訪問看護の利用者さんは、地域で暮らす小児から高齢者まで年齢層や疾患が幅広く、年々増えています。
その中で、訪問看護におけるリハビリ職の配置も増え、リハビリの依頼が増えています。
訪問看護におけるリハビリの利用者さんは、どのような特徴があるのでしょうか。
今回は、訪問看護でリハビリをする利用者さんの特徴を紹介します!
目次
訪問看護(リハビリ)の利用者の特徴3選
医療依存度が高い
訪問看護におけるリハビリは、医療依存度が高い傾向です。
そもそも訪問看護の利用者さんは、看護師の訪問が必要な人です。
医療依存度が高い、病状が不安定な状態である重度・最重度の割合は、合わせて35%と高い割合ですね。(平成23年厚生労働省資料より)
そして制度上、理学療法士等のリハビリ職による訪問は、看護業務の一環として行われます。
そのため、訪問看護におけるリハビリの利用者さんは、看護師による医療処置が必要なケースが多くあります。
訪問看護で多い具体的な医療処置は、以下の記事を参考にしてください。
医療処置が必要な利用者さんが多いということは、状態が安定してしていない、または状態の変化がすぐに起こり得る可能性が高いということです。
基本的には1人での訪問となるため、利用者さんに関わる情報共有はとても重要です。
以下の項目を参考に、看護師をはじめ多職種と情報共有をしてリハビリを行うと良いですね。
- どのような処置をしているのか
- 動くときの注意点
- バイタルの変動などリスク管理
- 状態を確認する時のポイント
- 状態の変化があった時の対処や連絡について
- リハビリの内容
そして、介護する側の疲弊も多くみられるため、環境整備も重要となります。
どうしたら利用者さんと家族が安心して生活ができるかを、専門職として広い視点で支援していくことが大切です。
幅広い年齢層と疾患
訪問看護では新生児から高齢者まで、年齢等を問わず医療処置やリハビリを行う方がサービスの対象となります。
利用者さんの年齢層は、介護保険を利用する高齢者が多いですが、最近では、医療的ケア児等の小児訪問看護のニーズが高まっています。
小児分野に関しては、専門的な病院でないと関わることが少ないですよね。
リハビリの目標の考え方は、高齢者であっても小児であっても同じです。
どうしたら自宅でその人がより良い生活を送ることができるかを最優先に考えましょう。
また、訪問看護における疾患別割合は、各事業所によって異なりますが、以下の疾患はリハビリの対象となることが多いです。
- 脳血管疾患
- 認知症
- 筋骨格系疾患(骨折など)
- 神経系疾患(パーキンソン病など)
- 統合失調症(作業療法士のみ対応)など
進行する症状や身体機能の変化、生活する環境、余生の過ごし方など、利用者さんや家族が苦悩されるポイントを一緒に考え支援していく事も在宅の支援者の役割です。
訪問看護で多い疾患は、以下の記事を参考にしてください。
サービス提供にあたり、どのような制度を使って介入するのかを把握しておく事も大切な事です。
こちらの記事は非常に分かりやすく説明されているので、参考にしてください。
外での活動や通所サービスの利用に抵抗がある
日頃、ケアマネジャーや相談員から依頼がある際に、以下のような内容で相談を受ける事があります。
- 「以前のように外で活動する事に自信がなくなってしまったようで・・・。」
- 「活動量が減少しており、外に出る機会として通所サービスを勧めるも拒否されてしまうんです。」
訪問看護を利用されている方の多くが高齢者です。
低下していく身体機能に加え、転倒恐怖心が出てきたり、自尊心が低くなる方が多くいます。
また、活動する事や人と関わる事に抵抗感を示し、いわゆる引きこもり状態となってしまう方も多く見受けられます。
実際、私も訪問介入時にケアマネジャーやご家族から、デイサービスに行けるよう体力と意欲をつけてほしいといった要望を受ける事があります。
そのような時は、まず利用者さんを知る事が大事です。
以下の項目を参考に、利用者さんに関する情報収集をしましょう。
- 生活歴
- 過去に興味・関心があった趣味や余暇活動
- 職業
- 知人や近所の方との交友関係
- 本人や家族の希望
- 活動や外出をしなくなった理由など
利用者さんから聞き取ることができなければ、家族やケアマネジャーなど関わりのある人から情報を収集しても良いですね。
そしてリハビリ職の強みでもある活動・個人因子・環境因子を把握しましょう。
以前紹介した興味・関心チェックシートを活用すると課題が整理しやすくなります。
まとめ
今回は、訪問看護でリハビリをする利用者さんの特徴を紹介しました。
病院や施設、訪問リハビリテーションとは異なる利用者さんの特徴だと思います。
実際の現場では、上記以外にも様々な理由があってリハビリ職が関わる利用者さんがいます。
訪問看護でのリハビリを行うにあたり、看護師との情報共有はとても重要です。
そして互いにどんなサービスを提供して、どのような目標を持って介入しているかを理解しておく必要があります。
看護師だけでなく、医師やケアマネジャーなど多職種で関わることが多い在宅のリハビリでは、積極的に情報共有を行いましょう。
そして、利用者さんや家族がより良い在宅療養となるよう、リハビリ専門職として力を発揮できると良いですね。