われる理由・「儲からない」と言われる理由の両方を、正直な視点で整理して解説します。

この記事でわかること
  • 立場(スタッフ・管理者・経営者)ごとの収入の目安と違い
  • 訪問看護が「儲かる」と言われる3つの理由
  • 訪問看護が「儲からない」と言われる3つの理由
  • 黒字化しやすい訪問看護ステーションに共通する特徴

訪問看護の「儲かる」は立場によって意味が違う

訪問看護で「儲かる」といっても、スタッフ看護師として働く場合、管理者として勤務する場合、自分でステーションを開設して経営する場合とでは、収入の水準もリスクの大きさもまったく異なります。事業所の規模や地域、利用者数、稼働率によっても収益は大きく変わるため、一律に「儲かる/儲からない」と語ることはできません。

立場収入のイメージ特徴
スタッフ看護師病棟勤務よりやや高め基本給に加え、オンコール手当・出動手当などの上乗せが期待できる。夜勤がなく働きやすい
管理者スタッフより高め基本給+管理者手当+オンコール手当。責任の重さに応じて収入も上がる
経営者(開業)利益は事業所の経営状況次第成功すれば高収益が見込める一方、初期投資・固定費・人材確保などのリスクを自ら負う
看護師 上妻
看護師 上妻

「訪問看護は儲かる」という話を聞くとき、それが「スタッフとして働く人の給料の話」なのか「経営する側の話」なのかを区別しないと、期待値がずれてしまいます。まずはご自身がどの立場で関わろうとしているのかを整理してみましょう。

スタッフ看護師としての収入は「安定+やや高め」

訪問看護のスタッフ看護師として働く場合、病棟勤務と比べて基本給が高めに設定されている事業所が多く、そこにオンコール手当・緊急訪問手当・車両手当などが上乗せされる給与体系が一般的です。実際、看護職の給与実態を調べた業界団体の調査でも、訪問看護ステーション勤務者の年収はおおむね550万円前後という結果が報告されています

ただし、地域差や事業所の規模による差は小さくありません。特に開業したばかりのステーションや小規模事業所では、利用者数が安定しないうちはボーナスが少ない、あるいは支給されないケースもあります。夜勤がない・残業が少ない・土日休みが取りやすいといった働きやすさも含めて、トータルで評価する視点が大切です。

管理者看護師は「責任と収入が比例」するポジション

管理者になると、ステーション全体の収支管理やスタッフのマネジメントにも関わるため、責任は重くなりますが、その分の報酬も上乗せされる傾向にあります。多くの事業所では、基本給に管理者手当・オンコール手当が加わり、スタッフ看護師よりも高い収入水準になることが一般的です。

POINT

管理者は現場でのケアに加え、書類作成・加算要件の管理・スタッフ教育・医師やケアマネジャーとの調整など、業務範囲が一気に広がります。「収入は上がるが、業務量も一気に増える」というのが実態に近い表現です。

経営者(訪問看護ステーション開業)は「ハイリスク・ハイリターン」

訪問看護ステーションを開業して経営者になると、収入の上限がなくなる一方で、成否の結果もすべて自分に返ってきます。安定して黒字化できれば高い収益が見込める反面、初期投資や人件費といった固定費のリスクを負うことになります。

開業初期は利用者数が十分に確保できず、赤字が続くことも珍しくありません。利用者との契約、ケアマネジャーや医療機関からの紹介ルートづくりには一定の時間がかかるため、「開業すればすぐに儲かる」というのは現実的な想定ではありません。開業後の収支の見通しについては、以下の記事でより具体的に解説しています。

あわせて読んでおきたい関連記事

開業後、実際にどの程度の年収が見込めるのか、より具体的なシミュレーションを知りたい方はこちらもご覧ください。

開業後の年収について読む

訪問看護が「儲かる」と言われる3つの理由

理由1:報酬単価が高めに設定されている

訪問看護は医療保険・介護保険の制度に基づいて報酬が定められており、1件あたりの単価が比較的高めに設定されています。厚生労働省の告示に基づく訪問看護療養費(医療保険)を見ると、訪問看護基本療養費(Ⅰ)は1日につき、保健師・助産師・看護師が訪問する場合で週3日目まで5,550円、週4日目以降は6,550円という単価が定められています(職種・訪問回数・地域等による加算・調整は別途あります)。介護保険の場合も、時間区分に応じた単位数に基づいて報酬が計算される仕組みです。

理由2:利用者数が増えるほど利益率が上がりやすい

人件費や事業所の固定費はある程度一定であるため、利用者数が増えるほど1件あたりの収益効率が高まりやすい構造です。常勤スタッフが安定して稼働できる体制を整えられれば、売上の伸びに対してコストの伸びを抑えられる余地が生まれます。

理由3:高齢化にともなって需要が伸び続けている

在宅医療・在宅ケアへのニーズは今後も高まっていくと見込まれており、訪問看護の利用者数は中長期的に増加傾向にあるとされています。需要が伸び続ける分野であることは、訪問看護が「将来性のある業種」と言われる大きな理由のひとつです。

