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「終末期や医療依存度の高い利用者様を受け入れる『事業所創り』のための勉強会」
講師:がん専門看護師 具志堅 春香 氏
今回は、令和4年5月28日に開催した有料会員向けセミナーのご紹介です。
まずは講師の紹介です!
講師紹介
具志堅 春香/Haruka Gushiken
- がん専門看護師
- 社会福祉法人乙羽会 グリーンハウス訪問看護 管理者/看護師
講師プロフィール
- 急性期病院 勤務15年
- 沖縄県立看護大学大学院へ入学し、がん看護専門看護師取得
- その後、カウンセラー取得
- 病棟勤務:血液内科、泌尿器科、皮膚科、耳鼻科、小児科、産科
- 入退院支援センター 主任
- がん相談支援センター
- 緩和ケアチーム専従看護師
講義内容スタート
まず初めに、具志堅様がどんな人でどんな事業所なのか、沖縄の特性もふまえお話しくださいました。
具志堅様が訪問看護を開所しようと思ったきっかけは、地元沖縄名護市は在宅で看取りしている方が多かったこと、そして病院で働いていた時に看取りを見て違和感を感じたこと、また看護師の働き方にも疑問を抱いたことで、沖縄県那覇市で訪問看護を開所することに至ったという経緯をお話しされました。
開所当初の事業所運営は、訪問看護未経験の看護師3名で、体制は土日休み、就業時間9-17時、24時間対応、開所時新規依頼8件でうち終末期5件でした。現在は終末期の依頼が多く、週末の依頼も多いため体制をガラッと変えて365日24時間対応に変え、今は毎月新規依頼が10~15件、介護保険6割、医療保険4割、看取り平均が4~6件受けているとのお話でした。
次に、今回の内容の講義が始まります。
第一部 これからの訪問看護に求められること
第二部 利用者を受け入れるための体制作り
第三部 職員のマネジメント
まず「これからの訪問看護に求められること」について、データを見せていただきながら講義していただきました。
その中で、印象的だったことが次のようなことでした。
- 看取りの場所が徐々に変わってきている
- パイプ作りをしたほうがいい
- 老人ホームの看取りが増えてきている
- 医療保険を利用する方が増えてきている現状がある
- 利用者さんが重症、多様化、複雑化している
- 先を見据えた物品管理が必要
具志堅様の事業所の利用者さんは、AYA世代や小児がんや高齢者の看取りがあり、重症度が高く、医療保険の半分は末期がんです。
介入している医療処置も利用者さんの重症度が高いため、例えば抗がん剤翌週の骨髄抑制した際の皮下注射も実施しているとのお話もあり、専門看護師や認定看護師の資格持った看護師がおられると重症度の高い利用者さんもこのように受け入れやすい体制ができることを再認識しました。
アクションプランで打ち出されている2025年に向けて訪問看護も体制を整え、運営していかなければならないという内容のお話もあり、訪問看護に求められていることは次のようなことがあります。講義の中では一つ一つ説明してくださいました。
訪問看護の量的拡大
訪問看護の機能拡大
訪問看護の質の向上
地域包括ケアへの対応
次に、「利用者を受け入れるための体制作り」について講義していただきました。
具志堅様の事業所では、職員にケアの中で看護とは何なのかを常に考えてもらうことを徹底されており、業務終了後にもケアの定義について話す機会を設けておられます。
終末期には様々なサービスを組み合わせないといけないため、調整を見落とさないようにマネジメントしているとお聞きし、管理者のマネジメント能力が高いことに驚きました。
そして、入職時に力を入れておられることが、言葉のイメージについて何回も話すということだそうです。
「ターミナルケア」「緩和ケア」「終末期」「ホスピス」の言葉のイメージについて、講義の中でもこの4つの違いを丁寧に分かりやすく参加者にも説明していただき、間違えて認識している自分に気づくこともでき正しい言葉の学びを得られました。
具志堅様の事業所では、終末期に限らず基本的に緩和ケアのマインドを軸にしておられます。
緩和ケア、終末期の看取りはチーム医療が重要となるため「チーム医療」「意思決定支援」「家族ケア」この3つを強化してと職員に伝えておられるそうです。
