訪問看護情報提供療養費1・2・3とは?算定要件を解説

「訪問看護情報提供療養費1・2・3って、結局何が違うの?」「学校に情報提供したときは、どの療養費で算定すればいいのか分からない」——医療保険での訪問看護に関わる中で、こうした戸惑いを感じたことはありませんか。

訪問看護情報提供療養費は、利用者を取り巻く関係機関との連携を評価する療養費ですが、3種類とも単価が同じ1,500円であるにもかかわらず、対象者・情報提供先・算定頻度がそれぞれ異なるため混同しやすい制度です。この記事では、厚生労働省告示の内容に基づき、療養費1・2・3の違いを整理して解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護情報提供療養費1・2・3の違いと使い分け
  • それぞれの対象者・情報提供先・算定頻度
  • 算定にあたって注意すべき「1人1ステーション限定」等のルール
  • 情報提供に使用する様式の考え方

訪問看護情報提供療養費とは?

訪問看護情報提供療養費とは、訪問看護ステーションが利用者の同意を得たうえで、市町村・学校・保険医療機関等の関係機関に対し、指定訪問看護の状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合に算定できる医療保険の療養費です。訪問看護単体では見えにくい利用者の生活全体を、関係機関と連携して支えるための仕組みといえます。

在宅で療養する利用者は、訪問看護だけでなく、行政の保健福祉サービス、学校での教育・保育、そして入院時の医療という複数の場面を移動しながら生活しています。その移動の節目ごとに、訪問看護が積み重ねてきた情報(病状の経過、実施しているケアの内容、注意すべきポイント等)が正しく引き継がれなければ、支援の質が途切れてしまうおそれがあります。訪問看護情報提供療養費は、こうした「場面の切れ目」での情報の橋渡しを、診療報酬上の評価という形で後押しする制度だと理解すると、3種類の位置づけがつかみやすくなります。

療養費1・2・3はいずれも1回あたり1,500円という単価は共通していますが、「誰に」「どんな目的で」情報提供するかによって種類が分かれています。まずは全体像を一覧で確認しましょう。

種類主な情報提供先算定頻度
情報提供療養費1市町村・指定特定相談支援事業者等利用者1人につき月1回
情報提供療養費2保育所・学校等原則、利用者1人につき各年度1回
情報提供療養費3入院・入所先の保険医療機関等利用者1人につき月1回
看護師 上妻
看護師 上妻

単価が全部同じ1,500円だからこそ、「どの番号を使うべきか」を情報提供先で判断するのがポイントです。市町村なら1、学校なら2、入院先の医療機関なら3、とまず大枠で覚えると混同しにくくなりますよ。

訪問看護情報提供療養費1|市町村等への情報提供

訪問看護情報提供療養費1は、特掲診療料の施設基準別表第7に掲げる疾病等の利用者、別表第8に掲げる者、精神障害を有する者やその家族等、15歳未満の小児などについて、利用者の居住地を管轄する市町村(特別区を含む)または指定特定相談支援事業者等からの求めに応じて、指定訪問看護の状況を示す文書を添えて保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合に算定します。

  • 利用者の同意を得ていること
  • 市町村等または指定特定相談支援事業者等からの求めに応じて実施すること
  • 訪問看護を行った日から2週間以内に文書で提供すること
  • 利用者1人につき月1回に限り算定できること
注意

市町村等が指定訪問看護事業者を兼ねている場合は、療養費1を算定できません。また、同じ市町村等に対して他の訪問看護ステーションが既に算定している場合も算定不可です。1人の利用者につき、算定できるのは1つのステーションのみという点を必ず確認しましょう。

実務のイメージとしては、精神障害を有する利用者について、市町村の障害福祉担当窓口から「サービス利用状況を確認したい」と依頼があり、訪問看護での対応状況を文書にまとめて提供するようなケースが想定されます。市町村・指定特定相談支援事業者等からの「求め」があることが前提になっている点も、療養費1の特徴です。

訪問看護情報提供療養費2|保育所・学校等への情報提供

訪問看護情報提供療養費2は、15歳未満の超重症児・準超重症児、別表第7・別表第8に該当する15歳未満の小児について、通園・通学先である保育所、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部・中学部からの求めに応じて、医療的ケアの実施方法等に関する必要な情報を提供した場合に算定します。

項目内容
算定頻度(原則)利用者1人につき各年度1回
算定頻度(例外)初めて在籍する月・医療的ケアの実施方法変更月は、当該月に月1回追加で算定可能
実施条件前6月間、定期的に訪問看護を行っているステーションが算定

療養費2の算定にあたっては、前回算定した年月日や、保育所・学校等を変更した理由を療養費明細書に記載する必要があります。療養費1・3と異なり原則として年1回という点が最大の特徴です。医療的ケアが必要な小児が学校生活を送るうえで、担任教員や養護教諭が対応方法を正しく理解しておくことは欠かせません。療養費2は、その理解を支えるための情報提供を評価する仕組みだと捉えると位置づけが分かりやすくなります。

