「訪問看護は儲かる?」その疑問に正直に答えます!

 

この記事を読もうと思ってくださった方の多くは、以下のように思っているのではないでしょうか?

 

訪問看護ステーション立ち上げに興味があるけど、ちゃんと売り上げを出し安定した事業を継続していけるのか気になる

 

訪問看護事業を継続していく上で、安定した売り上げを出すことはとても大切なことです。

安定した売り上げが出せないと、正しいサービスも、社会貢献も結局できなくなってしまうからです。

しかし、訪問看護という事業において、売り上げ(儲け)ばかりに気を取られるのは危険です。

当記事では、以下のことを解説します。

 

この記事でわかること
  • 訪問看護の収支差率
  • 訪問看護における「利益」についての考え方
  • 訪問看護の今後について
  • より良い訪問看護事業を営むために

 

気になるあなたはぜひ最後まで読んでみてくださいね。

ではさっそく解説します。

 

訪問看護の収支差率について

 

結論から言うと、訪問看護事業は介護事業全体と比較して収支差率が高く位置している事業です。

 

医療・介護事業では、利益の追求が目的ではないことから、売り上げから諸経費を差し引いた利益のことを収支差と言います。

 

訪問看護と介護事業における、業態別の例年の収支差率(コロナ補助金含まない)は以下のようになっています。

 

業態/年 R2年度 R3年度 R4年度
全サービス平均 3.4% 2.8% 2.4%
訪問看護 9.0% 7.2% 5.9%
訪問介護 6.3% 5.8% 7.8%
訪問入浴介護 6.1% 3.6% 3.0%
通所介護 3.2% 0.7% 1.5%
通所リハビリ 0.9% 0.3% 1.8%

引用)令和4年度介護事業経営概況調査結果の概要
令和5年度介護事業経営概況調査結果の概要

 

近年はコロナも大きく影響しましたが、このように訪問看護は介護事業の全サービス平均と比較しても高めの収支差率となっています。

介護分野における業態として訪問看護は収支差(利益)を出しやすい事業と言えます。

 

訪問看護における利益(儲け)についての考え方

 

訪問看護は収支差を出しやすい事業であることは事実ですが、訪問看護において、利益(儲け)の追求が優先されることがあってはいけないと考えます。

なぜなら、訪問看護における利益(儲け)とは、利用者さんにどれだけ良いサービスを提供できたかの対価であるからです。

どのような事業においても、商品やサービスの対価として報酬を受け取ります。

訪問看護で言うと、提供するサービスは「看護」であり、利用者さんに看護というサービスを提供した対価として報酬を受け取ります。

そして、その報酬は国が定める「診療報酬」「介護報酬」に基づきます。

訪問看護事業では、提供する看護の質の向上に努め、より良い看護を利用者さんに届け、利用者さんやご家族に喜んでもらえてこそ、受け取る利益は意味のあるものになります。

診療報酬は2年に1回、介護報酬は3年に1回見直しがあり、時代の変化とともに国は方針を変え、報酬の内容も変化します。

それは事業を経営していくという点においてはデメリットとなり得るかもしれませんが、報酬ばかりにとらわれず、訪問看護を必要とする方々に誠実で正しい看護を届けることを第一に考え、その結果として利益(儲け)があると考えていくべきでしょう。

利益や儲け優先にならない考えを心に留めておくことはとても大切です。

 

訪問看護の今後について

 

日本の高齢化率(65歳以上人口の総人口に占める割合)は、令和元年10月時点で28.4%と高齢化が急速に進んでいます。

国では地域包括ケアシステムの推進をしており、国民の住み慣れた地域での自分らしい生活の実現を目指しています。

この状況に伴って、訪問看護への参入数は2013年の6,801事業所だったのが、2023年には15,697事業所へと10年で1万近くの事業所が増加しています。

その反面、令和5年の訪問看護の廃業率は3.6%となっており、令和4年の福祉・介護事業全体の廃業率2.1%と比較して低くないのも事実です。

参考)一般社団法人全国訪問看護事業協会.令和5年度 訪問看護ステーション数.調査結果
厚生労働省.令和4年度.雇用保険事業年報.第 1 表 雇用保険産業別適用状況 〔 適用事業所 〕

 

需要は今後も拡大していくと思われますが、利用者さんに選ばれる訪問看護ステーションを目指し、結果安定した運営となるためには、しっかりとした計画や取り組みが重要です。

 

廃業率について

 

より良い訪問看護事業を営むために必要なこと

 

では、より良い訪問看護事業を営み、安定した売り上げを出していくためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

