訪問看護における意思決定と看護倫理について解説します

訪問看護における意思決定を支えるためにはどういう考えが必要でしょうか。

重度の認知症や病気によって意思疎通が困難になった利用者に、希望や意思に沿った治療を実施する場合は事前の意思確認や代理決定者としての家族の存在が重要になってきます。

このような状況で、訪問看護師もどのようなプロセスで意思決定を進めたらよいのか、利用者の意思が尊重され最善の決定がなされているのか、家族の意思決定を支えることができているのかといった倫理的ジレンマを抱えることがあります。

意思決定を支えるための考え方の基本となる看護倫理について解説したいと思います。

 

看護職の倫理的な課題とは

 

看護業務の中で、「利用者の苦痛は緩和がされているだろうか」「その人らしい最期をむかえるためにはどうしたらよいのか」「治療やケアの選択に悩む本人、家族をどのように支え援助すればよいのか」という倫理的課題に直面することが多くあります。

私たち訪問看護師は、とくに生活の中で介入する特徴から常にこのような場面にかかわることで倫理的ジレンマを抱えることになります。

 

倫理とは

倫理とは?
  • 道徳
  • モラル
  • 人のふみ行うべき道
  • ある社会で、人々がそれによって善悪、正邪を判断し、正しく行為するための規範総体

つまり「社会生活を送る上での一般的な決まりごと」と捉えられることができます。

私たちが社会の中で何らかの行為をするときに「これは善いことか、正しいことか」判断する際の根拠を「倫理」と言います。

 

医療現場では倫理と道徳は同義になりにくい

医療の現場では、一般的な決まりごとでは決められないということがあります。

例えば家族以外の者には自分の病状を伝えないでほしいと予め表明している患者がいました。

ところが、患者とは会ったこともない親戚が病院を訪ねてきて、患者の病状を尋ねたとします。

このような場合、多くの看護師は「真実を伝える」ことの正しさよりも、「患者の意思を尊重する」ことの正しさを優先します。

つまり道徳的な行為は医療現場においては、必ずしも常に一番正しいとは言えないのです。

 

「看護倫理の考え方」とは

看護職は、あらゆる場において人々の健康と生活を支援する専門職であり、常に高い倫理観をもって‘、人間の生命と尊厳及び権利を尊重し行動することになっています。

看護職はいかなる場合でも人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重し、常に温かな人間的配慮をもってその人らしい健康な生活の実現に貢献するように努めるようにします。

看護倫理は看護職が職業上意識するべき倫理・モラルのことで、看護倫理の4原則を土台に看護職が倫理的に正しい判断をするための行動指針として看護職の倫理綱領(16項目)が設定されています。

 

看護倫理4原則とは

看護の実践における倫理原則は、以下の4つを指します。

自立の尊重
無危害
善行
公正と正義

 

看護職の倫理綱領

看護職が専門職としてより質の高い看護を提供するためには、深い知識と確実な看護技術だけではなく、高い倫理性が不可欠になります。

そこであらゆる場で活躍する専門職として自らの行動を律するために「看護職の倫理綱領(16項目)」を定められています。(参照:日本看護協会 看護職の倫理綱領

 

またこの職業倫理は看護師以外にも訪問看護の関わる職種、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれに決められたものがあります。

 

 臨床倫理のすすめかた

臨床倫理の4分割法とは


カンファレンスにおいて、臨床倫理の4分割法は円滑に治療方針を決定するための実践的な方法であり、倫理綱領や倫理原則にも準ずる考え方であるため用いやすいといえます。

4つの視点に区分し、それぞれについて利用者に対する情報を書き出して整理します。

医学的適応
利用者の意向・動向
QOL(幸福追求)
周囲の状況

この4つの視点から利用者の情報を出し合い最終的にチームで最善策を考えます。

 

よりよい意思決定を支えるために

それぞれの最善策の選択肢がもたらす結末・益と害 利点/問題点を列挙し比較考慮していきます。

そしてなぜその選択肢がよいのかを話し合い、例外がないかを考えます。

対話/協議を解して考え方の偏りを防ぎ、バランスを取りより妥当な判断を目指します。

大事なことは自分の判断に自信を持ってはいけない、自分の道徳は不完全であるということも自覚しながら独断―独善に陥らないように気をつけるようにするといったことです。

道徳は環境や文化や個人によって大きく左右されます。

自分がよかれと思っても相手がよいと思うかはわからないものです。

私も日頃、意思決定を支援する場合悩むことばかりですが、だからこそ一人で決めない、一度で決めてはいけないと改めて思っています。

 

情報収集で気をつけたいこと
  • 私たちは「自分が見たい」と思っている情報だけを収集する傾向が強い(例:冤罪)
  • 二次情報は信用せずに自分の足を使って、実際に当事者に会って話を聴くことが大切(一次情報のすり合わせ→皆で事例を再構成する(見立てる)こと・同じ現実を見ているか確認することが大切!)
  • 4分割表(情報収集のリスト)に頼りすぎない
  • リストにはない、本当に必要な情報があるかもしれない(構造化された情報収集の弱点)

 

まとめ

  • 倫理とは私たちが社会の中で何らかの行為をするときに、「これは善いことか、正しいことか」判断する際の根拠
  • 看護倫理は看護職が職業上意識するべき倫理・モラルのことで、看護倫理の4原則を土台に看護職が倫理的に正しい判断をするための行動指針として看護職の倫理綱領(16項目)が設定されている
  • 看護職における倫理的な課題は常に訪問看護の現場で起こり得る課題である
  • 臨床倫理の4分割法は実践的なアプローチであるが頼りすぎないということも知っておく
  • 一人で決めない、一度で決めない

 

今回は訪問看護でよくある意思決定看護倫理について解説しました。

訪問看護をおこなう中で誰もが不安や疑問に思ったりすることを解決できるような記事の作成を心がけています。

この記事がみなさんの日々の業務に役立ってもらえると幸いです。

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