今回は、がん疼痛のアセスメントツールについて、詳しくご紹介させていただきます。
「認知症の患者さんの痛みの評価ができません」
「スタッフによって痛みの評価のレベルに差があります」
といった、認知症の患者さんの痛みの評価について悩む看護師さんからのご相談が増えてきました。
そこで今回は、まず「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」に掲載されている代表的なアセスメントツールを4つご紹介します。
そして、認知症患者さんの痛みの評価に役立つアセスメントツールについても紹介します。
この記事が、皆さんの日々の看護の一助となれば幸いです。
目次
4つのアセスメントツール
患者さんの「痛み」は主観的なものであり、それを客観的に評価し、チームで共有するためには、共通の指標となるアセスメントツールが不可欠です。
特に訪問看護の現場では、多職種が連携してケアにあたるため、一貫した評価基準を持つことが質の高いケア提供に繋がります。
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版に載っているアセスメントツールを4つご紹介します。
1. NRS (Numerical Rating Scale)
NRS(Numerical Rating Scale)です。
これは皆さんも一番よく使われている、メジャーなものだと思います。
NRSは、0から10までの11段階の数字で痛みの程度を評価します。
患者さんには、「痛みがない時を0、耐えられないくらい痛い時、最大で痛い時を10とした場合、今の痛みはどれぐらいですか?」というようにお尋ねします。
このツールの良いところは、レスキュー(頓用の鎮痛薬)を使用した後に、「先ほどの痛みが何点から、今何点ぐらいになりましたか?」というように、効果判定にも使える点です。
私たち医療者にとっても非常に使いやすく、評価がしやすいツールになっています。
2. VAS (Visual Analogue Scale)
次にご紹介するのは、VAS(Visual Analogue Scale)です。
VASは、定規やメジャーで0から10cmの線を引きます。
その線の左端を「全く痛みがない状態」、右端を「これ以上考えられない最悪の痛み」として設定します。
そして患者さんや利用者さんに、「この0から10の線の上で言うと、今の痛みはどの程度のところにありますか?」と尋ね、印をつけてもらうという評価法です。
VASもNRSと本質的には同じようなものですが、使い勝手としては少し手間がかかるかもしれません。
定規やメジャー、そして紙とペンが必要になるため、訪問時などにパッと尋ねて評価するには、少し準備が必要になる点が挙げられます。
3. VRS (Verbal Rating Scale)
3つ目は、VRS (Verbal Rating Scale)です。
VRSの「V」はバーバル(Verbal)、つまり言語を意味し、言葉で痛みを評価する方法になります。
患者さんが「NRSで何点」というように数字で評価するのが難しい場合に有効です。
具体的には、
といった言葉の中から、今の痛みの程度を選んでもらいます。 「今、どれくらい痛いですか?」と尋ねた際に、「うーん、痛い…というか、かなり痛いに近いかな…」といった患者さんの言葉によって、「じゃあ、これぐらい痛いならレスキューを使いましょうか」というように、ケアチーム全体で共通の言語として活用できるのが、このVRSの利点です。 フェイススケールもメジャーなので、皆さん一度はご覧になったことがあるでしょうし、実際に使われている方も多いかと思います。 このツールは、小児の患者さんや、高齢者の患者さんでも使いやすいと言われています。 数字で表現できない、あるいは言葉での表現が難しいという場合に、この表情のイラストを見て「今の痛みに一番近い顔はどれですか?」と尋ね、患者さんの痛みの程度を見極める方法です。 以前は、認知症の患者さんにもフェイススケールで評価をすることが比較的多い傾向にありました。 ここ数年の間に、認知症の患者さんの痛みの評価に特化したツールが出てきています。 フェイススケールだけでは評価が難しい場合に、ぜひ活用していただきたいツールを2つご紹介します。 まず1つ目が、ペインアド (PAINAD) というアセスメントツールです。 ペインアドは以下の5つの項目について、それぞれ0点から2点の3段階でスコアをつけ、その合計得点(最大10点)で痛みを評価します。 合計得点によって、以下のように痛みの程度を判断します。 それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。 0点: 正常(呼吸状態に変化なし) 1点: 随時の努力呼吸、短期間の過換気 2点: 雑音が多い努力呼吸、長期の過換気、チェーンストークス呼吸 0点: なし(ネガティブな発声がない) 1点: 随時のうめき声、ネガティブで批判的な内容の小声での話 2点: 繰り返す困らせるような大声、大声でのうめき、苦しむような声、泣く 0点: 微笑んでいる、または無表情 1点: 悲しい表情、怯えている、不機嫌な顔 2点: 顔を歪めている 0点: リラックスしている 1点: 緊張している、苦しんでいる様子、行ったり来たりする、そわそわしている、落ち着きがない 2点: 硬直、握った拳、引き上げた膝、引っ張る、押しのける、殴りかかるような行動 0点: 慰める必要がない 1点: 声かけや接触で気をそらせる、安心する 2点: 慰めたり、気をそらしたり、安心させたりできない これらの5つの項目の合計得点を出して、患者さんが今どれくらい痛みを抱えているのか、感じているのかを評価します。 そして非常に重要なのが、評価した点数に対して、チームでどのように対応するかをあらかじめ決めておくことです。 例えば、「中等度の痛み(4点以上)が見られたらレスキューを使おう」とか、「高度の痛み(7点以上)の場合は必ず医師に報告し指示を仰ごう」といった具体的な対応策です。 このアビースケールは、ペインアドと似ている部分がありますが、評価項目がペインアドの5つから6つに増えています。 6つの項目をそれぞれ0点から3点の4段階で点数化し、合計得点(最大18点:3点×6項目)で評価します。 合計得点による痛みの程度の目安は以下の通りです。 その6つの項目とは、以下の通りです。 シクシク泣いている、うめき声をあげる、泣きわめいている、といった状況がないかを見る。 緊張して見えたり、顔をしかめたり、苦悶の表情があるか、怯えて見えないか、といったところを見る。 落ち着かずソワソワしている、体を揺らす、体の一部をかばう様子がある、体を避ける、といった様子がないかを見る。 混乱状態の増強、食事の拒否、通常の活動からの変化などが見られるか。 体温、脈拍、呼吸数、または血圧が正常な範囲外であるか。 発汗、顔面紅潮または蒼白などが見られるか。 皮膚の損傷、圧迫されている局所があるか。関節炎、拘縮、過去の障害の既往など。 これら6つの項目で得点を出していきます。 得点のつけ方としては、 というように評価していきます。 ここでの難しさは、「何をもって軽度、中等度、重度と評価するのか」という点が、評価者の個人の裁量に委ねられる部分があるということです。 今回は、がん疼痛のアセスメントツールについてお話ししました。 特にこれから先も、がんと共に認知症を抱えた患者さんというのは多くいらっしゃると思いますし、今後もますます増えていくと予想されます。 そのような中で、
4. フェイススケール:表情で痛みを伝える
認知症患者さんに特化したアセスメントツール
1. ペインアド (PAINAD:Pain Assessment in Advanced Dementia Scale)

1. 呼吸
2. ネガティブな発声
3. 顔の表情
4. ボディランゲージ
5. 慰めやすさ
2. アビー痛みスケール (Abbey Pain Scale) 日本語版

1. 声を上げる
2. 表情
3. ボディランゲージの変化
4. 行動の変化
5. 生理学的変化
6. 身体的変化
まとめ
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