近年核家族が増え、高齢者のみの世帯が増えています。
地域包括ケアシステムの構築によって、独居の利用者さんに対しての訪問看護の依頼は多くなっています。
訪問看護を利用している利用者さんについて、このような報告があります。
とても高い割合ですね。
みなさんの訪問看護ステーションにおいても、独居の利用者さんは多い割合を占めるのではないでしょうか。
今回は、独居の利用者さんへの訪問看護の役割を紹介します。
目次
独居の利用者さんへの訪問看護の役割と内容
独居の利用者さんへの訪問看護の役割を4つ紹介していきます!
健康管理
訪問看護としての役割の一つは、健康管理です。
独居の利用者さんの多くは、高齢者です。
年齢を重ねると、様々な要因で心身ともに変化が出てきますよね。
今までできていたことに時間がかかったり、できなくなってしまったりします。
このような場合に、独居でも日常生活がより快適に送れるよう健康管理を支援するのが、訪問看護の役割です。
具体的には以下の内容になります。
- 身体チェック
- 精神状態の観察
- 内服管理
- 入浴介助
- 生活環境の調整
- 栄養状態や食事内容の把握
- 生活パターンの把握
単に異常か異常でないかだけでなく、生活状況と関連づけて変化がないかを確認していく必要があります。
普段の体調や生活状況を把握し、異常や変化をみることが求められます。
さらに、現在の状態だけでなく、どのような経過を辿るのかを予測をしておきましょう。
予防的な観点をもち、普段の変化をみていくとより良いと思います。
療養相談
訪問看護としての役割として、療養相談があります。
独居の利用者さんの中には、まったく身寄りがない方や家族や親戚と疎遠の方がいます。
また、近所付き合いもないという方もいらっしゃいます。
このように、健康において心配なことが出てきても、身近に相談する人がいない場合があります。
そこに、専門的な知識がある訪問看護が介入して、健康管理の相談先となることが求められます。
相談内容の具体的な例は以下になります。
- 血圧値や血糖値の管理
- 服薬方法
- 食事や栄養の相談
- 病状の相談
- 健康管理の相談
- 不眠
- 不安
相談内容は利用者さんによって様々です。
利用者さんの価値観や生活背景を考慮して、傾聴し、時にはアドバイスが求められます。
相談内容によっては、医療受診をすすめたり、介護サービス検討の機会に繋げることがあります。
療養相談において、医療との繋がりの有無は、とても重要です。
独居の利用者さんの場合、身近に相談先がないため多くは自己判断となります。
少し体調が悪くても、受診せずに様子をみていたら、状態が悪化して入院ということも起こり得ます。
病状に適した医療を受けているか、医療受診の頻度を知り、健康状態の変化や治療に対する考え方を理解しているかを、確認しておきましょう。
そして何より大事なのは、利用者さんが望む健康状態はどの程度なのかを理解しておくことです。
医療者として、受診が必要と判断しても、利用者さんが望まなければ受診できません。
どのように支援したら、今の生活が継続できるのかを、医療的な視点を持ち合わせて関わることが重要です。
社会と繋ぐ
独居の利用者さんの場合、コミュニケーションの機会が少なくなり、気分的にも落ち込みやすい傾向があります。
近所付き合いが希薄になっている昨今では、孤立する高齢者が増えています。
訪問看護として、医療的ケアに着目しやすいですが、社会や地域との関わりの支援も大きな役割です。
しかしながら、訪問看護では利用者さんと1対1なので、社会性や地域との交流がどの程度なのか判断しにくいですよね。
そこで、一つの目安となるのが、利用者さんの受け入れ態度です。
受け入れが良ければ、他サービスを導入しやすくなり、より手厚い支援を受けることができる可能性があります。
さらに、民生委員や老人会といったインフォーマルなサポートにも繋ぐことができれば、地域の一員として暮らし続けられるようになるかもしれません。
その際は、配慮が必要なことなどを情報共有し、より利用者さんが馴染みやすくなるようにすると良いですね。
このように、独居の利用者さんが安心して地域で生活が送れるよう、社会と繋げていくことも重要な役割です。
緊急時の対応
訪問看護は、一定の時間内でサービスを提供します。
独居の利用者さんの場合、サービス以外の時間は基本的に見守る人がいません。
そのため訪問看護サービス以外の時間で、状態が悪化した場合の対応は大変重要な役割です。
医学的根拠に基づいた病状の把握や予後予測をして、どこまで自力でできるのか、できない部分はどのようにサポートしたら良いのかを考えておく必要があります。
訪問看護だけでなく、主治医やケアマネジャー、別居家族、他サービス事業所など、様々な関係機関と連携し、統一したサポート体制を決めておくと良いですね。
具体的な例は、以下になります。
- 携帯電話を持っておらずすぐに連絡ができない場合は、近所の人に助けを求める。
- 別居家族に連絡を取り合ってもらう。
- 他サービスを導入して、緊急時に連絡を取り合う。
- 民生委員に時々様子をみてもらう。
まとめ
独居の利用者さんに対しての訪問看護の役割とその内容について述べました。
独居の利用者さんは、訪問看護においてとても高い割合でいらっしゃいます。
訪問看護としての役割を存分に発揮し、利用者さんにとってより良い生活になるよう、支援していきましょう!
身体面:筋肉量の減少、内臓機能の低下、骨密度の減少など
精神面:認知機能の低下、性格の変化、ストレス耐性の低下など