作業療法士が考える!利用者さんへの生活リズムの指導方法

 

利用者さんの生活リズムを、どこまで把握できていますか?

在宅でのサービスでは、利用者さんの生活場面へ訪問するので、生活リズムを目の当たりにします。

生活リズムへの指導が求められる訪問看護ですが、なかなか難しいことが多いですよね。

今回は、生活を評価する専門家である作業療法士が考える利用者さんの生活リズムの評価と指導方法について解説します!

 

生活リズムの評価

 

まずは生活リズムの評価方法についてです。

いきなり生活リズムを変えましょうと言っても、何をどう変えれば良いかわからなければ意味がありません。

私がおすすめする方法は、1日のスケジュールを時系列に沿って聞いていくことです。

特に大事な睡眠、食事、活動の3つについて整理していきます。

では、ここから具体的に説明します。

 

睡眠時間を把握する

 

生活リズムを整えるために、まず睡眠時間を把握しておきましょう。

睡眠は、健康増進・維持に不可欠な休養活動と言われています。

実際、訪問看護をしていると、睡眠時間が極端に短い場合や、寝つきが悪いなど、睡眠についての課題はかなり多いと思います。

睡眠時間によって心身の状態が変化しやすい方も多いですね。

日中の睡眠時間が長くなってしまい昼夜逆転になってしまう方も多いのではないでしょうか。

生活リズムを整えるのに欠かせない睡眠時間については、以下の3点について把握できると良いです。

 

  • 直近数日間の睡眠時間
  • 数ヶ月前の睡眠時間
  • 理想の睡眠時間

 

また、起床や入眠のタイミングについても把握しておくと、パターンが掴みやすいかと思います。

 

参考

厚生労働省では、政策として睡眠対策についてのガイドラインを発布しています。

健康づくりのための睡眠ガイド2023

 

 

食事のタイミングを把握する

 

続いては、食事のタイミングについて把握しておきましょう。

食事については、1日3食決まった時間に食べているという方は、在宅では多くありませんね。

入院していると、1日3食決まった時間に出てきますよね。

在宅になると、元々の生活リズムもあるので、朝食を摂らない方や夕食が遅い方もいます。

個人差が大きいので、食事のタイミングの把握はとても重要です。

訪問看護では、内服管理もサービス内容の1つですよね。

食前、食後の内服薬のタイミングにもなるので、把握しておきましょう。

 

活動について把握する

 

最後は活動について把握することです。

活動は、1日24時間ある中で、睡眠、食事以外の時間はかなり多く、個人差が大きいです。

また、日によって活動内容が異なるため、評価するべき3つの中で1番大変だと思います。

いきなり活動全てを把握するのは難しく、時間もかかります。

まずは利用者さんが答えやすいところから聞いていくと良いですね。

活動内容がある程度わかっていれば、具体的に聞くと答えやすいです。

 

  • デイサービスは何時から何時までですか?
  • 作業所は何時に家を出ていますか?家に着くと何時ですか?
  • 洗濯は午前中何時頃にしていますか?など

 

活動内容がわからない場合は、活動内容から把握しましょう。

 

  • 午前中は何をしていることが多いですか?
  • 外出することはありますか?など

 

生活リズムの指導

では、実際の生活リズムの指導方法についてです。

生活リズムの指導については、説明と実行の2つ挙げています。

1つずつ解説していきます。

 

生活リズムの指導についての説明

 

まずは、先ほど述べた生活リズムの評価をした上で、なぜこの生活リズムなのかを考えます

今の生活リズムになった背景等がわかるとより良いですね。

そして、今の生活リズムの問題点を挙げます。

ここで注意なのは、こちらが問題点と考えていても、利用者さんからしたら問題点と思っていないことがあるということを認識しておきましょう

この問題点については、サービス提供側と利用者さんとで、かなりすり合わせが必要です。

利用者さんからしたら問題点と思っていないのに、指導されるのは逆に苦痛を与えてしまいます。

利用者さんによっては、細かな説明が必要になる場合もあります。

また利用者さんだけでなく家族に説明が必要な場合も少なくありません。

まずは、なぜ生活リズムを変えなければいけないのかを、しっかり説明しましょう

 

生活リズムの指導の実行

 

生活リズムについての指導について、利用者さんから同意が得られれば、実行となります。

生活リズムの指導について、具体的なポイントは、今の生活に一工夫加えることから始めることです。

具体的な例を挙げていきます。

 

例1)日中の活動が少なく、ベッド臥床の時間が長くなっている
  • トイレに行って戻ってきたら踵上げを10回する。
  • 食事が終わったら座位時間を15分長く取ってみる。

 

例2)食欲低下に伴い1日1食になっている。
  • 間食を入れる。
  • 栄養補助食品を試してみる。
  • 食べやすいものから少しずつ量を増やしてみる。

 

例3)夜間起きている時間が長く朝起きられない
  • 朝カーテンを開けて日光を浴びる。
  • 夜間にスマホやパソコンなど見ないよう制限をかける。
  • 昼間に疲れたと感じる程度動く。

 

いきなり生活リズムを全て変えるのは難しいです。

少しずつで良いので、利用者さんの状況を見ながら、これならできそうという課題から始めてみましょう

 

生活リズムに関わる上での注意点

 

生活リズムに関わる上での注意点として、無理強いをしないことが重要です。

生活リズムの変化は、利用者さんが能動的に行動をしないと何も変わりません。

訪問看護をしていると、どうしても気になることがあれば最善策を伝えたくなりますよね。

利用者さんに最善策を説明してやらせているのでは、生活リズムへの関わりとしては不十分です。

利用者さん自身が、今の生活リズムを変えたいと思うタイミングでの介入が一番効果的です。

そのため、生活リズムを評価をして、現状の問題点等を説明をすることがとても重要になってきます。

 

利用者さんの生活リズムにうまく介入しよう!

 

作業療法士が考える利用者さんへの生活リズムの評価と指導方法について解説しました!

医療職という性質上、生活リズムの指導側として振る舞うことが多くなりがちです。

しかし、最終的な意思決定者は利用者さん自身になります。

利用者さんの意向や価値観を踏まえた上で、現実的に実現可能な生活リズムの評価と指導を行う手助けに役に立つことを願います。

 

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