訪問看護の営業のコツ|訪問先別5つのポイントを解説

「訪問看護の営業に行くことになったけれど、どこに何を意識して訪問すればいいのか分からない」——開設したばかりのステーションや、営業担当になったばかりのスタッフから、こうした相談をよく受けます。

訪問看護の営業先は、大きく分けると医療機関と居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)の2種類で、どちらも「同じやり方」では成果が出にくいのが実情です。この記事では、営業先の選び方から訪問時期・時間帯、アポの要否、頻度、状況変化への対応まで、押さえておきたい5つのポイントを具体的に解説します。

この記事でわかること
  • 医療機関と居宅介護支援事業所、それぞれの効果的な営業先の選び方
  • 相手に迷惑をかけない訪問時期・時間帯の見極め方
  • アポイントメントを取るべき相手・不要な相手の判断基準
  • 関係性を維持するための適切な営業頻度
  • 感染症流行期など状況変化があったときの対応の仕方

訪問看護の営業で成果を出すために押さえたい5つのポイント

訪問看護の営業は、闇雲に事業所を回るだけでは長続きしません。「誰に」「いつ」「どうやって」働きかけるかを整理してから動くことで、限られた時間で成果につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは次の5つです。

  • ①営業先の選び方(医療機関/居宅介護支援事業所)
  • ②営業に行く時期・時間帯
  • ③アポイントメントの要否
  • ④営業の頻度
  • ⑤感染症流行期など状況変化への対応

①営業先の選び方|医療機関と居宅介護支援事業所で変える

訪問看護の依頼元は大きく「医療機関(医療保険の利用者)」と「居宅介護支援事業所=ケアマネジャー(介護保険の利用者)」に分かれます。同じ「営業」でも、相手の立場や忙しさの波が違うため、アプローチの仕方を変える必要があります。

医療機関への営業のポイント

基幹病院では、退院調整室や地域連携室が窓口になることが多く、毎日対応でき、夜間・土日の緊急時にも動ける体制があることを伝えられると強みになります。回復期病院や地域包括ケア病棟にはリハビリ職が在籍する事業所であることをアピールすると響きやすい傾向があります。すでにグループ内に訪問看護ステーションがある法人内病院には、「グループ内では対応しきれない土日対応やリハビリ需要」など、補完できる部分を切り口にするのが有効です。在宅クリニックはすでに付き合いのある訪問看護ステーションがあるケースが多いため、いきなり営業をかけるより、勉強会など接点を作れる場から関係を築くほうが現実的です。

居宅介護支援事業所への営業のポイント

居宅介護支援事業所への営業は、介護保険の利用者獲得が主な目的です。地域包括支援センターは要支援の利用者が中心で単価が低くなりやすいため、優先順位としては後回しでよい場合が多いです。医療機関やデイサービスを併設する居宅介護支援事業所には、自社の強みで補える部分を切り口に営業すると効果的です。規模の大きい事業所から順に営業するほうが、限られた時間で効率よく接点を増やせます。

POINT

営業先を「医療機関」「居宅介護支援事業所」で一括りにせず、それぞれの中でも優先順位をつけて動くことが、限られた営業時間を有効に使うコツです。

初回訪問で押さえておきたい3ステップ

営業先が決まったら、初回訪問では次の3ステップを意識すると、その後の関係づくりがスムーズになります。

  1. ステップ1:自事業所の特色を1分で説明できるようにする対応可能な医療処置(在宅酸素・褥瘡処置・インスリン管理など)、24時間対応の有無、リハビリ職の在籍状況など、相手が知りたい情報を簡潔に伝えられるようにしておきましょう。
  2. ステップ2:相手の困りごとを聞く姿勢を持つ自事業所のアピールだけに偏ると、押し売りのような印象を与えてしまいます。「今どんな利用者さんの受け入れ先に困っていますか」と質問し、相手のニーズを引き出すことを優先しましょう。
  3. ステップ3:名刺・パンフレットと連絡先を必ず残すその場で依頼につながらなくても、後日思い出してもらえるよう、連絡先が分かる資料を必ず渡しておきます。

②営業に行く時期・時間帯を見極める

相手の繁忙期に訪問してしまうと、印象を下げてしまうことがあります。営業のタイミングは「相手が困っていない時期」を狙うのが基本です。

医療機関の場合

年末年始などの連休直前は、退院調整室が特に忙しくなる時期です。連休の1か月ほど前から動いておくと、退院支援のタイミングと重なりやすく、依頼につながる可能性が高まります。時間帯は、始業直後・休憩前・終業間際を避けるのが無難です。開業医や在宅医への営業は、診療終了直後が比較的話しかけやすいタイミングです。

居宅介護支援事業所の場合

毎月1〜10日頃は、介護報酬の請求業務でケアマネジャーが最も忙しい時期にあたります。この期間の営業は避け、月中以降に訪問するほうが話を聞いてもらいやすくなります。ただし月中以降は利用者宅への訪問で不在にしていることも多いため、初回で会えなかった場合は「いつ頃なら在所していることが多いか」を確認しておくと、次回以降スムーズです。

