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「おくりびとが伝える、お看取りにおいてのグリーフケアとエンゼルケアについて」(2023.10.27)
講師:株式会社おくりびとアカデミー 代表取締役、ディパーチャーズ・ジャパン株式会社 代表取締役 木村 光希氏
今回は、令和5年10月27日に開催した有料会員向けセミナーのご紹介です。
まずは講師の紹介です!
講師紹介
木村 光希/ Koki Kimura
- 株式会社おくりびとアカデミー 代表取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社 代表取締役
講師プロフィール
- 1988年北海道札幌市生まれ
- 映画「おくりびと」の技術指導を行った納棺師を父に持つ
- 大学在学中に納棺師としてのキャリアをスタート
- 大学卒業後、韓国、中国、台湾、香港などで現地指導を行い、納棺の文化を広める
- 2013年に株式会社おくりびとアカデミーを設立し、代表取締役に就任
- 同年、一般社団法人日本納棺士技能協会を設立し、納棺技術の資格付けとクオリティ維持に尽力
- 2015年に「おくりびと®のお葬式」葬祭ブランドを立ち上げ、全国9店舗を展開
- NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、メディアに多数出演
講義内容スタート
今回講師を務めてくださるのは、映画「おくりびと」の技術指導を行った納棺師を父に持ち、自身も「おくりびと®のお葬式」と「おくりびとアカデミー」の事業展開され、納棺師として活動されている木村様です。
木村様は日本だけでなく台湾や中国などのアジアでも納棺の技術を伝えられるなど、幅広くご活躍されています。
講義は、以下の内容で構成されています。
第一部 納棺師について
第二部 グリーフケアについて
第三部 エンゼルケアについて
木村様は初めに、「納棺師は葬儀会社からお仕事の依頼をいただく下請けとしているところがあるため、葬儀の規模によっては納棺師が入らないこともあったり、ご遺体の初期の処置をすぐにしてあげられないというジレンマがあります。」とお話しされました。
木村様は、もっと早く、そしてもっと長い間故人様やご家族様と関わりたいという思いから「おくりびと®のお葬式」という会社を立ち上げられており、木村様の納棺師としての強い熱意を感じました。
木村様が納棺師の中で目的として置いておられるのは「グリーフケア」です。
「大切な人を亡くしてしまった方の悲しみや痛みをどれだけサポートできるかが目的であって、納棺やお化粧は手段でしかない」と、グリーフケアに対するご自身の確固たる考えを説明してくださいました。
グリーフとは喪失体験によって引き起こされる、様々な思い・感情・思考が「閉じ込められた状態」
講義の中では、木村様のこれまでのキャリアや豊富な経験からグリーフで大事にしているワークやケアについて、「折り合いをつけるための6つのニーズ」を図で共有していただきながら、丁寧に分かりやすく説明していただきました。
納棺の儀式で大事なことは、遺されたご家族に死という現実を認識していただく中で実際にご家族にお着替えやお化粧を手伝っていただき、死の現実を受け止めてもらうことだとお話されました。
訪問看護師はお看取りをすることもあり、葬儀業界と医療業界がグリーフワークを一緒にできないかなと考えたときに、間にあるものがエンゼルケアです。
木村様は、葬儀業界と医療業界が共にエンゼルケアを高めていき、より良くしていくことが社会にとって良いのではないかと考えておられます。
講義の中では納棺師が行う死後の処置についても解説してくださり、実際のエンゼルケアやエンゼルメイクの動画も見せていただきました。
納棺師の死後処置のリアルを知ることができ、エンゼルケアの理解をより深められました。
このほかにも納棺師が行っているケアの10項目を解説してくださり、訪問看護の現場ではなかなか見えない部分のため、新たな知見を広げることができました。
納棺師が医療従事者にエンゼルケアとして行って欲しいと思っていることや、どのような情報を看護師に共有して欲しいのかを納棺師に行ったアンケートを基に教えていただきました。
その中で、木村様が「医療従事者に伝えたい!」と強く言われていることがあり、それは「保湿」でした。
死後はご遺体の乾燥が強くなっていくため、看護師のエンゼルケアの際に保湿は徹底していただけたらありがたいと言われていました。
徹底的な保湿が重要な理由は講義の中でお話しいただいており、使用する保湿剤についてもどんなものが良いのかご紹介がありました。
納棺師の目線を知ることで、より故人に寄り添ったエンゼルケアを考えるきっかけになりました。
また、利用者様の死後は納棺師の到着までに大体24~36時間要するそうなので、看護師が納棺師に引き継ぐまでの間、時間軸を想定したエンゼルケアを行う重要性も認識することができました。
訪問看護師が利用者様に関わる中で、体の状態や処置状態や好きなものなど情報をメモ書きでもいいので残しておくと、お看取り後看護師から引き継いだ納棺師はより良いエンゼルケアへつなげていくことができます。
木村様の講義は多くの実例を通した内容であり、訪問看護の質を更に向上させるヒントを得ることができました!
質問タイム・交流会
講義後は多くの参加者の方からたくさんの質問が寄せられましたので、その中の一部をご紹介します。
入れ歯を失くしてしまってもうないという方がいたり、入れ歯が合わない方もおられますが、無理やり入れて整えた方がいいのでしょうか?
入れ歯が使用できない状態やなかなか口が閉まらない場合は、どんな処置をしていた方が葬儀屋さんは助かりますか?
サイズが合わなくなっていたり、一時のタイミングでは入るけど後から浮いてきて口が後々開いてくる要因になることもあるため、ご遺族の強い要望もあると思うんですけど基本的にはつけない方がいいと思っています。・・・(続きはぜひ動画視聴でご覧ください。)
このほかにもたくさんの感想や質問がありました。
エンゼルケアのプロである納棺師の方から具体的な処置方法や医療者に希望することなど生の声を聴くことができ、エンゼルケアやエンゼルメイクの知識も広がりとても学びの深い時間を過ごすことができました!
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株式会社ビジケアの代表の上妻(コウヅマ)です。
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