訪問看護が「儲からない」と言われる3つの理由

理由1:人件費・経費の負担が大きい

訪問看護は看護師が実際に利用者宅を訪問して提供するサービスであるため、業務の効率化には限界があります。コストに占める人件費の割合が大きく、スタッフを増やせば固定費も比例して上がるため、利益率を維持し続けるのは簡単ではありません。

理由2:利用者数の確保に時間がかかる

開業しても、すぐに利用者が集まるとは限りません。ケアマネジャーや医療機関との信頼関係の構築には一定の時間がかかり、稼働率が低いまま推移すると赤字が続くリスクがあります。実際に経営が立ち行かなくなる訪問看護ステーションには、共通した特徴も見られます。

理由3:書類・加算管理などの事務負担が重い

報酬を正しく請求するためには、訪問記録・計画書・報告書の作成や、各種加算の要件管理が欠かせません。事務作業に時間を取られてスタッフの稼働時間が圧迫されると、それだけ収益機会が減ってしまいます。

注意

「儲からない」と言われる理由の多くは、開業前の準備不足や、稼働率・営業体制の見通しの甘さに起因しています。閉鎖に至る訪問看護ステーションの理由を事前に知っておくことは、同じ失敗を避けるうえで役立ちます。

儲かる訪問看護ステーションの特徴

安定的に利益を出せている訪問看護ステーションには、いくつかの共通点があります。

  • 利用者数が十分に確保され、稼働率が高い水準で安定している
  • ケアマネジャーや医療機関との信頼関係があり、安定した紹介ルートを持っている
  • スタッフの定着率が高く、教育コストを抑えられている
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などリハビリ職と連携し、訪問リハビリテーションによる収益の幅を広げている
  • 特別管理加算・緊急時訪問看護加算などの加算取得やICT導入により、業務を効率化している
看護師 上妻
看護師 上妻

私の実感としても、「利用者数」と「スタッフの定着」がセットで安定しているステーションは強いです。逆にどちらか一方が崩れると、もう一方にも影響が及びやすいので、両輪で考えることが大切だと感じています。

訪問看護のスタッフ看護師の給料は病棟看護師より高いですか?

事業所によって差はありますが、基本給が病棟勤務より高めに設定され、オンコール手当や出動手当が上乗せされるケースが多く見られます。一方で、事業所の規模や地域、開業したばかりで利用者数が少ない時期などは、ボーナスが少ないこともあります。夜勤がない・残業が少ないといった働きやすさも含めて総合的に判断するとよいでしょう。

訪問看護ステーションを開業すればすぐに黒字になりますか?

開業してすぐに黒字化するケースは多くありません。利用者数の確保やケアマネジャー・医療機関との信頼関係の構築には一定の時間がかかるため、軌道に乗るまでの資金計画をあらかじめ立てておくことが重要です。

訪問看護で収益を上げるために特に重要なポイントは何ですか?

稼働率(利用者数)を安定させること、スタッフの定着率を高めて教育コストを抑えること、リハビリ職との連携や加算取得の最適化で収益の幅を広げることが挙げられます。いずれか一つではなく、複数の要素を組み合わせて仕組みを整えることが黒字化への近道です。

管理者になると給料はどのくらい上がりますか?

事業所によって差がありますが、基本給に管理者手当・オンコール手当が加わることで、スタッフ看護師より高い収入水準になることが一般的です。ただしその分、収支管理やスタッフ教育、外部機関との調整など業務範囲も広がります。

出典・参考

報酬単価は制度改定により変更されることがあります。実際の請求・経営判断にあたっては、最新の告示・通知および所属地域の指定権者の情報をご確認ください。

まとめ|訪問看護は「仕組み次第」で儲かる仕事

訪問看護には確かに「儲かる」要素がありますが、それはあくまで仕組みを作れるかどうかにかかっています。スタッフとして働く場合は、病棟より良い給料と働きやすさが魅力です。管理者や経営者として携わる場合は、責任を背負う代わりに、より高い収入を得られる可能性が広がります。

この記事のまとめ
  • 「儲かる」の意味は、スタッフ・管理者・経営者のどの立場かで大きく異なる
  • 報酬単価の高さ・利用者増による利益率向上・需要の伸びが「儲かる」と言われる理由
  • 人件費負担・利用者確保の難しさ・事務負担の重さが「儲からない」と言われる理由
  • 稼働率・営業力・定着率・多職種連携・加算最適化が黒字化のカギ

「訪問看護=楽して儲かる仕事」ではなく、努力と仕組みづくりによって収益化できる業界というのが実情です。ご自身がどの立場で関わりたいのかを見極めながら、キャリアや事業計画を検討してみてください。

次に読むべき関連記事

開業を検討している方は、事業を軌道に乗せるための具体的な立ち上げ準備についても確認しておきましょう。

潰れる訪問看護ステーションの特徴を読む

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。