訪問看護で、電話対応は欠かせない業務の1つです。
電話を掛けることも、受けることも多くあります。
一方で、普段の生活では電話よりもメールやSNSでやり取りをすることが多いのではないでしょうか。
電話をあまり使わない人にとっては、電話対応は苦手に感じる業務の1つかもしれません。
この記事では、訪問看護で電話対応をするメリットや、電話対応のポイントについて解説します。
このポイントを意識すると、電話対応がスムーズにできて電話の相手の方に好印象を持ってもらうこともできます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
訪問看護の電話対応
訪問看護では、病院に比べて、電話のやり取りが多く行われます。
電話の相手は以下のような人たちです。
- 利用者さん
- 利用者さんご家族
- ケアマネージャー
- 医師
- 利用者さんが利用している介護事業所や他の訪問看護ステーションのスタッフなど
- 医療機関の相談員
- 訪問看護関連の会社からの電話
など
電話の内容は、利用者さんに関する他職種との情報交換・連携についてがほとんどです。
電話で伝えるメリット
訪問看護の情報共有ツールとして、メールやFAX、専用のメッセージチャットなどもあります。
そのような中であえて電話で伝えるメリットは何があるでしょうか。
電話で伝えるメリットは以下の3つです。
- 素早い連携ができる
- 文字で伝えにくい内容を伝えることができる
- 相手との関係を深めることができる
1つずつ解説していきます。
素早い連携ができる
メールやFAX、メッセージツールなどは、自分が都合の良いタイミングでも送信することができますが、相手がいつ内容を確認するかは分かりません。
電話は、直接相手に伝えることができるので、情報伝達を確実に行うことができます。
たとえば、訪問の直前にケアマネージャーさんから、利用者さんの状況変化などについて電話で連絡をもらうことがあります。
そうすることで訪問時に、状態観察やその後の対応をスムーズに行うことができます。
文字で伝えにくい内容を伝えることができる
直接話をすることで、文字だけでは伝えられないことも伝えることができます。
例えば声のトーンや表現の仕方で、こちらの感情や考えを文字以上に相手に伝えることができます。
また、文字では相手の解釈によって、こちらが伝えたいことが伝わらないこともあります。
直接話をすることで、お互いの理解や意思の確認をしたり、その場で疑問を解消することもできます。
利用者さんの状況や気持ちなど細かなニュアンスを伝えられることも、電話をするメリットの1つです。
相手との関係を深めることができる
電話で声を通してやり取りをすることで、相手の人間性を身近に感じることができます。
利用者さんを介して繋がる関係者の方と実際に会うことはあまりありませんが、電話で情報交換をすることで親近感を持つことができます。
「いつもお世話になっています」という感謝の気持ちを直接伝えることができるのも、電話をするメリットの1つです。
訪問看護での電話対応のポイント5つ
初めて訪問看護で働く人や、普段電話をあまりしない方は電話対応に苦手意識を持つ方も多いのではないでしょうか。
電話対応をスムーズに行うためのポイントを5つまとめました。
- 定型文を決める
- 聞こえやすい話し方を心がける
- 事前に伝える内容をまとめておく
- 先方の話は必ずメモを取る
- 相手が電話を切ってから受話器を置く
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
定型文を決める
電話を受けたとき、掛けるとき、電話を終えるときに、自分なりの定型文を決めておくことで、緊張せずに電話対応をすることができます。
電話を受けた時の定型文の例
「はい。〇〇訪問看護ステーションの看護師△△です。」
プライベートで電話をする際は、第一声に「もしもし」と言うことが多いですが、仕事では使用しない方が良いとされています。
「もしもし」の代わりに、「はい」と言って電話を受けるようにしましょう。
また、電話の性質上、通話開始時の音声が聞きにくくなってしまうため、毎回の第一声で「はい。」と言って間を置くことで、ステーション名や看護師の名前を相手に聞き取ってもらいやすくなります。
電話を掛けたときの定型文の例
「いつもお世話になっています。〇〇訪問看護ステーションの看護師△△です。」
