訪問看護は外泊中の訪問が可能なのか?徹底解説します!

入院中だけれど、サポートが受けられれば数日でも自宅に帰って過ごしたい。
そんな思いを持たれている入院患者さんは多いと思います。
また、退院後の自宅での生活をイメージするために外泊をされる場合もありますよね。

 

そんな方への訪問看護の介入はできるのでしょうか?

今回は入院中の外泊での訪問看護についての記事です。

算定要件や加算についても解説していますので、外泊時の訪問看護を対応する際にぜひ参考にしてみてください。

 

訪問看護の外泊中の訪問について

入院の外泊中には訪問看護を利用することができる

入院中に外泊する患者で、次のいずれかに該当する場合、訪問看護を受けることができます。

 

  • 厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者
  • 厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者
  • その他在宅医療に備えた一時的な外泊に当たり、訪問看護が必要であると認められた者

 

 

特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者

 

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患

・進行性核上性麻麻痺
・大脳皮質基底核変異症
・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)

  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頚髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

 

厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者

 

1 1 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理または在宅強心剤持続投与指導管理もしくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者、または気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している状態にある者

2 以下のいずれかを受けている状態にある者

・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理

3 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者

4 真皮を超える褥瘡の状態にある者

5 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

 

その他医師の指示により外泊中の訪問看護が必要と認められれば、訪問看護を受けることができます。

 

外泊中の訪問看護は医療保険を使用

入院期間の外泊中の訪問看護には医療保険を使用します。

そのため退院後に利用できる入浴介助や身体サポートなどの介護保険サービスを外泊中には一切利用することができません。

ご家族だけで介護をする状況になりますので、ケアの度合いが高い方は特にしっかりとシミュレーションをしてから外泊することが必要です。

訪問看護の介入ができれば、医療保険を利用して、ご家族の介護だけでは不安な外泊中の生活をプロの目線からサポートすることができます。

福祉用具については自費レンタルができますので、病院看護師やソーシャルワーカーなどにご相談ください。

 

 

外泊中に訪問看護が介入するまでの流れ

医師が退院後に訪問看護の利用が必要と認め、要件を満たす方に対し、以下の流れで外泊中の訪問が可能になります。

 

外泊時の訪問看護利用の流れのイメージ
  1. 主治医が訪問看護指示書を作成する。
  2. 訪問看護ステーションに介入を依頼し情報共有する。
  3. 訪問看護ステーションが指示書の確認、利用者さんやご家族との契約や介入内容の摺合せなどを行う。
  4. 外泊時の訪問看護を実施する。

 

外泊中に訪問看護の利用をしたほうがよいケース

このような方には外泊中の訪問看護利用によって安心して過ごしていただけるでしょう。

また、在宅療養のためのシミュレーションができます。

 

  • 体調の急変の可能性がある場合
  • 内服や薬剤管理に不安のある場合
  • 外泊中の家族の介護サポートだけでは不十分と予測される場合
  • 退院後の生活に自信のない方が実際に在宅で療養可能であるか試してみる場合
  • 病院から退院後、在宅療養か施設入居か決めかねている場合
  • インスリン注射や経管栄養、人工肛門のケアなどを在宅で行う必要がある場合
  • 退院後のADLの課題点を外泊での状況を元に抽出し、入院中のリハビリを行いたい場合
  • 退院後訪問看護の利用を考えている場合

 

 

 

訪問看護の外泊中の訪問に関する算定

訪問看護基本療養費(Ⅲ)が算定できる

訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、外泊中の訪問看護の対象者が、在宅療養に備えて一時的に外泊をする際、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った時には、入院中1回に限り算定できます。

ただし、基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者で、外泊が必要と認められた者に関しては、入院中2回まで算定可能となります。

この場合の外泊とは、1泊2日以上の外泊のことをいいます。

 

訪問看護療養費(Ⅲ) 1 回 8,500 円

 

外泊中の訪問看護の加算・算定についてQ&A

Q
要介護被保険者も算定可能ですか?
A
医療保険対象者だけでなく、要介護被保険者も算定可能です。

 

Q
指示書は特別な形式のものがありますか?
A
通常の訪問看護指示書で構いません。

訪問看護指示料は外泊・入院期間含めて1回のみの算定となります。

 

Q
訪問看護基本療養費(Ⅲ)が算定できますか?
A
訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、入院患者が在宅療養に向けて、一時的に外泊する際に、主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき、指定訪問看護を行った場合に訪問看護ステーションが算定できます。
※但し、訪問看護管理療養費は算定できません。

 

Q
何日の外泊から算定できますか?
A
1泊2日以上の外泊をする場合に算定できます。

 

Q
2ヵ所の事業所が1回ずつ算定することもできますか?
A
利用者一人につき2回まで算定できるので、2回算定する場合は2ヶ所の訪問看護ステーションで、1回ずつ算定することができます。

 

Q
入退院を繰り返している場合、入院毎での算定できますか?
A
入院毎に算定できます。

 

Q
セラピストの訪問でも算定ができますか?
A
セラピストや、准看護師の訪問でも算定ができます。

 

Q
24時間対応体制加算は算定できますか?
A
訪問看護基本療養費(Ⅲ)では算定できません。

他にも、特別管理加算・複数名訪問看護加算・夜間・早朝訪問看護加算・特別管理加算なども算定できません。

 

Q
計画書や報告書は必要ですか?
A
報告書の提出は必須ではありませんが、計画書の作成は必須です。

主治医が外泊時の情報を踏まえて退院の決定や新たな訪問看護指示書を作成する場合には報告書も参考にしますので、報告書も提出されることが望ましいでしょう。

 

Q
入院中に何度か外泊をしたい場合、何回訪問看護の介入ができますか?
A
「厚生労働大臣が定める疾病等」の利用者の場合であれば1回の入院につき、2回まで算定が可能です

 

 

外泊中も訪問看護利用で安全安心な自宅療養を

 

以上のように、訪問看護は末期がんの方や重症症例の方、入院前と状況が変化してしまった方の一時的な外泊をサポートすることができます。

 

在宅のプロの訪問看護師やセラピストの介入による気づきは、どのようなサービスを利用すれば今後在宅で安全安心に療養できるかを知る事にも繋がります。

急変があればすぐに病院と連携が取れますので、病状が不安定な方もバックアップのある状態で外泊期間をお過ごしいただけます。

また、訪問看護師の存在で外泊中の不安な気持ちを少なからず支えることができ、退院後に向けての継続的な関わりへと繋げることにもなります。

 

利用できる要件の方にはぜひご活用いただきたいと思います。

 

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ABOUT US
清水 千夏ライター
東京都在住/看護師・保健師/ 卒業後大学病院9年勤務 その後、派遣看護師としてクリニックやデイサービス、訪問入浴などを経験。 現在は訪問看護ステーションの立ち上げメンバーとして奮闘中です。