取り組みのポイントとして以下の6点を挙げます。

 

選ばれる訪問看護ステーションであるための取り組み
  • 共感を得る経営理念
  • 地域のリサーチ
  • 戦略的なステーションの運営
  • 理念に合致した人材採用
  • 積極的な営業活動
  • 業務の効率化

 

順番に解説します。

 

共感を得る経営理念

在宅療養者の方々や地域のためとなる企業理念を明確に設け、利用者さんとご家族に共感を持って接することが大切です。

売り上げばかりを追うのではなく、真摯な姿勢と思いやりの心を持ってサービスを提供しましょう。

魅力的な理念は職員の行動指針となり、誠実な看護やリハビリ支援につながります。

また、誠実な支援を少しずつ提供していくことで利用者さんをはじめ、地域の信頼につながります。

 

地域のリサーチ

開業を予定している地域の人口動態や医療ニーズを把握することも大切です。

事業を始める前に、以下の項目をリサーチをしましょう。

 

  • 高齢者や人口増減などの人口動態
  • 地域ごとの疾病の種類などの動向
  • 病院など医療機関の状況や競合他社の状況
  • 周辺の介護施設や入居者数の状況
  • 地域の平均的な所得水準
  • 開業予定地との交通アクセス

 

高齢化率、疾病の種類と割合、他の医療機関との競合状況について分析することで、自分たちがどのようなサービスを提供すれば良いかがわかってきます。

こういったリサーチをすることで、競合相手との差をつけられるかもしれません。

 

戦略的なステーションの運営

訪問看護ステーションの運営は事前にしっかりと計画を立て、戦略的に進めていく必要があります。

まずは少人数のスタッフで力を合わせ、周辺の事業所に愚直に営業に回るなどのアプローチが大切です。

また周辺のステーションの役割や連携体制を明確にし、地域に密着した柔軟な対応を心がけます。

利用者数が増えてきたら徐々に訪問するエリアを拡大していき、スタッフ数の増員やサテライトを設置するなど、地域に応じた運営戦略を検討しましょう。

 

理念に合致した人材採用

理念に共感し、利用者さんへの思いやりの心を持った人材を採用することが肝心です。

日々の支援で誠実なサービスを提供することができ、ステーションの信頼を構築していけます。

また経営的な面では、訪問看護の運転資金のほとんどは人件費です。

看護師やセラピストの退職を防ぐことで、新入職員の採用コストが削減できます。

そういった面からもどのような理念を持ったステーションなのかをしっかりと明示し、理念に共感してくれるスタッフの雇用が大切です。

 

積極的な営業活動

積極的な営業活動は、訪問看護ステーションの売り上げを上げていくためにとても重要です。

訪問看護のニーズは潜在的に高いものの、開業初期はステーションの認知度が低いため営業活動が欠かせません。

医療機関や地域包括支援センター、居宅支援事業所への積極的な営業活動を行い、サービスの価値を認知してもらうことが重要です。

利用者さんの人数が増えてきたら、月1回程度各周辺事業所に担当利用者さんの書類を渡しつつ情報交換をするなど、信頼関係の構築に努めましょう。

 

 

業務の効率化

スタッフの業務負担を軽減するための施策を検討しましょう。

業務の効率化をすることで、スタッフが専門分野の業務に専念でき、支援の質の向上につながります。

また、訪問スケジューリングの最適化などで移動時間を短縮することで、生産性の向上が図れます。

以下のようなポイントで業務効率化が図れないか、考えていきましょう。

 

  • 支援間の移動時間
  • ICTの活用による書類業務の効率化
  • 事務作業の効率化
  • 定例ミーティングの方法
  • スタッフ同士のコミュニケーション手段

 

戦略的かつ真摯な経営努力は重要です。

 

訪問看護|儲かることの前に選ばれるステーションを目指そう

 

訪問看護の真の目的は、病気を抱えながら在宅で療養する方が安全安楽に生活を継続していくためのサポートです。

正しく誠実なサービスを提供し続けるためにも、経営者はじめ、管理者・スタッフ皆がそれを意識してステーション運営を行っていくことが非常に重要です。

利用者さんやご家族に心から満足してもらえる支援ができ、その結果売り上げが伸びることが正しい事業運営です。

ビジケアでは訪問看護を立ち上げた方々と繋がれるサポート体制があります。

興味がありましたらぜひ以下について合わせて見てみてくださいね。

 

 

ともに社会・地域貢献できる訪問看護ステーションを目指していきましょう!

 

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