老健からの訪問看護指示書について徹底解説!

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介護老人保健施設(以下、老健)を退所する方の新規依頼があった場合、訪問看護を始めるにあたり、訪問看護指示書をどこからもらったらよいのかと悩んだことはないでしょうか。

このような場合、老健の医師に訪問看護指示書を交付してもらうことができます

こちらの記事では、老健からの訪問看護指示書について徹底解説します。

まずは、老健とはどのような施設なのかを理解しておくことが近道ですので、そこもわかりやすく解説していきます。

ぜひ参考にしてみてください。

 

老健から訪問看護指示書をもらうには

訪問看護ステーションへの新規依頼の中には、老健を退所して自宅に戻られるにあたり、訪問看護を導入するケースがあります。

この場合、老健からの退所時1回に限り、訪問看護指示書の作成・交付が認められています

訪問看護サービスを開始する際は、主治医からの訪問看護指示書が必要です。

訪問看護指示書は、本来は保健医療機関の医師(利用者さんの主治医)が交付し、医療保険から訪問看護指示料が支給されます。

訪問看護指示料として診療報酬を算定するものなので、本来保健医療機関ではない老健医師から訪問看護指示書を交付することはありません。

しかし、老健等の施設から退所し、居宅ですぐに訪問看護サービスを利用が望まれる場合、在宅の主治医の診察が間に合わずに訪問看護指示書を作成できないという状況もあります。

そのような場合に、訪問看護サービスを利用できないという状況を少なくし、支障なく訪問看護サービスを受けられるための制度があります。

老健からの退所時1回に限り、老健等の医師が訪問看護指示書を作成・交付した際に算定できるようにしたのが「訪問看護指示加算」です。

 

訪問看護指示加算の対象施設

訪問看護指示加算が算定できる施設は以下の施設です。

 

  • 介護保険施設
  • 介護療養施設
  • 介護医療院

 

加算点数・算定要件

訪問看護指示加算の加算点数は『300点』です。

訪問看護指示加算の算定回数は、入所者1人につき1回が限度です。

訪問看護指示加算を算定するにあたり、以下の要件を満たす、または注意点を守らなければなりません。

訪問看護指示加算を算定する際に、訪問看護指示書が有効に使える事業所は決められています。

訪問看護指示書が有効に使える事業所は以下の通りです。

 

訪問看護指示書が有効な事業所
  • 訪問看護ステーション
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所
  • 看護小規模多機能型居宅介護事業所

 

「定期巡回・随時対応型訪問介護事業所」と「看護小規模多機能型居宅介護事業所」の場合は、「看護サービス」を行う時に限り訪問看護指示書が必要です。

訪問看護指示加算では、訪問看護指示書を交付する前に入所者の同意が必要です。

訪問看護指示加算で訪問看護指示書を作成した時に、指示期間が記載されていない場合があるとします。

このような場合は指示期間は「1月」であると定められています。

 

訪問看護指示書の交付

訪問看護指示加算で作成する訪問看護指示書は、医師の診察後、速やかに作成・交付する必要があります。

また訪問看護指示加算を取得する入所者の求めに応じて、対象の入所者や家族等を介して訪問看護指示書を老健の医師から訪問看護ステーション等に交付してもらいます。

その他に、訪問看護指示書を交付した訪問看護ステーションからの訪問看護に関する相談などは、懇切丁寧に対応することが老健には求められています。

 

老健=介護老人保健施設とは?

 

老健の定義

介護老人保健施設とは、要介護者であって、主として心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。(介護保険法第8条第28項)

厚生労働省第144回(H29.8.4)社保審-介護給付費分科会「介護老人保健施設(参考資料)」より引用

 

老健を利用できるのは、介護保険法による被保険者で要介護認定を受けた方のうち、病状が安定していて入院の必要のない要介護度1~5の方で、リハビリテーションを必要とされる方です。

老健には、施設サービス計画に基づいて看護、医学的管理の下、日常生活上の介護を行い、入所者が在宅復帰を目指すため、自立した日常生活を営むことができるように支援する役割があります。

利用者ひとりひとりの状態や目標に合わせたケアサービスを、医師をはじめとする専門スタッフが行い、夜間でも安心できる体制を整えています。

老健には、住み慣れた地域で暮らし続けるためのさまざまなサポートが整っています。

ひとりひとりの生活に合わせたサポートを行ってくれ、以下のようないろいろな使い方があります。

 

  • 病院から老健へ入所し、リハビリテーションを受けてから自宅へ戻る
  • 入所して認知症の集中的なリハビリテーションを受ける
  • 自宅から老健の通所リハビリテーション(デイケア)に通う
  • 自宅で老健の訪問リハビリテーションを受ける
  • 介護する家族が、介護に疲れた際にショートステイを利用する
  • 状態をみながら、必要な期間継続して入所する
  • 寒くて体調を崩しやすい冬場だけ入所する
  • 特養の入居待ちの間、老健に入所する
  • 老健で最期の時を過ごす

公益社団法人全国老人保健施設協会より引用

 

1か月以上の入所や短い期間の入所(ショートステイ)、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションなどのサービスを、すべて提供できるのは老健だけです。

老健で受けることのできる医療は、毎日服用しているお薬の調整、老健の医師や看護職員による発熱、腹痛、風邪などの対応もできます。

さらに、お看取りが可能な施設もあります。

 

まとめ

今回は、老健からの訪問看護指示書の交付について詳しく解説しました。

訪問看護指示加算は、退所後の居宅サービスを滞りなく使用していくために重要な加算です。

制度を正しく利用して、老健で日常生活に必要なリハビリテーションを受けられ自宅に戻られる利用者さんを、わたしたち訪問看護師が切れ目なく支援しましょう。

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ABOUT US
甲谷 多恵子看護師/ライター
看護師/急性期の総合病院で血液内科、レジデントの研修(内科混合)病棟等の病棟・外来勤務を経験。総合病院で15年間勤務後、訪問看護ステーションに転職。新規立ち上げからの管理者経験あり/デンマーク研修機会に恵まれたことを機に、訪問看護の可能性を再確認、多職種連携の中で専門性を発揮できるよう何事も勉強の毎日/北海道在住