こんな疑問にお答えする記事です。
「在宅看護」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
しかし、その特徴や、病院・施設での看護との違いについて詳しく説明するのは案外難しいですよね。
当記事では在宅看護の特徴を5つ紹介します。
結論を言うと、在宅看護には以下のような特徴があります。
- 治療中心ではなく生活中心の看護
- 精神的メリットが大きい
- 対象者が幅広い
- 療養者と家族が主体
- 在宅療養や在宅看護を支えるケアシステムが整備されている
当記事を最後まで読めば、病院や施設との違いを踏まえながら在宅看護について理解することができます。
在宅看護に携わる機会がある方やこれから携わる予定の方はぜひ読んでみてくださいね。
ではさっそく解説します。
目次
在宅看護とは自宅で療養する方に行う看護のこと
在宅看護とは、病気や障害を持ちながらも自宅で療養している方に対して行う看護のことです。
日本は超高齢化社会を迎えており、病気を持ちながらも在宅で療養する高齢者の方がどんどん増えています。
高齢者のみならず、障害を持つ方や医療的ケア児等も在宅療養をしている者であり、その数も少なくはありません。
地域には、病気や障害を持ちながらも住み慣れた「我が家」で療養されている方がたくさんいらっしゃるという状況があります。
在宅看護の特徴5つ
在宅看護は病院や施設での看護とは異なる点があります。
特徴として以下の5つがあげられます。
- 治療中心ではなく生活中心の看護
- 精神的メリットが大きい
- 対象者が幅広い
- 療養者と家族が主体
- 在宅療養や在宅看護を支えるケアシステムが整備されている
順番に解説します。
治療中心ではなく生活中心の看護
在宅看護の大きな特徴として、治療中心の看護ではなく生活中心の看護である点があげられます。
在宅看護が行われる場は、療養者が日々生活を営んでいるご自宅です。
治療が第一優先で、疾患を中心に看護を考える病院や施設とは違い、在宅では「こうしたい」「こう過ごしたい」という希望や自由も踏まえて看護を考えることが大切です。
医学的には正しいことでも、在宅では必ずしも正解とは限りません。
各々にとってどのような医療やケアが看護となり得るのかは本当に千差万別です。
思い、希望、価値観、生活状況など、さまざまなことを踏まえて看護を考えます。
精神的メリットが大きい
在宅看護は療養者にとって精神的メリットが大きいのも特徴です。
在宅看護は病院や施設とは異なり、住み慣れた「我が家」が療養の場です。
病院や施設では、環境の変化で認知症が悪化したり、せん妄症状が現れる方が少なくありません。
しかし在宅では、長年過ごしているいつもの風景、匂い、音などの「日常」がある場で療養することができます。
側にご家族やペット等がいる安心感もあります。
リラックスして療養できる精神的メリットは非常に大きいです。
対象者が幅広い
在宅看護の対象者は非常に幅広いという特徴もあります。
在宅看護は、0歳の赤ちゃんから100歳以上の高齢者まで、病気や障害を抱えるすべての方が対象です。
病院や施設では、疾患に応じて入院する病棟が分かれていたり、年齢に応じても分かれてることがほとんどです。
小児から高齢者まで幅広い疾患・年齢の方が在宅看護の対象であることは大きな特徴です。
療養者と家族が主体
在宅看護では、療養者と家族が主体です。
病院や施設では治療という目的や集団生活という特徴があるので、療養者は医療者やその場のルールに従うことも多々あります。
しかし、在宅看護では療養者の「こうしたい」「こう過ごしたい」という思いが主体で、療養者(ご家族)の思いや希望がルールのベースとなります。
また、看護をする中心人物も医療者ではなくご家族です。
訪問看護など在宅看護の一部をサポートするサービスは多数ありますが、あくまで在宅看護の主体は「療養者」と「ご家族」です。
在宅療養や在宅看護を支えるケアシステムが整備されている
在宅療養や在宅看護を支えるケアシステムが整備されていることも大事な特徴のひとつです。
例えば以下のようなケアシステム(サービス)があります。
- 訪問診療
- 訪問看護
- 地域包括支援
- ケアマネージャー
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 福祉用具貸与
在宅看護は、住み慣れたご自宅で療養できる精神的メリットが大きい一方で、常にそばに医療者がいない不安や、看護するご家族の身体的・精神的負担があることが多いです。
療養者や看護をするご家族の負担・不安を軽減するため、上記のようなサービスが整えられています。
近年の在宅看護の大きな特徴です。
在宅看護で大切なことは療養者やご家族の気持ち
在宅看護では、どのような医療やケアが療養者・ご家族にとって「看護」となり得るかが各々でまったく違います。
これまで歩んできた人生、価値観、置かれている状況等によって大きく変わります。
ご紹介した5つの在宅看護の特徴を踏まえておくことは、各々に必要な「看護」を考える上でとても大切なポイントです。
在宅看護サポートメンバーの一員である訪問看護師は、その特徴をしっかり理解した上で、医療者としての視点を持ちつつ療養者やご家族の気持ちに寄り添った関わりをすることが大切です。
療養者やご家族にとって「そっとそばにいる心強い存在」になれるといいですね。