次世代訪問看護師紹介vol.37|中込千夏さん~特別編~

関口
「次世代訪問看護師」は、訪問看護の現場で実際に働いている人たちの働き方や想いを紹介するコーナーです。

今回は、いつもの訪問看護師インタビューとは少し違った特別編。

訪問看護事業に加え、自費での移動支援サービスも行う企業・ケアプロの取り組みと、担当の看護師・中込千夏さんをご紹介します!

 

自己紹介

中込さん

ケアプロ株式会社の交通医療事業部の看護師の中込千夏です。

よろしくお願いします!

 

概要紹介~移動支援サービス【ドコケア】とは

関口

さっそくですが、中込さんが働いているケアプロの交通医療事業部の取り組みについて教えてください!

 

中込さん

交通医療事業部では交通弱者2000万人を救う」という理念で自費での外出支援サービスを行っており、外出・移動にお手伝いが必要な方の移動を支援するプラットフォームである【ドコケア】を提供しています。

 

交通弱者とは?

ケアプロ株式会社では、次にあげるような方々を交通弱者と捉えています。

要介護3以上230万人、認知症700万人(2025年推計)、フレイル200万人(2013年推計)、買物難民700万人(2018年、経済産業省)、特定医療(指定難病)・特定疾患患者数986,071人(2010年)、医療的ケア児1.8万人(2010年、医療的ケア児に対する実態調査)、障がい者936万人(2018年、生活実態調査、身体436万人、知的108万人、精神392万人)、その他(妊産婦、ひきこもり、外国人患者、運転を控えるべき高齢者、幼児、病児など)

約2000万人の方が、既存の公的移動支援(通院や通学等)では外出や通勤、旅行等に困難を感じています。

 

関口

交通弱者2000万人・・・!そんなにいるのですね。

簡単にドコケアがどんなサービスか教えていただけないでしょうか?

 

中込さん

ドコケアは、外出をしたい利用者と介助者をつなぐプラットフォームのような存在で、事前に情報登録した利用者(あるいは家族や友人など)が、同じく登録済みの介助者から条件に合う人を選択して外出介助を依頼します。

1時間から気軽に利用可能で、公的サービスのような制限もなく、通勤通学や買い物、冠婚葬祭、旅行など多様な目的で活用できることが特徴です。

 

交通医療事業部との出会いは?~予防事業から移動支援事業へ~

関口

中込さんは新卒からケアプロで働かれているんですよね。

交通医療事業部で働き始めた経緯を教えていただけますか?

 

中込さん

私は京都大学の看護学部を卒業し、2020年春に新卒でケアプロに入社しました。

最初は予防医療事業部にいたのですが、入社してすぐコロナの影響でイベントが行えず、なかなか思っていたような活動ができずにいました。

そんな中、現在いる交通医療事業部の立ち上げの話しがあり、新卒1年目で新規事業に関われる機会はないと思ったため、現在の部署に異動希望を出しました。

 

関口

なるほど・・・ケアプロといえば、予防医療で知られていますよね。

交通医療事業部は新しいサービスなんですね!

ちなみに、新卒から予防医療事業部に行かれたきっかけも伺っていいですか?

 

中込さん

学生時代の実習で関わった緩和ケアを受けている方との出会いがきっかけでした。

その方は、病気の発見が遅く、病気を見つけてすぐの余命宣告でした。私と同い年くらいのお孫さんがいて、いろいろなことを話してくれました。

実習の最終日に「この先あなたに会えることはきっとないけど、応援しているわね」と言われた時に、「もう二度と会えないんだ・・・」と実感して悲しくなりました。

もっと早く病気が見つかって違う出会い方ができていたら「またどこかで会おうね」と笑顔で別れられたのかもしれない、末期になる前にアプローチできることはないだろうか?と思うようになり、予防医療に関心をもつようになりました。

 

関口

もう会えない・・・。

患者さんにそんなふうに言われると、心がギュッと締め付けられるように切なくなりますね・・・。

予防医療の中でもたくさんの働き方があったと思うのですが、ケアプロを選んだ決め手はあったんですか?

 

中込さん

保健師として自治体などで働くのもいいと思ったのですが、自治体のイベントに来ることができる人は、そもそも健康意識が高い方たちですよね。そう考えると「本当に予防医療を届けたい人達とは出会えないかもしれない」と思い、別の働き方を考えるようになりました。

就職先に悩んでいた際に、他の学部の友人に相談したところ、ヘルスケア系の一般企業という新しい選択肢を教えてくれました。

「そんな道もありなんだ!」と思い、一般企業を探し始めました。

 

移動支援事業に感じていたイメージは?