「〇〇様の件で電話しました。ケアマネージャー(職種)の□□さんはいらっしゃいますか?」
電話を受けたときと同様に、自分の所属と名前を名乗ります。
そして、何について電話をしたかを簡潔に伝え、担当者を呼び出してもらいます。
医師宛の場合は、診察中はなかなか電話を取り次いでもらえないことも多いです。
直接電話で話したい要件がある時には、「今〇〇分お時間いただいてもよろしいでしょうか?」もしくは、「急ぎで確認したいことがあります」のような言葉を付け加えると、対応をしてもらいやすくなります。
電話を終えるときの定型文の例
「ありがとうございました。失礼します。」
電話の終わり方は非常に重要です。
急いでいるからとせかせかした様子で電話を切ったり、だらだらと間延びした口調で電話を切ってしまうと、相手への印象が悪くなってしまう可能性が高いです。
人間には、”終末残存効果”というものがあり、最後に見たり聞いたりしたものに強い印象を持ち、記憶に残りやすい傾向があります。
電話の終わり方が全体の印象になってしまう可能性もあるため、電話対応の時間を取ってもらったことに感謝の気持ちを伝えてから電話を切りましょう。
聞こえやすい話し方を心がける
電話で話す時は、相手が聞き取りやすいように話し方を意識してみましょう。
聞き取りやすい話し方のポイントは以下の4つです。
- ややゆっくり話す
- はっきり話す
- やや大きな声で話す
- やや高めの声で話す
緊張や不安から小さくこもった声で話をしてしまうと、相手が聞き取りにくいだけでなく頼りない印象を与える可能性があります。
電話で話す時の声は、電話の性質上やや低めに伝わってしまうため、上記4つのポイントを意識してみて下さい。
事前に伝える内容をまとめておく
電話は直接相手と話すことができる機会ですが、その分相手の作業を中断し時間を取ってしまうことにもなります。
端的に内容を伝えられるように、電話を掛ける前に電話を掛けた目的、伝える内容をまとめておきましょう。
電話が苦手で、話をしている間に分からなくなってしまそうになる場合は、まとめた内容をメモに書き手元において置くこともおすすめです。
話したい担当者が不在で伝言を依頼する場合は、自分の所属・名前・どんな要件で電話をしたかを端的に伝えます。
先方の話は必ずメモを取る
自分から電話を掛けた場合でも、先方の話の内容は必ずメモをとるようにしましょう。
相手の話の内容を忘れてしまう、勘違いしてしまうことは大きなミスに繋がります。
自分宛ではない電話を受けたときに、担当者が不在にしていることもあります。
「後で掛けなおします」と言われた場合でも、いつ・誰から・どんな要件でかかってきたのかを確認し必ずメモに控え、担当者に伝えるようにします。
伝達が正確にされることは、先方に信頼感を与えることにも繋がります。
相手が電話を切ってから受話器を置く
電話を終えるときは、なるべく先方が電話を切ったことを確認してからこちらも電話を切るようにしましょう。
受話器を置くときの音や、用件が終わったらすぐに電話を切ってしまうことは相手にあまり良くない印象を与えます。
電話の最後を気持ち良く終えることができるように配慮しましょう。
急いでいて、先方が電話を切ることを待つことができないときは、挨拶をしたのちに静かに電話を受話器に戻すようにします。
訪問看護の電話対応は慣れていくもの!
訪問看護での電話対応について解説しました。
- 素早い連携ができる
- 文字で伝えにくい内容を伝えることができる
- 相手との関係を深めることができる
- 定型文を決める
- 聞こえやすい話し方を心がける
- 事前に伝える内容をまとめておく
- 先方の話は必ずメモを取る
- 相手が電話を切ったことを確認してから受話器を置く
訪問看護に転職したばかりの頃は、電話を受けても先方が話している内容が聞き取れず、意味も全く分からなかったため苦手意識を持っていました。
ですが、「とりあえず電話が鳴ったら出る」ことを心がけていたら自然と慣れていきました。
訪問看護の業務はやってみてできるようになることや、やってみることで理解が深まることばかりです。
上手な対応が出来なくても、丁寧に対応することを心がけていれば、電話の相手にも伝わり信頼感に繋がります。
今回の記事の内容が、電話対応に挑戦する際に背中を押すことができたら幸いです。
電話対応に苦手意識があるのですが、コツはありますか?