看護師 上妻
看護師 上妻

「今この時期に行っても迷惑になるかどうか」を一度立ち止まって考えるだけで、相手の受け止め方はだいぶ変わりますよ。

③アポイントメントの要否を使い分ける

アポを取るべきかどうかも、相手によって変わります。医療機関の退院調整室は、アポなしの訪問でも受け入れてもらえることが多い一方、基幹病院や医師本人への営業では、事前にアポを取っておくほうが確実です。医師への営業は、基本的にアポが必須と考えておきましょう。

居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーが利用者対応で外出していることが多く、スケジュールが流動的なため、基本的にアポなしでも問題ないケースが多いです。ただし、直行直帰制のケアマネジャーが増えている事業所では、事前に在所時間を確認してから訪問するほうが効果的です。

営業先アポの要否の目安
病院の退院調整室なくても可(大規模病院は取るほうが確実)
医師(開業医・在宅医)基本的に必須
居宅介護支援事業所なくても可(直行直帰制の事業所は事前確認が有効)

電話でアポを取る際は、いきなり用件から入るのではなく、まず「訪問看護ステーション〇〇の〇〇と申します」と名乗り、「新規のご依頼状況について、5分ほどお時間をいただけますか」と、要件と所要時間を先に伝えると、相手も予定を立てやすくなります。

④営業の頻度は「関係の長さ」で変える

営業は一度行けば終わりではありませんが、頻度を上げすぎても相手の負担になります。医療機関への直接営業は、開設して間もない時期に集中させ、その後は勉強会など顔を合わせる機会を通じて関係を深めていくのが現実的です。オンライン勉強会に参加する際は、聞くだけで終わらせず質問をしてみると、名前や事業所名を覚えてもらいやすくなります。

居宅介護支援事業所には、月に1度を目安に直接顔を出すのがひとつの基準です。利用者の報告書・計画書を持参するタイミングで訪問すれば、話題に困らず自然に会話ができます。

注意

頻度を「多ければ多いほど良い」と考えるのは禁物です。相手の業務の邪魔になっていないか、都度確認しながら調整しましょう。

⑤感染症流行期など状況変化への対応

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、対面営業のあり方は大きく変わりました。現在でも、季節性インフルエンザなど感染症が流行する時期には、訪問前にアポを取り、短時間・距離を保った面会を心がけるなど、状況に応じた配慮が必要です。

対面が難しい時期は、電話だけに頼るのではなく、空き状況や受け入れ可能な医療的ケアの範囲をまとめた資料をメールやFAXで送るという方法も有効です。顔を合わせたことのない事業所からの電話営業は警戒されやすいため、まずは書面や資料で存在を知ってもらい、その後改めて訪問につなげる流れを意識すると受け入れられやすくなります。オンラインでの顔合わせやWeb会議ツールを使った短時間の挨拶も、近年は選択肢のひとつとして定着してきています。

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営業先に持参する資料の作り方や、開設初期の全体的な立ち上げの流れも合わせて確認しておくと、営業活動全体の解像度が上がります。

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まとめ|相手に合わせた営業で、無理なく依頼につなげよう

訪問看護の営業は、気合いや訪問数だけで成果が決まるものではありません。相手が誰で、今どんな状況にあるかを想像しながら動くことが、遠回りに見えて一番の近道です。

この記事のまとめ
  • 医療機関と居宅介護支援事業所では、窓口も強みの伝え方も変わる
  • 相手の繁忙期・時間帯を避けて訪問するだけで印象は大きく変わる
  • アポの要否は相手によって使い分け、必要な相手には必ず事前連絡を
  • 頻度は「関係の長さ」に応じて調整し、負担をかけすぎない
  • 感染症流行期などは、対面にこだわらず資料や電話・オンラインも活用する

営業先ごとの特徴を押さえ、無理のないペースで関係を築いていくことが、安定した新規依頼につながっていきます。

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よくある質問

営業先はどこから始めるのがいいですか?

まずは地域包括支援センターや、すでに接点のある医療機関から始めるのがおすすめです。全く接点のない大規模病院にいきなり営業をかけるより、既存のつながりを広げるほうが、結果として早く依頼につながりやすい傾向があります。

訪問看護の営業は開設直後だけ頑張ればいいですか?

直接営業は開設初期に集中させるのが基本ですが、その後は勉強会への参加や定期的な顔合わせなど、関係を維持するための接点を継続することが大切です。関係が途切れると新規依頼も減りやすくなります。

ケアマネジャーへの営業でアポは必要ですか?

ケアマネジャーは利用者対応で外出が多く、基本的にアポなしの訪問でも受け入れられることが多いです。ただし直行直帰制の事業所が増えているため、在所時間を事前に確認しておくと空振りを防げます。

病院への営業で避けたほうがよい時期はありますか?

年末年始などの連休直前は退院調整室が特に忙しくなるため避けたほうが無難です。逆に連休の1か月ほど前は、退院支援のタイミングと重なりやすく、依頼につながりやすい時期といえます。

居宅介護支援事業所への営業を避けたほうがよい時期はありますか?

毎月1〜10日頃は介護報酬の請求業務でケアマネジャーが最も忙しい時期にあたるため、この期間の営業は避け、月中以降に訪問するのがおすすめです。

感染症が流行している時期の営業はどうすればいいですか?

訪問前にアポを取り、短時間・距離を保った面会を心がけましょう。対面が難しい場合は、空き状況や対応可能な医療的ケアの範囲をまとめた資料をメールやFAXで送るなど、対面以外の手段も併用するのが効果的です。

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ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。