言語聴覚士における訪問リハビリの内容をわかりやすく解説

 

言語聴覚士

訪問リハビリに興味があるけれど、病院での経験しかないし、どんなリハビリをしているのか想像がつかない。

 

そんな漠然とした不安のために、訪問リハビリに挑戦できないでいる言語聴覚士さん。

その漠然とした不安、解消できますよ。

当記事では、言語聴覚士における訪問リハビリの内容をわかりやすく解説します。

この記事を読むと、言語聴覚士が訪問リハビリでどのようなことをしているのかが分かります。

訪問リハビリの実態を知って、次の職場の選択肢にぜひ入れてみてください。

 

そもそも訪問リハビリとは?

 

実際に、言語聴覚士が訪問リハビリで行っている内容が気になると思いますが、そもそも訪問リハビリとはどのような目的をもって行っていることなのでしょうか?

簡単に確認していきたいと思います。

 

訪問リハビリの定義・内容

一般社団法人 日本訪問リハビリテーション協会(訪問リハビリテーションとは)では、訪問リハビリについて以下のように定義しています。

 

訪問リハビリテーションとはその人が自分らしく暮らすために、それぞれの地域に出向いて、リハビリテーションの立場から行われる支援である。その中で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、健康状態を把握した上で、生活機能および背景因子を評価し、リハビリテーションの概念に基づいた、本人、家族等への直接的支援と関連職種への助言等の間接的支援を提供する。

 

少し抽象的な説明なので、噛み砕くと「自分らしく地域で暮らしていく」を本人・ご家族ともに納得して安心して継続できるように、健康や生活の工夫をリハビリの視点から本人/家族と行政など周りの環境へ働きかけていくのが仕事と解釈しています。

希望の生活が実現できるよう、看護師などの医療職だけでなく、行政などとも連携をしていく多職種協働がキーポイントとなります。

 

病院との違い

訪問と病院でのリハビリテーションの内容はそこまで大きく変わりません。

ただ、以下の点に注意が必要です。

 

  • 言語聴覚士がこうしたほうがいいと思ったことでも本人と家族が必要なければ提供できない
  • 物品が限られている
  • 嚥下訓練の場合、誤嚥の危険性が高いと実施することは難しい
  • 家族や本人との時間が密になる

 

在宅ならではの特徴があることは知っておけると良いでしょう。

 

言語聴覚士が訪問リハビリで提供している内容

私が勤めていたのは訪問看護ステーションだったため、医療的な介入をしている、または今後していくことになる方の利用が大多数を占めていました。

なので、訪問する利用者さんの大半は、指定難病(神経疾患)をお持ちの方でした。

変動はありますが、勤めていたときは概ねこのような割合でした。

 

疾患別の利用者様の割合

  • 指定難病 5割
  • 脳卒中後後遺症 4割
  • 認知症など 1割

 

訪問リハビリステーションか訪問看護ステーションかでも、関わる方の疾患は変わります。

2つの事業所の特徴を頭にいれておくとよいと思います。

色々な疾患をお持ちの方と関わってきましたが、リハビリの内容は大きく5つにわけることができます。

ここからは5つのリハビリの内容とリハビリの流れの一例をご紹介していきます。

あくまでの私の一例ですが、参考にしていただければ嬉しいです。

 

①言語訓練

失語症の方とのリハビリは、病院に比べると実生活で役立てるように、カードを使用せず、家にある物品や環境整備・ご家族の理解促進を中心にすることが多かったです。

できる方には宿題を渡し、次の訪問までに行っていただいていました。

 

リハビリの流れの一例

  • 体調確認
  • 上肢などの運動
  • 発声訓練→音階、歌唱、プッシングなど
  • 会話訓練

 

②音声訓練

病院ではあまり行うことが少なかった音声訓練ですが、神経疾患の方が多かったことで行う機会が多くなりました。

言語機能がしっかり保たれているのに、音声機能が低下していくため、それを維持することが目的でした。

 

リハビリの流れの一例

  • 体調確認
  • 宿題の確認
  • 言語理解・表出訓練→家にあるものでよく使うもの
  • 実用コミュニケーション訓練→ご家族を交えて
  • 宿題の説明

 

③嚥下訓練

在宅ですと誤嚥したときに対応できるものがほとんどないため、間接嚥下訓練や食事状況の確認・食事形態の提案・調理方法の助言などが中心でした。

ご家族の協力を得て、数口味わう程度のお楽しみ摂取を行う場合もありました。

 

リハビリの流れの一例

  • 体調確認
  • 上肢などの運動またはストレッチ
  • 間接嚥下訓練
  • 食事状況の確認
  • 場合によってRSSTやMWSTを実施し、嚥下機能評価を行う
  • 食事についての相談

 

④構音訓練

脳卒中後後遺症の方や神経疾患の方に行っていました。

改善には習慣化して構音訓練をしてもらう必要があるため、宿題をお渡しするだけでなく、宿題をやってみてどうだったか・効果についてなどなるべく毎日行っていただけるようフィードバックする時間を他の訓練よりも多く時間を取っていました。

 

リハビリの流れの一例

  • 体調確認
  • 上肢などの軽い体操
  • 発声訓練→音階、歌唱、プッシングなど
  • 構音訓練
  • 会話訓練
  • 全体のフィードバック・困りごとの相談

 

⑤その他

大体、上記4つのリハビリを行うことが多いのですが、下記のようなケースがあります。

 

  • 人工喉頭での発声練習
  • 認知症の方に対し実用的コミュニケーション練習
  • 肺炎などで痰が多い方に対して呼吸訓練・排痰練習

 

正直、知識はあるけれど、訪問リハビリで初めて実践した訓練はありました。

しかし、頼れる仲間がいるので、適宜、リスクを含めて相談ができたのでそこまで不安はありませんでした。

 

言語聴覚士による訪問リハビリで利用者さんの在宅生活をサポートします!

 

病院と比べると、訪問リハビリは確かに色々不便に感じる一面があります。

しかし、その場の環境やあるものでリハビリの内容を組み立てていくことは、その人の今までとこれからの生活を繋げる橋渡しになります。

関わっている人の人生に伴走していきたい・生活に直結するリハビリをやってみたいと感じている言語聴覚士の方はぜひ、挑戦してみてください。

 

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