話を聞くに連れて、具志堅様の教育や管理能力がとても優れており、事業所職員の意識も高いことがうかがえました。
具志堅様は、職員のコミュニケーションも大事にされています。事業所内にゲーム置いていたり、食事を一緒にしたり、サボテンを育ててみるなど、みんなで何かをやるという時間を作られています。
直接なコミュニケーションが40%しかないところは離職率高いため、電子機器があっても直接話すことは大切になるので、意図的にそういう場を設けているそうです。
ターミナルケアが一番チーム医療を発揮される場面であり、看取りでは色々な職種が関わってきます。
病院は早期退院を目指しており、コロナ感染症の影響もありますが家族指導があまりできていない現状があるため、訪問看護では医療指導が増えてきている現状があります。
専門的な看護師がいることで、ストマや褥瘡処置が途中でも家で調整できたり、問題解決が早くできることがメリットとなりますし、専門看護師、認定看護師は横の繋がりもありますので病院に属している認定看護師と情報共有もできるため、ストマ外来の予約もスムーズに行えるとお聞きし、専門看護師や認定看護師の在宅での役割を改めて確認することができました。
講義の中で教えていただいた専門看護師と認定看護師は役割の違いが次の通りです。
認定看護師の役割:実践・指導・相談
専門看護師の役割:実践・相談・教育・調整・倫理調整・研究
次に「職員のマネジメント」について講義をしていただき、具志堅様は管理者として職員の得意なこと不得意なことを把握するように心がけているとお話くださいました。
講義の中では、管理者として必要な能力を5点具体的にお話しいただき、管理者の方にはとても参考になる内容でした。
また、職員のマネジメントは、知っている知らないという表やユングの内向性・外向性、マズローの5段階マネジメントなどを活用し、職員のモチベーションを下げないように関わりを持つように意識されています。職員のマネジメント方法についても具体的に教えていただき、どこの事業所でも真似できそうな職員への関わり方を学ぶこともできました。
利用者さんと一緒に撮った写真を見せていただきましたが、笑って終末期のケアを行っている姿がとても印象的でした。
最後に、「スタッフにどんどん役割を与えつつ、その中で何をしているのかを把握しながら可視化してあげて、意図的にサポートに入るということを管理者としてやっていくと重症度の高いだとか医療依存度の高い利用者様の介入が可能になる事業所作りになるのではないか」というお話で締めくくられ、講義は実際の現場の話を具体的に知れる内容でとても有意義な学びとなりました。
質問タイム・交流会
最後に質問タイムとなり、多くの参加者の方にたくさんの質問が寄せられました。
その中の一部をご紹介します。
一番直近でいえば、小児がんの子を看取ったので、お母さんたちはベッドサイドにいて吸引とかできる事が多いけど、弟さんがどうやってケアに参加するかなと。病気のことを説明する前は、弟さんはお姉ちゃんに触れたらいけないと思ってたと聞いた。どこでも触って大丈夫だよと伝えて一緒にお姉ちゃんに触れた。
シーツ交換が弟さんになら出来るかなと思った。弟さんはシーツ交換してあげてちゃんと最期までお姉ちゃんに話しかけていたのがすごく印象的だった。「自分はちゃんと自分で生きる」って意識のないお姉ちゃんに言ったのもすごく印象的だったし、ちゃんと理解しているんだなと思った。
この家族はお父さんも参加してお母さんも役割があって、私たちもむしろ役割があって、子供の床ずれは見たくないっていう親の気持ちがあったので、その処置は私たちが担当して、私たちがその処置に入るときは3人の家族の時間を過ごしてもらった。割と綺麗に役割分担できていて、みんな参加して家族も参加できるケアがすごく印象に残っている。
今回の講義を聞き、家族ケアがとても重要であることを痛感し、実際に経験された小児の看取りのお話を聞くとグッと胸に込み上げて来るものがあり、とても素敵な看護をされているのだなと感銘を受けました。
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