中込さん

最初は「どのくらい需要があるものなのか?」と疑問や不安に思う部分もありました。

ですが、調べていく中で外出へのニーズがあること、外出に対する知識を提供しているコンテンツが少ないことがわかりました。

自分が普段移動に困っていないから、需要があっても気が付いていないだけだったことに気づきました。

サービスを始める頃には「このサービスを通して、家と外出先の点と点を繋ぐ線のような取り組みができるのでは?」と思うようになりました。

 

関口

訪問看護をしていても、家に引きこもりがちな利用者さんが多く、訪問看護やヘルパーが唯一の社会との窓口になっているなと感じることがありました。

とはいえ、訪問看護や介護の中だけでできることには限りがありますよね。

ドコケアのような外出支援に特化したサービスがあることで、その人の活動範囲を拡大することができたら、その人自身の可能性も拡大していきそうですね!

 

移動支援事業を始めてみて~外出支援のニーズや実際~

関口

実際にドコケアで外出支援サービスを始めてみていかがですか?

やってみての変化や感じたことなどを教えてください。

 

中込さん

私が想像していた以上に外出支援には需要があり、社会的に必要であることを感じました。

特に需要がある方は、医療的ケア児のお母さん、若い身体障害の方、ご高齢の方の通院支援などです。

 

関口

通院支援は、公的サービスだと院内までの付き添いができないんですよね・・・。

そのため、ケアマネさんがボランティアで同行しているケースもあったりしますよね。

 

中込さん

そうなんです。だからと言って自費でお願いするのかというと、自費サービスは高価で頻繁には利用できないのが現状です。

ドコケアは、※最低1時間1500円〜介助者さんと依頼者さんで話し合って、自身で料金を設定できるので、比較的安く利用する事ができるのも一つの特徴です。

また、ドコケアでは外出支援に特化した保険を備えているため、介助者にも安心して介助をしていただけます。

 

※利用料は介助者さんと相談して決めることができますが、推奨料金は2750円/h~としています。

 

 

やりがいや喜びを感じること・嬉しかったエピソード

中込さん

数年ぶりに小旅行をした重度障害の方のエピソードが印象的でした。

最初は「人の手を借りてまで外出するのは・・・」と躊躇している部分もあり、外出前は表情がとても硬くなっていました。

少し心配していたのですが、旅行から帰ってきたらとても笑顔で「次は温泉にでも行く?」って未来の話しもでたんです!

一回のお出かけが、その人の自信になり、諦めていたことが希望になった瞬間でした。

 

関口

素敵ですね。

この一回の外出が、これからの生活でも自信となって、新たなことに挑戦する活力になりそうですね。

 

大変だった・苦労した場面やエピソード

中込さん

事業のロールモデルがないため、全てがトライアンドエラーであり、大変ですがやりがいも大きいです。

上場企業や有名な訪問診療、訪問看護の管理者らとドコケアの提携について毎日のように打ち合わせをして、一緒に事業を作っていく難しさと楽しさがあります。

また、移動支援に関するノウハウが見つからず、自分たちで作成したり、チラシのデザインや契約書を作ったり、業務範囲も幅がとても広く新しいことへの挑戦の日々です。

もっとドコケアを広げてたくさんの方に使って欲しいという想いもありますが、何より介助者さん、利用者さんが安心して使えるようにサポートしていきたいと思い、日々試行錯誤しています。

 

関口

本当に幅広い業務ですね・・・!

実は先日、私もドコケアに登録してみたのですが、安心面に対して様々な工夫をされていると感じました!

利用者・介助者ともに知らない人同士だと少し利用ハードルが高いのかなと思ったのですが、そういった面への配慮もされていますよね。

 

中込さん

はい、安心して使える工夫として、顔見知り機能というものがあります。

普段から利用している訪問看護ステーションや、施設の介護スタッフさんに登録してもらい、一緒に外出することができます。勇気を出して挑戦したことがネガティブな経験にならないよう、最初は知り合いの方とご利用することをお勧めしています。

他にも、ドコケアの使用方法や外出時の注意点などをまとめたドコケア学を作成しています。

 

関口

ドコケア学も拝見しました!

とても可愛いイラストで見やすく分かりやすいですよね!

 

これから先、どんな看護師になっていきたいですか?

関口

ケアプロの取り組みやドコケアについて知ることができました。これからもっと社会に広まってほしいサービスですね・・・!

最後に、中込さん自身の今後のビジョンや目指す看護師像を聞かせてください!

 

中込さん

患者さんやご家族さんが何を大切にしたいのかを一番に考えて、それを尊重していける人でありたいです。

今やっている事業を通して、地域で暮らす患者さんに笑顔を届けたいです。

また、医療職の新しい働き方のロールモデルとなって、ヘルスケア業界を盛り上げたいです。

 

関口

次世代訪問看護師~特別編~いかがでしたか?

訪問看護とは違った切り口でしたが、今回お話を伺って、利用者の元に伺って外出を支援する【ドコケア】は訪問看護・地域支援に通ずる大切なサービスだと感じました。

とても希望のある取り組みで、今後が楽しみです!

中込さん、ありがとうございました!

 

ドコケア

・ドコケア 公式HP

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中込さん

ドコケアでは介助者として登録してくださる方を募集しています。

興味を持たれた方は、ぜひ公式HPやSNSをチェックしてみてくださいね!

 

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関口
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