
訪問看護管理者さんで、このような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、
運営指導で書類不備として指摘された実例 集(自治体版)
をご紹介します。
管理者さんやマネージャーさんは、ぜひ参考にしてみてください!
以下は、自治体が公表している実際の指導・指摘事項の中で、書類関連の不備として明示されている事例です。
訪問系サービスが含まれる内容を中心に、明記しています。
目次
① 令和4年度(2022年度)栃木県/介護予防訪問看護 実地指導・指導事例
◎地域・年度:栃木県・令和4年度(2022年度)
◎指導組織:栃木県庁 福祉保健部 高齢者保健福祉課
◎対象:介護予防訪問看護・訪問看護
〜 不備事例(書類不備) 〜
■ 訪問看護報告書の未作成
- 実際に訪問看護を提供していたにもかかわらず、訪問看護報告書が作成されていなかった。
訪問の内容や訪問日が書類として保存されていない状態と判断された。
→ 運営指導では、 訪問日・看護内容を記載した報告書は必須 とされています(居宅基準省令)。
指導内容は「訪問ごとに報告書を作成し、主治医にも定期的に提出すること」でした。
■ 勤務表の不備
- 管理者・看護職員の勤務表が作成されていない、または兼務状況が明確に記載されていない。
→ 常勤換算人数の証拠として、日々の勤務時間・兼務状況等の記録が必須 と指摘されました。
② 令和5年度(2023年度)栃木県/介護予防訪問看護 実地指導・指導事例
◎地域・年度:栃木県・令和5年度(2023年度)
◎指導組織:栃木県庁 福祉保健部
◎対象:介護予防訪問看護・訪問看護
〜 不備事例(書類不備) 〜
■ 訪問看護報告書の欠落
- 前年度同様、訪問看護を提供しているにもかかわらず訪問看護報告書が未作成。
→ 訪問看護報告書・訪問看護計画書を毎回作成し主治医へ提出する責務 が指導で改めて強調されています。
※出典PDF(栃木県 令和5年度 指導事例)
→ https://www.pref.tochigi.lg.jp/e11/welfare/koureisha/kaigohoken/documents/20250328092236.pdf
③ 令和4年度(2022年度)下関市/介護保険サービス事業者集団指導(訪問看護含む)
◎ 地域・年度:山口県 下関市・令和4年度(2022年度)
◎ 指導組織:下関市役所
◎ 対象:訪問看護、介護予防訪問看護 等
〜 不備事例(書類不備) 〜
■ 訪問看護記録での記載漏れ
- 訪問看護記録において、看護師等の氏名・訪問職種欄が空欄になっているものがあった。
→ 実際のシフト表には訪問実績があるものの、書類上の記載が欠けていたため指摘。
→ 対応策として、記載漏れ防止と説明責任の徹底が指導された。
■ 同意取得の漏れ
- 初回・利用再開時のみ同意を得て、計画書作成時の同意を得ていないケースが発覚。
→ 訪問看護計画書作成時ごとに同意の取得と記録が必要と指導。
※ 出典PDF(下関市令和4年度 集団指導)
→ https://www.city.shimonoseki.lg.jp/uploaded/life/72844_104437_misc.pdf
④ 令和元年度(2019年度)栃木県/介護予防訪問看護 実地指導・指導事例
◎ 地域・年度:栃木県・令和元年度(2019年度)
◎ 指導組織:栃木県庁
◎ 対象:介護予防訪問看護・訪問看護
〜 不備事例(書類不備) 〜
■ 訪問看護報告書未作成
- 訪問看護を提供したにも関わらず、報告書が未作成で保存されていなかった。
→ 訪問ごとに「訪問日・看護内容等」を記載する必要がある旨が指導された。
※出典PDF(栃木県 令和元年度 指導事例)
→ https://www.pref.tochigi.lg.jp/e11/welfare/koureisha/kaigohoken/documents/shiryou6-1.pdf
「書類不備」として指導されやすい共通点
自治体の指導事例を見ると、訪問看護で指摘されやすい書類不備は主に以下の点です:
◆ 書類自体が未作成
✔ 訪問看護報告書が毎回作られていない
✔ 訪問看護計画書・同意取得が漏れている
→ 提供の事実を文書化できないと判断され、指導・返還の対象になります。
◆ 書類記載内容の不備
✔ 記録に必須項目(担当者・日時・訪問内容)が欠けている
✔ 同意書の管理が不十分(下関市)
→ 書類はあっても、管理責任者の説明が成立しないと評価されます。
◆ 勤務・人員関係の書類不備
✔ 管理者や職員の勤務表が明確でない
✔ 常勤換算の根拠となる書類が不十分
→ 人員基準の裏付けが取れないとして指導対象になります。
まとめ
― 書類不備は「うっかり」では済まされない時代へ ―
今回紹介した自治体公表の運営指導事例から見えてくるのは、
訪問看護における書類不備は、もはや個別のミスではなく「構造的な問題」として見られているという現実です。
栃木県、下関市をはじめとする複数の自治体では、
令和元年度から令和5年度にかけて、同じ種類の書類不備が繰り返し指摘されています。
特に多いのは以下のようなケースです。
- 訪問看護計画書・報告書が未作成、または必須項目の記載漏れ
- 同意日・交付日・作成日の欠落により、計画書の有効性が否定される事例
- 記録は存在するが、誰が・いつ・どのように提供したのか説明できない状態
- 勤務表や兼務状況が不明確で、人員基準を満たしている証拠が示せないケース
これらはすべて、「悪意のある不正」ではなく、
日常業務の中で “当たり前” になってしまった書類管理の甘さから生じています。
しかし運営指導の場では、
「やっているかどうか」ではなく
「書類で証明できるかどうか」
が判断基準になります!
実際、自治体の指導資料では
「訪問していることは確認できるが、書類上の裏付けがないため不適切」
「計画書が有効と判断できない」
といった表現が繰り返し使われています。
これはつまり、
書類が不十分な時点で、提供したケアそのものが“なかったこと”として扱われかねない
ということです。
また重要なのは、
小規模ステーションでも、長年運営している事業所でも、
「今まで指摘されなかったから大丈夫」という理由は、
もはや通用しない段階に入っています。
今回の事例から、管理者に強く求められているのは、
- 書類作成を「現場任せ」にしないこと
- 書類と実態のズレを把握し、説明できる状態を保つこと
- 「忙しいから後回し」を許容しない運営体制をつくること
です。
運営指導で問われるのは、完璧な書類ではありません。
「なぜこの内容なのか」「なぜこの対応でよいと判断したのか」
を、自分の言葉で説明できるかどうかです。
書類は、現場を守るための“最後の砦”
訪問看護は、目に見えない場所で行われるサービスです。
だからこそ行政は、書類を通してしかその質を判断できません。
- 書類が整っていれば、多少の不備は是正で済む
- 書類が弱ければ、丁寧なケアも評価されない
これは、今回紹介した自治体事例が明確に示しています。
「次に指導が入ったらどうか」ではなく、
「今日見られても説明できるか」
その視点で、今一度書類を見直すことが、最大の運営指導対策と言えるでしょう。

毎日の改善意識が大切です。
まずは、今日できる事から始めてみましょう
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訪問看護ステーションでの「実際に公表された書類不備による運営指導・指摘」にはどんなものがあるかな?
日々の中でできる事は何があるのかな…。