終末期の家族ケアで気を付けるポイント5選

訪問看護師

終末期の利用者さんの家族と接するとき、なんだか緊張しちゃう。

ご家族に関わるときに気を付けるポイントってあるのかな。

 

終末期の利用者さんの家族と接するのが難しい。

そんな風に感じている方もいるのではないでしょうか。

私自身、以前は利用者さんとコミュニケーションを取ることで精一杯でした。

家族にも声を掛けたいけれど、どう関わって良いのか分からず、家族と関わりにくいと感じたことがありました。

人の死に関わることが少なくなっている現代、看取りをすることが初めてという家族も多いと思います。

利用者さんが終末期を在宅で過ごすためには、関わる家族にも細やかなケアが必要です。

私たち訪問看護師がどんなことを心がけてご家族と関わることが、利用者さんと家族にとって良い最期を迎えることにつながるのでしょうか。

この記事では、終末期の家族ケアで気をつけるポイントを説明します。

 

終末期の家族ケアで気を付けるポイント

 

終末期の家族ケアで気を付けるポイントは以下の5つです。

 

・身体的負担に配慮する

・精神的負担に配慮する

・家族の希望や意向も尊重する

・利用者の状態を分かりやすく伝える

・家族ができることを具体的に伝える

 

以下で1つずつ説明していきます。

 

身体的負担に配慮する

家族は利用者さんの主介護者となる場合が多く、仕事や家事に加えて、介護による身体的な負荷が増えます。

夜間に介護をすることが必要になることもあり、睡眠時間が少なくなる可能性もあります。

訪問時には、家族にも声を掛け、疲労はたまっていないか、休息を取ることができているかなど身体的な負担について確認をします。

状況に応じて、看護師やヘルパー介入時に休息や気分転換のために外出を促すことや、サービスの追加の提案などを検討しましょう。

利用者さんの最期を支えたいと思うあまりに、無理をしすぎてしまう家族もいます。

家族が共倒れにならないように、休息を促すことは家族に対するケアの1つです。

 

精神的負担に配慮する

 

利用者さんを自宅で看取ることを決意してからも、家族は「本当にこれでいいのか」という迷いや、「何かあったときはどうしたら良いのか」というような不安を感じています。

利用者さんの日々の変化を一番身近で感じる家族の精神的負担は計り知れません。

訪問時には、家族が看護師に話しかけやすい雰囲気を作り、心配事がないかを確認したり、いつでも相談をしてよいこと、いつでも支援ができる準備があることを伝えます。

また、日々の家族のケアに対してねぎらいの言葉をかけたり、迷いや悩みが生じるのは当然のことであることを伝えることも、家族の精神的な負担をを和らげることにつながります。

 

家族の希望や意向も尊重する

自宅での療養生活を送る際は、生活の主役である利用者さんの希望や意向を大切にします。

ですが、利用者さんだけでなく一番身近で関わる家族の希望や意向を尊重することも心がける必要があります。

利用者さんの意向と家族の意向が大きく異なっていては、お互いが安心して自宅で過ごすことはできません。

利用者さんと家族の意向が異なるときは、話しやすい環境で双方の話しを伺い、なぜ意向が異なっているのか、お互いの意見を擦り合わせるためには何ができるのかを一緒に考えます。

ケアマネージャーや他の関係者とも情報を共有し、利用者さんと家族を共に支えることが出来るように協力します。

 

利用者の状態を分かりやすく伝える

利用者さんの状態を分かりやすく説明すること、最期が近づくにつれて状態がどのように変化していくのかをきちんと伝えることは、家族が現実を受け止めるための支援の1つです。

終末期は、利用者さんの状態が日々変化していきます。

状態の変化をあらかじめ知っておくことができれば、家族は過度に慌てることなく過ごすことができます。

家族に説明をする際は、場所やタイミング、誰に説明するのかを考え、相手が説明を聞く体勢になっていることを確認したうえで丁寧に説明をします。

一度の説明だけでは理解ができない場合も多いため、パンフレットを用いたり、複数回に分けて説明をする、繰り返し説明をするなどの工夫も必要です。

 

家族ができることを具体的に伝える

 

利用者さんの意識レベルが低下していくと、家族が利用者さんとコミュニケーションを取ることができず、「どう接してよいのかが分からない」、「何も出来ることがない」と戸惑ってしまうこともあります。

そのようなときには、家族が利用者さんに対して出来ることを具体的に伝えましょう。

以下に、終末期の利用者さんに対して家族が出来ることの具体的な提案内容を記載します。

 

・手足など体に優しく触れてマッサージをする

・利用者さんが好きな音楽をかける

・利用者さんの好きな香りで部屋を満たす

・家族が利用者さんの側で過ごす

・水や好きな飲み物で唇を湿らせる

 

特別なことをしなくても、側で同じ時間を過ごすだけでもじゅうぶんであることを伝えましょう。

最期まで近くで接することができたという記憶は、利用者さんが亡くなった後に家族の心を癒すことにもつながるでしょう。

 

まとめ

 

今回は、終末期の家族ケアで気を付けるポイントを5つ説明しました。

 

・身体的負担に配慮する

・精神的負担に配慮する

・家族の希望や意向も尊重する

・利用者の状態を分かりやすく伝える

・家族ができることを具体的に伝える

 

家族は、利用者さんを取り巻くチームの重要な一員であると同時に、ケアの対象者でもあります。

様々な家族の形があるため、家族ケアも絶対的な正解はありません。

それぞれんの家族に合った関わりをすることで訪問看護師と家族の信頼関係が深まり、家族の安心につながります。

家族が安心して利用者さんを支えることが出来れば、利用者さんが終末期を自宅で過ごす時間がより良いものになるでしょう。

この記事が、終末期を支える家族のケアを考えるときの参考になったら嬉しいです。

 

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ABOUT US
清水 千夏ライター
東京都在住/看護師・保健師/ 卒業後大学病院9年勤務 その後、派遣看護師としてクリニックやデイサービス、訪問入浴などを経験。 現在は訪問看護ステーションの立ち上げメンバーとして奮闘中です。