訪問看護では、利用者さんやその家族にとって最も身近な医療者を目指します。
看護ケアを提供するだけでなく、利用者さんやその家族から在宅での不安や悩みを聞くことも、需要な仕事になります。
つまり、傾聴になります。
傾聴は、医療従事者にとって当たり前のようにやっていることですが、“話に注意深く耳を傾ける”だけと考えてしまっている人も少なくないのでしょうか?
実は、傾聴とは話を聞くだけでは不十分です。
傾聴では、利用者さんや家族との会話の中を通して、気持ちを理解し、共感するまでが重要になります。
今回は、そんな傾聴のポイントについて、記事にしました。
利用者さんやその家族との会話に悩んでいる、何となく傾聴を行っていた方は、是非参考にしてみてください。
目次
訪問看護に求められる傾聴の流れ
傾聴の流れは、下記の通りです。
- 利用者さんやその家族が話しを口出しせずに聞く
- スタッフがうなずく
- 話を短くまとめて伺いを立てる
- 質問する
これらを繰り返し行っていきます。
利用者さんやその家族の気持ちを理解し、共感してくれる人と思ってもらうためには、①・②のうなずきながら話を聞くだけでなく、③・④の看護師からの話しかけが重要になっています。
それでは、傾聴のポイントを6つにまとめて紹介します。
特にポイントの5つ目、6つ目が特に重要になります。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント①
ポイントの1つ目は、看護師の位置になります。
利用者さんの位置に対して看護師は、以下の位置が目安になります。
- 斜め45度程度
- 利用者さんの目の高さと同じもしくは、低め
- 顔と顔の距離は1m弱
この位置は、利用者さんと看護師が会話できて表情を読み取れる位置として考えましょう。
そのため、難聴がある利用者さんでは、話を聞く局面では距離を取り、話かける局面では顔を近づけるなど、臨機応変に変えることも必要です。
但し、近づきすぎは特にメリットがないため、控えましょう。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント②
ポイントの2つ目は、アイコンタクトになります。
アイコンタクトには、好感度を高める、相手に安心感を与えるなどの効果があります。
傾聴の際に、利用者さんやその家族の話を聞く際には、アイコンタクトは行うべき行動です。
しかし、このアイコンタクトは、ただ目を見ていれば良い訳ではありません。
チラチラ見ることでは、相手に挙動不審と思われてしまいます。
じっと見ることでは、話し相手の緊張感を煽ってしまいます。相槌を打ちながら、適度に目線を目から外すことが有効です。
アイコンタクトにおいて、適度とされている時間は3秒になります。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント③
ポイントの3つ目は、うなずきのタイミングになります。
利用者さんが話している時に、うなずくことは会話を弾ませる起爆剤になり得ます。
このうなずきを打つタイミングは、利用者さんやその家族の会話のスピードに合わせることが重要です。
「そうなんですね。」、「うん、うん。」、「へぇ。」などの相槌は、話を妨害することもあるために、意図的に行わなくても良いです。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント④
ポイントの4つ目は、沈黙になってもすぐに話し出さないになります。
傾聴では、利用者さんやその家族の話が途切れるタイミングがあります。
この時に、すかさず質問することは良くありません。
会話においては、人それぞれにテンポがあります。看護師が話し出した途端に会話のテンポが乱れると、利用者さんや家族が話すタイミングを失う可能性もあります。
看護師が話しかける前には、最低でも1秒以上は待つことが良いです。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント⑤
ポイントの5つ目は、相手の感情を言葉にするになります。
これは、利用者さんやその家族の話について、短く伺いをかける局面で使用する重要なポイントになります。
感情に関わる言葉は聞き逃さないようにしましょう。
例えば、「腰が痛くて歩くのがつらいのですね?」「便がでなくて苦しいのですね?」となります。
それでは、なぜ相手の感情を言葉にすると良いのでしょうか?
人間は自分の感情こそが正義と思っています。自分の感情を理解してくれる人=心を理解・共感してくれている人となり、安心感や信頼感を与えやすくなります。安心感や信頼感がある相手には、気さくに話すこともできるし、悩みを相談しやすくなります。
訪問看護に求められる傾聴 ポイント⑥
ポイントの6つ目は、同じ言葉を使うになります。
これは、看護師が話す局面では使用する重要なポイントで、意図的に行うと良いです。コミュニケーションにおいては、オウム返しやバックトラッキングなどと言われています。
利用者さんやその家族と同じ言葉を使う理由は、話をきちんと聞いていることを示すことで、話すことへの抵抗感を減らしたり、会話での安心感を与えるためです。
ここで、同じ言葉を使う際の注意点として、相槌の代わりに使用すると会話のテンポが乱れる場合があります。会話のテンポが乱れると会話は弾みません。
利用者さんやその家族の言葉を使う場合は、3)話を短くまとめて伺いを立てる時、4)質問する時に使用すると効果的になります。
まとめ
今回は、訪問看護に求められえる傾聴の流れとポイントについて記事にしました。
傾聴は、利用者さんやその家族が“自分のことを理解してくれている看護師”と思ってもらうために重要なスキルになります。
ただ、話を聞いくだけでなく、会話を弾ませ共感する局面を作るように、日々、利用者さんやその家族に寄り添ってみてください。