【訪問看護師必見!】在宅における膀胱洗浄について解説します

 

訪問看護師

訪問看護師です。今度受け持ち利用者さんに膀胱洗浄の指示が出ました。手技や注意することなど教えてほしいです。

 

このような疑問を解決する記事です。

訪問看護では、医師から膀胱洗浄の指示が出ることがあります。

指示が出たときに慌てることなく、正しく膀胱洗浄ができることは大切です。

当記事では、訪問看護師が押さえておきたい「在宅における膀胱洗浄」について解説します。

最後まで読めば膀胱洗浄について正しく理解することができ、自信を持って実施できると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

ではさっそく解説します。

 

膀胱洗浄とは?

 

そもそも膀胱洗浄とは、以下のことを言います。

 

膀胱洗浄とは…

膀胱留置カテーテルまたは膀胱瘻カテーテルを使用して膀胱内を洗浄液(生理食塩水)で洗浄する手技のこと

 

膀胱洗浄の方法としては以下の2つがあります。

 

  • 持続的膀胱洗浄
  • 手動式膀胱洗浄

 

持続的膀胱洗浄とは…

3wayの膀胱留置カテーテルを使用し、膀胱内に持続的に生理食塩水を注入する方法。

血尿がある場合に適応となることが多い。

 

手動式膀胱洗浄とは…

2wayの膀胱留置カテーテルを使用し、生理食塩水をシリンジで注入し排液させる方法

 

実際の現場では持続的膀胱洗浄を行う頻度は少なく、手動式膀胱洗浄が行われることが多いです。

 

膀胱洗浄を行う目的

 

膀胱洗浄を行う目的としては、以下の項目が挙げられます。

 

膀胱洗浄を行う目的
  1. 慢性炎症の治療として膀胱内の細菌・分泌物・粘膜を除去する
  2. 膀胱留置カテーテルの閉塞の解除と予防
  3. 膀胱内の凝血除去
  4. 膀胱結石の溶解

引用:臨床泌尿器科 71巻3号 (2017年3月発行)

 

膀胱洗浄は尿路感染症の予防には貢献しないことがわかっており、感染予防目的の定期的な膀胱洗浄は推奨されていません。

 

膀胱洗浄は必ず医師の指示のもと行いますが、洗浄時はカテーテルの接続部を外すため、感染のリスクが高まる懸念があります。

接続部を外す行為は閉鎖環境を破る行為だからです。

一方で、以下のように述べられている文献もあります。

 

膀胱洗浄は無用と決めつけず効用を見つけるべきで、目的に適合する症例に対しては膀胱洗浄の手間を惜しんではならないと考える。

引用:臨床泌尿器科 71巻3号 (2017年3月発行

 

各利用者さんの状況を十分アセスメントし、医師と相談しながら適切に実施していくことが大切です。

膀胱洗浄実施の頻度に関しては、基本的には医師の指示に基づきますが、尿の混濁や浮遊物の状態によって1〜2回/週程度行われることが多いです。

 

膀胱洗浄の手順

 

膀胱洗浄の手順について解説していきます。

今回は、在宅の現場で行われることの多い手動式膀胱洗浄の手順を解説します。

 

必要物品
  • 生理食塩水
  • アルコール消毒綿
  • カテーテルチップ
  • ゴム製手袋
  • 滅菌カップ
  • 排液を捨てる容器(バケツや尿器など)
  • 尿とりパット

 

 

手動式膀胱洗浄の手順
  1. 石けんで手を洗います。
  2. 利用者さんに膀胱洗浄を行うことを説明します。
  3. 生理食塩水が冷たい場合は人肌程度に温めます(ボトルごと湯煎)。
  4. 排液用容器を準備します。
  5. ゴム手袋を装着します。
  6. 滅菌カップに指示量の生理食塩水を注ぎます。
  7. 膀胱留置カテーテルと導尿バッグの接続部分を外し、導尿バッグの先端はアルコール綿で包む等し不潔にならないようにします。
  8. カテーテルの排液口をアルコール綿で消毒します。
  9. カテーテルチップに生理食塩水を30〜50ml吸い上げ、カテーテルから静かに注入し、膀胱内の洗浄を行います。
  10. カテーテルチップの内筒をゆっくりと引き、注入した量の生理食塩水を吸い上げ洗浄します。排液の性状に異常がないか、療養者に苦痛がないかを観察しながら行います。
  11. 注入した分だけ吸引できなくても自然に流出するので無理に吸引しなくても大丈夫です。
  12. 膀胱内にはカスが沈殿していることがあるため、カテーテルチップを数回ピストンし、乱流を起こしてカスを巻き上げ吸引するのも効果的です。
  13. 吸い上げた液を排液用容器に捨てます(パットに染み込ませてもOKです)。
  14. 洗浄液がきれいになるまで繰り返します。
  15. 終了したら、カテーテルと導尿バッグそれぞれの先端をアルコール綿で消毒し接続します。
  16. 尿の流出、利用者さんの状態を観察します。
  17. 寝衣などを整え、物品を片付けて終了します。

 

膀胱洗浄回避のための予防策

 

膀胱洗浄をルーティンで継続していくのではなく、なるべく膀胱洗浄を回避するための予防策を行っていくことも大切です。

 

  • 飲水の促し
  • 尿の流出を促す(適宜ミルキング)
  • 陰部の清潔を保つ

 

上記のような予防策も忘れず講じていきましょう。

 

訪問看護師として正しく膀胱洗浄を理解しておこう!

 

訪問看護の現場では、膀胱洗浄を行う場面が多々あります。

膀胱洗浄について正しく理解し、実施できるようにしておくと、いざというときに慌てず対応できます。

ぜひマスターしておきましょう!

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当記事の参考書籍

 

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シュガー看護師/ライター
看護師|総合病院で9年勤務後訪問看護の道へ。訪問看護師歴は11年目。2児の母でもあり現在は訪問看護パート勤務で仕事も家庭も奮闘している。隙間時間を活用し訪問看護転職を応援する「ママさん訪問看護師のブログ」を運営中。最近ハマっている食べ物はそば。