そうですよね、訪問看護をしていても、訪問介護についてはよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の記事では訪問看護と訪問介護の違いについてわかりやすくご説明していきます。
目次
訪問看護と訪問介護の違い
訪問看護と訪問介護についてそれぞれ説明します。
訪問看護とは
- 疾病⼜は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が⾏う療養上の世話⼜は必要な診療の補助をいう。
- サービス提供は、病院・診療所と訪問看護ステーションの両者から⾏うことができる。
- 利⽤者は年齢や疾患、状態によって医療保険⼜は介護保険の適応となるが、介護保険の給付は医療保険の給付に優先することとしており、要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指⽰があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護が⾏われる。
1991年の老人保健法の改正により老人訪問看護制度が創設され翌年からサービスが開始しました。
1994年の健康保険法等の改正により、老人医療の対象外の在宅の難病児者、障害児者などの療養者に対しても、訪問看護ステーションから訪問看護が実施され、すべての年齢の在宅療養者に訪問看護が提供できるようになりました。
医師の訪問看護指示書により医療行為や療養上のケアを行うのが訪問看護です。
提供できるのは医療行為が許されている資格の看護師やセラピストで、訪問看護ステーションまたは、病院・診療所からご自宅・施設へ訪問します。
使用される公的保険は介護保険と医療保険で、最近では自費サービスなども増えてきています。
訪問看護のサービス内容
訪問看護のサービス内容は以下の通りです。
療養上のお世話
- 清潔ケア(清拭、入浴介助等)
- 栄養管理(食事介助、嚥下評価、脱水予防等)
- 排泄管理(導尿や排泄コントロール、ストーマ管理、おむつ交換等)
- 療養環境の整備(適切な福祉用具の使用等)
- コミュニケーション
病状の観察
- バイタルサインのチェック
- 疾患の状態のアセスメント
- 必要時にはかかりつけ医と連携
医師の指示による医療処置や医療機器の管理
- 医師の指示に基づく、点滴注射・経管栄養管理・褥瘡処置等。
- 医療機器や器具使用者のケア(カテーテルの管理、在宅酸素療法管理、吸引、人工呼吸器使用上の管理等)
- 疼痛、血糖コントロール等
- 服薬管理
- 急変、急性増悪等による緊急時対応(24時間体制)
ターミナルケア
- 疼痛、苦痛の緩和ケア
- 療養環境の調整・相談・アドバイス
- ご本人・ご家族へのの精神的支援
- ご遺族へのグリーフケア
床ずれ予防・処置・状態悪化の防止
- 褥瘡・拘縮・肺炎・低栄養等の予防
- 寝たきり予防のためのケア
- 褥瘡処置
在宅でのリハビリテーション
- 体位変換、ポジショニング、関節可動域訓練等の実施と指導
- ADL・IADLの維持・向上のための訓練
- 福祉用具(ベッド・車椅子・手すり等)の利用支援
- 外出・生活の自立・社会復帰への支援
認知症ケア
- 認知機能低下予防のための訓練や周辺症状に対するケア
- 中核症状、BPSD(認知症の行動・心理症状)に対するケア
- 睡眠、食事等生活リズムの調整
- 家族等介護者支援
- コミュニケーション
精神科訪問看護
- 精神症状に対する看護
- 睡眠、食事等生活リズムの調整
- コミュニケーションの支援
- 症状管理・服薬管理・相談
- 掃除、洗濯、買い物、料理、金銭管理等日常生活の自立支援
- 服薬、デイケア、外来通院等医療の継続支援
- 就労等、社会生活復帰への支援
ご家族等への介護支援・相談
- 介護方法の指導
- 社会資源等についての相談・アドバイス
- 精神・心理状態の安定化のケア
入院退院時の支援
- 入退院時の連携(医療処置・ケアの引継ぎ、在宅医療・看護体制整備)
- ケアマネジャーや病院等との連携
以上のように訪問看護には専門的な知識と資格が必要となる内容が含まれています。
訪問介護とは
訪問介護について説明していきます。
訪問介護とは、訪問介護員等(※)が、利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供するものをいう。
※「訪問介護員等」
介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者(生活援助中心型のみ提供可能)、居宅介護又は重度訪問介護を提供している者(共生型サービスのみ提供可能)、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員1級又は旧2級課程修了者をいう。
2000年に介護保険制度が開始するにあたって、訪問介護サービスが作られました。
訪問介護はケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて訪問介護事業所からご自宅等へ訪問し、サービスを提供します。
訪問介護のサービス内容
訪問介護は、その行為の内容に応じ、次の3類型に区分されます。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院等乗降介助
身体介護
利用者の身体に直接接触して行われる介助サービス。
利用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のため、専門的知識・技術をもって行われる。
排泄介助、食事介助、清拭、入浴介助、更衣介助、体位変換、移乗・移動介助、通院・外出介助、起床・就寝介助、服薬介助、自立生活支援のための見守り的援助等。
※一定の研修を受けた介護職員は一定条件の下、痰の吸引および経管栄養を行なうことができる。
生活援助
身体介護以外の訪問介護であって、調理、掃除、洗濯、買い物・薬の受け取り等の日常生活の援助であり、利用者が単身の場合や、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行提供されるサービス。
通院等乗降介助
要介護者である利用者の通院等のための乗車又は降車の介助。
移動等の介助と通院先若しくは外出先での受診等の手続、移動等の介助を行うサービス。
以上のように、訪問介護は生活の上でのサポートが中心となっています。
訪問看護と訪問介護の同時使用は可能?
訪問看護と訪問介護の両方のサービスを利用することで、より快適で安全な生活をしていただくことができるといえます。
ただし、自宅への訪問サービスを、同一日の同一時間帯に複数利用することはできません。
ただし、例えば入浴の介助をする場合などで、状態管理や初回導入時等の理由で訪問看護と訪問介護を、同一時間帯に利用することが必要とされると認められる場合に限り、それぞれのサービスについて所定単位数が算定されます。
緊急時の訪問について
訪問看護の場合
訪問看護ステーションが利用者さんやご家族の同意をいただき、緊急時訪問看護加算を算定し24時間連絡できる体制にあることで、緊急時の訪問を必要に応じて行うことができます。
急な体調の変化や相談をしたい場合に看護師が対応することができますので、安心して過ごしていただけます。
訪問介護の場合
利用者さんまたはそのご家族等からの要請に基づき、ケアマネジャーと連携し予め計画された以外の指定訪問介護を緊急に行った場合に可能となります。
サービス提供責任者がケアマネジャーと事前に連携を取り、必要であると判断されることが必要で、かつ身体的なサービスのための訪問であるため、即時の対応や医療的な観点からは対応できないという部分で違いがあります。
定期的な訪問だけではなく、必要なときに看護・介護共に随時サービスを受けることが可能である、2012年4月に創設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護というものもあります。
訪問看護と訪問介護の違いを表で比較
訪問看護と訪問介護の違いを以下の表にまとめました。
まとめ
訪問看護と訪問介護の違いがわかりましたでしょうか?
両方ともご自宅等で療養される方が安心して日常生活を過ごせるように介入するサービスですが、様々な違いがあります。
利用者さんの安全安心な療養生活のために複数の職種が協力・連携し介入しています。
様々な制度やルールが多いですが、少しずつ一緒に理解していきましょう。
訪問看護と訪問介護って何が違うんだろう
なんとなくはわかるけど、説明するのは難しいな…