今回は「がん疼痛 応用編 よくある質問」と題して、皆様から寄せられる疑問について、解説いたします。
質問① レスキュー薬だけ処方されたら? 質問② ベースアップのタイミングは? 質問③ アブストラルの使い方がわからない 質問④ どのがんにどの麻薬を使うの? 質問⑤ オピオイドは依存しないの? 質問⑥ フェントステープの注意点は? 質問⑦ いつかオピオイドが効かなくなるのでは?
以上7つの質問について詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読んでください。
目次
質問①レスキュー薬だけ処方されたら?
「MSコンチンやオキシコンチン、フェントステープといった定期薬がなく、オキノームやオプソのようなレスキュー薬のみ処方されることがありますが、問題ないのでしょうか?」
これは、「タイトレーション」と呼ばれる、1日の適切なオピオイド量を決定するための調整期間であると考えられます。
がん疼痛治療の初期には、レスキュー薬のみが処方されることは比較的多く見られます。
この時期、看護師には重要な役割があります。
患者さんには、「痛みを感じたら我慢せずに飲んでください」と明確に伝えることが最も重要です。
「麻薬」や「モルヒネ」という言葉に対して、恐怖心を抱く患者さんは少なくありません。
「安全に使用できる薬剤であること」を十分に説明し、レスキュー薬の適切な使用を促しましょう。
患者さんが痛みを我慢し、レスキュー薬を使用しない場合、医師は「疼痛は軽度である」と判断し、定期薬の導入が遅れる可能性があります。
質問②ベースアップのタイミングは?
「レスキュー薬の使用頻度が非常に多いように感じますが、定期薬の増量(ベースアップ)を医師に相談すべきでしょうか?」
前述の「タイトレーション」では、定期的に使用している徐放性製剤の量とレスキュー薬の量を合計し、1日の総オピオイド量を把握することが重要です。 定期薬:MSコンチン 30mg 1日2回 レスキュー薬:オプソ 10mg 1日2回 この場合↓ MSコンチン:30mg × 2回 = 60mg オプソ:10mg × 2回 = 20mg となり、1日の総オピオイド量は80mgとなります。 この場合、例えばMSコンチンを1日40mg×2回に増量することで、レスキュー薬の使用を減らせる可能性があります。 1日2回の増量は一般的ではないかもしれませんが、レスキュー薬を1日に3回、4回と頻回に使用することが続くようであれば、ベースアップを検討する時期かもしれません。 「アブストラル(フェンタニル速効性製剤)の使い方がよくわかりません。『30分後に痛みが持続する場合は追加投与』とはどういうことでしょうか?また、『1日4回まで』が上限なのでしょうか?」 アブストラルは、フェンタニル製剤の速効性製剤です。 フェントステープを使用している患者さんが、レスキュー薬としてアブストラル舌下錠を使用することが多くあります。 アブストラルの使用方法は、他のオピオイドとは異なります。 これを「1セット」とします。 「4時間あけて追加投与」という指示が多いですが、4時間以内に追加投与ができないわけではありません。 アブストラルは「1日4回まで」とされていますが、これは最初の30分後の追加投与を1回と数えるため、2錠×4セット=合計8錠まで使用可能と考えることができます。 しかし、アブストラルのみでは疼痛コントロールが不十分な場合もあります。 アブストラルが使用できない間隔時は、オキノームやオプソなど、他のレスキュー薬を併用する必要があります。 アブストラルの至適用量を決定することは、非常に困難です。 10時に100μgを舌下投与し、30分後に疼痛が持続するため追加で100μgを舌下投与。 その後、4時間以上経過した14時~15時頃に再び疼痛が出現し、100μgを舌下投与。 30分後に疼痛が持続するため追加で100μgを舌下投与。 上記のように、1回につき2錠ずつ投与した場合は、1回の投与量を200μgに増量することが推奨されます。 アブストラルの使用については、医師の指示に従い、薬剤師にも相談することを推奨します。 「がんの種類によって、使用すべきオピオイドは異なるのでしょうか?」 がんの種類ではなく、患者さんの症状や血液検査の結果などを総合的に判断し、使用するオピオイドを決定します。 モルヒネ、リン酸コデイン(体内で一部モルヒネに変換される)は、腎機能が低下している患者さんには慎重な投与が必要です。 腎障害がある患者さん、透析を受けている患者さんの場合、疼痛緩和の目的でモルヒネを第一選択とすることは一般的ではありません。腎障害が起こりにくいオピオイドが選択されることが多くあります。 肺がんなどで咳嗽、喀痰、呼吸困難などの症状が強い患者さんには、モルヒネが有効な場合があります。 このような場合は、モルヒネが第一選択となることもあります。 「オピオイドは依存性があると聞きますが、本当でしょうか?」 疼痛がない、または軽微であるにも関わらず、「入眠を助けるため」「不安を軽減するため」といった、精神的な安定を目的としてオピオイドを使用する場合は、依存(ケミカルコーピング)を形成する可能性があるため、注意が必要です。 患者さんが不眠や不安といった精神的苦痛を緩和するために、オピオイドを使用することです。 予防投与を行う場合も、「疼痛予防」なのか、「精神的な安定を目的とした予防」なのか、患者さんの意図を確認し、依存につながらないような指導が重要です。 「フェントステープに切り替えて退院する患者さんがいます。指導の注意点はありますか?」 フェントステープは、皮膚に貼付することで、皮下に薬剤が貯留し、毛細血管から吸収される製剤です。 フェンタニルの吸収量は、貼付部位の皮膚との接着状態に影響を受けます。 発赤、発汗、多毛などがあると、接着面が浮き上がり、吸収が妨げられる可能性があるため、注意が必要です。 患者さんへの指導のポイント 入浴前に剥がし、入浴後に貼付するなど、患者さんの生活リズムに合わせて交換時間を設定しましょう。 ちなみに…フェントステープは、血中濃度が安定するまでに2~3日程度かかります。 徐々に効果が現れる薬剤であるため、即効性がないことを説明し、血中濃度が安定するまでは、レスキュー薬を適切に使用するよう指導することが重要です。 「患者さんが『オピオイドは使い続けると効かなくなるのではないか』と不安を感じています。どのように説明すれば良いでしょうか?」 ガイドラインにも明記されていますが、強オピオイドには、投与量の上限がないことが示されています。 つまり、増量すればするほど鎮痛効果が得られる、ということです。 他の多くの薬剤には有効限界があり、一定量を超えると効果は頭打ちになり、副作用ばかりが強く現れます。 しかし、モルヒネやオキシコドンなどのオピオイドには、そのような天井効果がないため、「使用を継続しても効果がなくなることはない」と説明してください。 さらに、「痛みを我慢して放置すると、身体的・精神的な苦痛が増強され、さらに痛みを感じやすくなる『痛みの悪循環』に陥る可能性がある」ことを伝える必要があります。 今回は、がん疼痛治療、特にオピオイドに関するよくある質問について解説しました。 さらに詳細な情報が必要な場合は、各種ガイドラインなどを参照してください。 質問③アブストラルの使い方がわからない
質問④どのがんにどの麻薬を使うの?
質問⑤オピオイドは依存しないの?
ただし、痛みがある状態でオピオイドを使用する場合に限ります。質問⑥フェントステープの注意点は?
特に、認知症の患者さんが自分で剥がしてしまう可能性がある場合は、背部などに貼付することもありますが、熱がこもりやすくなるため、注意が必要です。質問⑦いつかオピオイドが効かなくなるのでは?
まとめ
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