訪問看護で働いていると、利用者さんが骨折や新規の病気などを起こす場面が出てくると思います。
それらの治療経過の中で「お医者さんから言われて、外来のリハビリに通い始めました」と報告を受けることもあるかと思います。
しかし、外来リハビリではどのようなサービスが提供されているのかイメージがつかない方も多いのではないでしょうか。
今回は外来リハビリと訪問看護リハビリの違いについて、それぞれの違いと、併用した際の注意点について解説します。
目次
外来リハビリと訪問看護リハビリの概要
まず外来リハビリと訪問看護リハビリの概要に関して解説します。
- 外来リハビリ
医療機関にて行われる通院リハビリのことを示します。
疾患別リハビリテーション料が算定できる施設が対象となります。
保険適応としては医療保険が使用されます。
- 訪問看護リハビリ
訪問看護事業所にて提供されるリハビリとなります。
通常の訪問看護と同様に、介護保険内で利用できるサービスとなります。
保険適応としては介護保険の他に、医療保険で提供される場合もあります。
外来リハビリと訪問看護のリハビリの違い3選
外来リハビリと訪問看護リハビリの大きな違いは以下の3つです。
- 提供内容の違い
- 利用できる疾患の違い
- 利用できる期限の違い
順番に解説します。
提供内容の違い
外来リハビリの提供内容は、医療機関内で行われる通院のリハビリになります。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるサービス提供のほか、場合によっては物理療法機器の使用が行われることもあります。
医療機関で行えるサービスであるため、複数の医療機器の利用が可能となる点が特徴となります。
訪問看護リハビリの提供内容としては、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が住まいの場に訪問してのサービスになります。
物理療法機器の使用などは制限されますが、利用者さんが過ごす生活の場で直接的支援を行うことができます。
2つのサービスの提供内容の違いは、その実施場所と使用物品という環境の違いになります。
提供内容の他に、訪問看護リハビリでは回数制限があります。
原則、1週間につき120分までしか訪問看護リハビリを提供することができません。
提供するサービスの内容は変わらずとも、回数の制限が生じることは抑えておくべき情報になります。
詳しくは下記リンクの記事をご参照ください。
利用できる疾患の違い
外来リハビリの利用は、疾患別リハビリテーション料の対象となる診断がついた場合に限られます。
診療報酬にて定められている脳血管疾患、運動器疾患、呼吸器疾患、廃用症候群、心大血管疾患の区分に該当する疾患が対象となります。
訪問看護では、訪問看護指示書の発行が利用条件となるため、疾患の種別によってサービス提供の有無が分かれることは基本ありません。
利用できる期限の違い
外来リハビリの提供は、疾患別リハビリテーション料の対象となるものに限られます。
そのため、疾患別リハビリテーション料に定められている期限設定が適応されます。
- 脳血管疾患であれば180日
- 運動器疾患であれば150日
- 呼吸器疾患であれば90日
- 廃用症候群であれば120日
- 心大血管疾患であれば150日
これらの期限を超過した外来リハビリは、特定の条件下を除き提供することができません。
訪問看護リハビリに関しては、訪問看護指示書が適切に更新され、訪問看護計画に利用の旨が記載されていれば、サービス利用を継続することができます。
制度上という点では、訪問看護でのリハビリに期限はありません。
よくある質問ですが、外来リハビリと訪問看護リハビリは併用できないのでしょうか?
結論から言うと、外来リハビリと訪問看護リハビリの併用はできます。
詳細は下記リンクの記事を参考にしてください。
しかし状況によっては、外来リハビリ側のコストが減算対応となる場合があります。
また、2つのサービスでリハビリ内容が重複していると、それぞれが利用者さんに適切なサービスが提供できていない可能性もでてきます。
可能であれば外来リハビリ提供施設に、訪問看護リハビリを利用している旨が伝わっているのかどうか、利用者さんや家族に確認をとっておくのがよいでしょう。
まとめ
外来リハビリと訪問看護リハビリの違い3つについて解説しました。
在宅でのリハビリは、介護保険と医療保険のどちらでも利用できる制度が用意されています。
しかし現在の診療報酬の傾向として、在宅でのリハビリに関して基本的には介護保険が優先となる風潮があります。
また今回は外来リハビリと訪問看護リハビリに限定した解説になりましたが、デイサービス・デイケアとの併用、自費リハビリの参入など様々な選択肢が現在では用意されています。
今後もこれらのサービスの関係性が移りゆく可能性がありますので、利用者さんが受けているサービスを、自身の関わる事業所に限らず包括的に捉えることが重要になってくると思われます。