訪問看護情報提供療養費3|入院・入所時の情報提供

訪問看護情報提供療養費3は、在宅で訪問看護を利用していた方が、保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院へ入院・入所することになった際、当該利用者の診療を行っている保険医療機関等に対して、指定訪問看護に係る情報を提供した場合に算定します。在宅から入院・入所へと療養の場が切り替わるタイミングでの連携を評価する療養費です。

  • 利用者の同意を得ていること
  • 入院・入所に際して、診療状況を示す文書を添えて紹介が行われるタイミングで実施すること
  • 利用者1人につき月1回に限り算定できること
注意

入院・入所先が訪問看護ステーションと同一の法人である場合や、主治医と同一法人である場合など、一定の条件下では算定できないことがあります。療養費1・2と同様に、同じ保険医療機関に対して他のステーションが既に算定している場合も算定不可です。

算定にあたって共通して注意したいポイント

療養費1・2・3のいずれにも共通する重要なルールが、利用者1人につき、算定できるのは1つの訪問看護ステーションのみという点です。複数のステーションが同じ利用者に関わっている場合は、どのステーションが情報提供を行い算定するのかを事前に調整しておく必要があります。

  • 依頼者・依頼日を訪問看護記録書に記載する
  • 提供した文書の写しを訪問看護記録書に添付する
  • 療養費2では、前回算定年月日や園・学校の変更理由を療養費明細書に記載する
  • 同一の情報提供先に対して複数のステーションが同時に算定することはできない
看護師 上妻
看護師 上妻

特に療養費2の「原則年1回」というルールは見落としがちです。定期的な情報提供のつもりで毎月算定してしまうと返戻の対象になりかねないので、算定履行歴を記録に残しておく習慣をつけたいですね。

情報提供に使用する様式について

情報提供は、厚生労働省が示す別紙様式(療養費1・2は様式1または2、療養費2の学校等向けは様式3、療養費3は様式4)を用いて行うのが基本です。ただし、情報提供先の自治体等で共通様式が定められている場合など、様式に示すべき事項がすべて記載されていれば、その様式を用いてもよいとされています。自治体・学校側から指定の様式を求められた場合は、必要事項が網羅されているかを確認したうえで活用するとよいでしょう。

様式の運用は自治体・学校ごとに細部が異なることも少なくありません。「うちの市はこの書式で」「この学校は独自のシートを使っている」といったケースに出会うこともあるでしょう。そうした場合も、厚生労働省の別紙様式に記載が求められている項目(依頼者・依頼日、利用者の状態、実施しているケアの内容等)が漏れなく反映されているかどうかを、提供前にチェックする習慣をつけておくと安心です。

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よくある質問

訪問看護情報提供療養費1・2・3は同時に算定できますか?

それぞれ情報提供先や目的が異なるため、要件を満たせば同一利用者について複数の種類を算定すること自体は可能です。ただし、それぞれの算定要件(対象者・情報提供先・頻度)を個別に満たす必要があるため、混同せず区別して記録・請求することが大切です。

訪問看護情報提供療養費2はなぜ年1回しか算定できないのですか?

療養費2は、保育所・学校等に対して医療的ケアの実施方法等に関する情報を一定期間ごとに整理して提供することを想定した療養費のため、原則として利用者1人につき各年度1回とされています。ただし、初めて在籍する月や医療的ケアの実施方法を変更した月については、その月に限り月1回の追加算定が可能です。

複数の訪問看護ステーションが同じ利用者に関わっている場合、誰が算定しますか?

療養費1・2・3のいずれも、同一の情報提供先(同じ市町村等・同じ学校等・同じ保険医療機関)に対しては、1人の利用者につき1つのステーションのみが算定できます。複数のステーションが関わっている場合は、どちらが情報提供・算定を行うかを事前に調整しておく必要があります。

情報提供の様式は厚生労働省の様式でなければいけませんか?

厚生労働省が示す別紙様式を用いるのが基本ですが、情報提供先の自治体等で共通様式が規定されている場合等、様式に示す事項がすべて記載されていれば、その様式を用いることも認められています。

出典・参考(公的機関)

告示は改正されることがあるため、実際の算定にあたっては最新の告示本文をご確認ください。

まとめ|情報提供先で1・2・3を区別しよう

訪問看護情報提供療養費1・2・3は、単価は同じ1,500円でも、情報提供先と算定頻度が異なる療養費です。市町村等なら1、学校等なら2、入院・入所先の医療機関なら3、という大枠を押さえたうえで、それぞれの算定頻度・除外要件を正確に確認することが、適正な請求につながります。

この記事のまとめ
  • 療養費1は市町村等へ、療養費2は保育所・学校等へ、療養費3は入院・入所先の医療機関へ情報提供する際に算定する
  • 療養費1・3は月1回、療養費2は原則各年度1回という算定頻度の違いがある
  • いずれも1人の利用者につき算定できるのは1つのステーションのみ
  • 様式は厚労省の別紙様式が基本だが、必要事項を満たせば自治体等の共通様式でもよい

3種類の違いを正確に理解し、適切な記録を残しておくことが、安心して算定するための第一歩です。

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