専門管理加算は令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。
今回は、介護保険の加算の一つである専門管理加算について詳しく解説します。
訪問看護における専門管理加算についてお調べの方は、ぜひ参考にしてください!
目次
専門管理加算とは?
医療ニーズの高い訪問看護利用者が増える中で、適切かつより質の高い訪問看護を提供する観点から、専門性の高い看護師が指定訪問看護、指定介護予防訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うことを評価する加算です。
専門管理加算の単位数
専門管理加算の単位数は以下の通りです。
- 専門管理加算…250単位/月
専門管理加算の算定要件
専門管理加算の算定要件は以下の通りです。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問看護事業所の緩和ケア、褥瘡ケア若しくは人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師又は特定行為研修を修了した看護師が、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合には、所定単位数に加算する。
イ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合 ・ 悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行っている利用者
・ 真皮を越える褥瘡の状態にある利用者
・ 人工肛門又は人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者
ロ 特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合 ・ 診療報酬における手順書加算を算定する利用者
※対象の特定行為:気管カニューレの交換、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換、膀胱ろうカテーテルの交換、褥瘡 又 は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、創傷に対する陰圧閉鎖療法、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調 整、 脱水症状に対する輸液による補正
専門管理加算の留意点
上記に専門管理加算の算定要件を記載していますが、以下のような留意点もあります。
専門管理加算を算定する際には、十分に注意してください。
①専門管理加算のイは、悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っ ている利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(重点的な褥瘡 管理を行う必要が認められる利用者(在宅での療養を行っているもの に限る。)にあっては真皮まで状態の利用者)、人工肛門若しくは人工 膀胱周囲の皮膚にびらん等の皮膚障害が継続若しくは反復して生じている状態にある利用者又は人工肛門若しくは人工膀胱のその他の合併 症を有する利用者に対して、それらの者の主治の医師から交付を受け た訪問看護指示書に基づき、指定訪問看護事業所に配置されている、次のいずれかの研修を受けた看護師が、定期的(1月に1回以上)に指 定訪問看護を行うとともに、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に 関する計画的な管理を行った場合に、月1回に限り算定する。
a 緩和ケアに係る専門の研修
(a) 国又は医療関係団体等が主催する研修であること。(600時間以 上の研修期間で、修了証が交付されるもの)
(b) 緩和ケアのための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
(c) 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(i) ホスピスケア・疼痛緩和ケア総論及び制度等の概要
(ii) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群のプロセスとその治療
(iii) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群患者の心理過程
(iv) 緩和ケアのためのアセスメント並びに症状緩和のための支援方法
(v) セルフケアへの支援及び家族支援の方法
(vi) ホスピス及び疼痛緩和のための組織的取組とチームアプローチ
(vii) ホスピスケア・緩和ケアにおけるリーダーシップとストレスマネジメント
(viii) コンサルテーション方法
(ix) ケアの質を保つためのデータ収集・分析等について
(x) 実習により、事例に基づくアセスメントとホスピスケア・緩和ケアの実践
b 褥瘡ケアに係る専門の研修
(a) 国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な褥瘡等の創傷ケア知識・技術が習得できる 600 時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの
(b) 講義及び演習等により、褥瘡予防管理のためのリスクアセスメ ント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修
c 人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修
(a) 国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な人工肛門及び人工膀胱のケアに関する知識・技術が習得できる600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの
(b) 講義及び演習等により、人工肛門及び人工膀胱管理のための皮膚障害に関するアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修
②専門管理加算のロは、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203 号)第37条の2第2項第1号に規定する特定行為に係る同項第2号に 規定する手順書(以下「手順書」という。)の交付対象となった利用者 (医科診療報酬点数表の区分番号C007に掲げる訪問看護指示料の 注3を算定する利用者に限る。)に対して、それらの者の主治の医師から交付を受けた訪問看護指示書及び手順書に基づき、指定訪問看護事業所に配置されている、同項第5号に規定する指定研修機関において行われる同項第1号に規定する特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とする次の行為に係る研修を修了した看護師が、定期的 (1月に1回以上)に指定訪問看護を行うとともに、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に、月1回 に限り算定する。なお、手順書について、主治の医師と共に、利用者の状態に応じて手順書の妥当性を検討すること。
a 気管カニューレの交換
b 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
c 膀胱ろうカテーテルの交換
d 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
e 創傷に対する陰圧閉鎖療法
f 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
g 脱水症状に対する輸液による補正
専門管理加算の運営指導でチェックされるもの
運営指導で準備しておく書類は以下の通りです。
- 研修の修了証
- 算定月に専門性の高い看護師が1回以上訪問看護を実施しているか
専門管理加算のQ&A
厚生労働省の専門管理加算のQ&Aは以下の通りです。
専門管理加算のイの場合において求める看護師の「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」には、具体的にはそれぞれどのようなものがあるか。
現時点では以下の研修が該当する。
①褥瘡ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
②緩和ケアについては、
・ 日本看護協会の認定看護師教育課程「緩和ケア※」、「乳がん看護」、「がん放射線療法看護」及び「がん薬物療法看護※」
・ 日本看護協会が認定している看護系大学院の「がん看護」の専門看護師教育課程
③人工肛門及び人工膀胱ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
※ 平成30年度の認定看護師制度改正前の教育内容による研修を含む。
例えば「緩和ケア」は、従前の「緩和ケア」「がん性疼痛看護」も該当し、「がん 薬物療法看護」は従前の「がん化学療法看護」も当該研修に該当する。
専門管理加算のロの場合において求める看護師の特定行為研修には、具体的にはどのようなものがあるか。
現時点では、特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる以下の研修が該当する。
①「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修
②「在宅・慢性期領域パッケージ研修」
専門管理加算について、例えば、褥瘡ケアに係る専門の研修を受けた看護師 と、特定行為研修を修了した看護師が、同一月に同一利用者に対して、褥瘡ケアに係る管理と特定行為に係る管理をそれぞれ実施した場合であっても、月1回に限り 算定するのか。
そのとおり。イ又はロのいずれかを月1回に限り算定すること。
専門管理加算ってどんな加算ですか?