皮膚・排泄ケアの分野は「創傷」「ストマ」「失禁ケア」の3つの分野で構成されています。
本記事は基本となるスキンケアについて解説します。
スキンケアには大きく2つの意味があります。
- 創傷に対しての「治療的なスキンケア」
- トラブルを防止のための「予防のためのスキンケア」
スキンケアで重要なのは「皮膚障害のリスクに気づいて予防ケアで終わらせること」です。
そこで本記事はスキンケアの知識を高めるため下記を解説します。
- 皮膚のバリア機能
- 明日からできる基本的なスキンケア

目次
高齢者の皮膚と傷
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」で構成されており、さまざまな役割を担っています。
表皮は、「潤い」「バリア機能」を担っています。
真皮は、コラーゲンやヒアルロン酸などで構成されています。
皮膚のシワ、ハリ、たるみに関係しており、紫外線を浴びると減少します。

美容のために紫外線対策が必要と言われる理由はここにありますね。
皮膚のバリア機能〜健康な皮膚〜
皮膚の角層の中には「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質(セラミド)」などの保湿成分があり皮膚は潤いが保たれます。(※イラスト左下)
さらに角層の表面は皮脂膜に覆われており、水分の喪失や、細菌の侵入を防いでいます。
なお、皮脂膜は「セラミド」「汗」「皮脂」が混じったもので、PH4〜6の弱酸性で保たれています。

看護師は皮膚の潤いと、弱酸性である皮脂膜を守っていけるかがケアのポイントです。
皮膚のバリア機能〜高齢者の皮膚〜
高齢者の皮膚は、角層の隙間にあるセラミドや天然保湿因子が少ない状態です。
角質層は隙間ができて、そこから水分が逃げてしまいます。
また、外からアレルゲンや細菌が侵入しやすくなり、かゆみや炎症の原因となります。(※イラスト右下)
また、高齢者の皮膚のポイントとして上げられるのが「表皮突起」の平坦化です。
「表皮突起」は表皮と真皮の結合部にあり、健康な場合に大きな「波状」となっています。このおかげで表皮が簡単に剥がれないようになっています。

高齢になると表皮突起は平坦になり、表皮が剥がれやすくなります。例えば少しだけ手足をぶつけただけで皮膚が向けやすくなり、いわゆるスキンテアの原因となっています。
明日から実践できる基本のスキンケア
では、具体的なスキンケアについて見ていきましょう。
スキンケアの基本は主に下記の4つです。
- 洗浄:皮膚から刺激物、異物、感染源を取り除く
- 保湿:角質層の水分を保持する
- 被覆:刺激物、異物、感染源などを遮断、高熱刺激、物理刺激を小さくする
- 水分の除去:皮膚の浸軟を防ぐ
「被覆」は皮膚の保護です。おむつ内の皮膚を排泄物の刺激から守ったり、紫外線から皮膚を守ることなどがあげられます。

「水分の除去」は、尿などの汚物、汗、褥瘡の滲出液など、皮膚の浸潤から起こる二次的な損傷から守る目的があります。
皮膚の洗浄
皮膚の洗浄で重要なのが、「洗浄剤の使用」です。
皮膚には常在菌や、感染や炎症の原因となる起炎菌が付着しています。
定期的に細菌を減らすためにはお湯や、生理食塩水だけではなく洗浄剤の使用が重要です。
ただし、洗い過ぎると皮膚表面の皮脂膜が取れすぎて、乾燥がすすむ可能性もあります。
汚れだけを取って、皮脂を取りすぎない洗浄剤の選択が重要です。

また、清潔ケア時の全身清拭や、ナイロンタオルの使用による擦りすぎにより乾燥がすすむケースもあるので注意しましょう。
洗浄剤のpH
洗浄剤を選択するときはpHの違いを意識しましょう。洗浄剤の種類は大きく分けて「アルカリ性」と「弱酸性」が2種類があります。
- アルカリ性:洗浄力、脱脂力が高い
- 弱酸性:弱酸性で低刺激、脆弱な皮膚に最適
人の肌はpH4.5〜6.0の弱酸性です。
一般的に「石鹸」と呼ばれるものは「日本産業規格」によりpH9〜11のアルカリ性と定められており、特徴は「泡立ちの良さ」「洗い心地の良さ」「洗浄力が強さ」が上げられます。
「ベビー石鹸」「無添加石鹸」などは皮膚にやさしいイメージがありますが、pHの観点から高齢者には刺激が強いので注意が必要です。

高齢者などドライスキンがすすんだ肌では「弱酸性」が推奨されます。
皮膚の保湿
洗浄後は継続的な皮膚の保湿が重要です。
保湿剤を選ぶときは薄くて弱い高齢者の皮膚に合わせて、滑りやすい「ローションタイプ」が推奨されています。
また、セラミド成分が配合されているものがおすすめです。
塗るときは毛の流れに沿って、抑えるように、強く擦らないように広げていきます。塗る量は「塗った部分が光って見える」「ティッシュペーパーがくっつく」程度が推奨されています。

また、乾燥対策としては保湿剤入りの入浴剤の使用もおすすめです。
スキンケアの知識を深めてトラブルを防止しよう
本日はスキンケアの基本や具体的な方法を解説しました。
スキンケアは看護の場面のほか日常生活でも役立つ知識です。
本講義を参考に、日々の肌のお手入れに役立てていもらえれば幸いです。

また、文章では分かりづらい場合は下記の動画視聴もおすすめです。
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高齢者や、基礎疾患、治療にともない皮膚が脆弱になっている方は在宅にも多くおられます。現場での知識を高めるためぜひ最後までご覧ください。