訪問看護師の地域での役割とは?実践例を交えて紹介します!

訪問看護師の地域での役割は何ですか?

実際にどんな活動をしているのでしょうか。

 

そう聞かれたらあなたはどう答えますか?

普段訪問看護師として働いている方は、すでに地域で活躍している看護師です。

では、私の地域での役割はこうです!具体的にこんなことをやっています!と答えられるでしょうか。

改めて、訪問看護師の地域での役割を一緒に考えてみませんか。

この記事では、訪問看護師の地域での役割と実践例を紹介していきます。

ぜひ最後まで読んでみて下さい。

 

訪問看護師の地域での役割

 

皆さんは、「地域包括ケアシステム」という言葉をご存知でしょうか。

「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けられるように支援することを目的とした総合的なサービスを地域で提供する仕組みのことを指します。

現在、日本では、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。

65歳以上の人口は、2022年の時点で3600万人を超えており、2042年に約3900万人でピークを迎えます。

その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。

 

出典元:総務省統計局

 

このような状況を踏まえ、国は、2025年(令和7年)を目途に高齢者の方が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域で「住まい・医療・介護・予防・生活支援」が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

 

出典元:厚生労働省 地域包括ケアシステム

 

訪問看護は、介護の在宅系サービスの中に分類されており、私たち訪問看護師が地域包括ケアシステム構築の一部を担っていることが分かります。

つまり、訪問看護師は高齢者の方が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように支援する役割があります。

 

役割を果たすための具体的な計画

訪問看護師は地域包括ケアシステムにおいて、高齢者の方が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように支援する役割があることが分かりました。

では具体的に、どうやってその役割を果たすことができるでしょうか。

地域包括ケアシステム構築のための訪問看護の推進に向けて、「訪問看護推進連携会議」を構成する3団体(日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会)が、2014 年に「訪問看護アクションプラン 2025」という具体的な計画を策定しました。

「訪問看護アクションプラン2025」は以下に示す4つの項目に分かれています。

 

1、訪問看護の量的拡大
・訪問看護事業所の全国的な整備など

2、訪問看護の機能拡大
・訪問看護の提供の場の拡大など

3、訪問看護の質の向上
・健康の維持・回復、生活や穏やかな人生の最終段階を支える視点を持つ専門家の育成など

4、地域包括ケアへの対応
・国民への訪問看護の周知など

出典元:訪問看護アクションプラン2025–2025年を目指した訪問看護

 

このプランにそって活動することは、地域における訪問看護師の役割を果たすことに繋がります。

今回はアクションプランの「4、地域包括ケアへの対応」に基づいた実践例を紹介します。

 

3つの実践例

 

アクションプラン2025の4つの分類の「4、地域包括ケアへの対応」に基づいた実践例を紹介します。

それぞれの地域にあった地域包括ケアシステムの構築のために、地域住民・行政・他事業所・多職種等と協働して取り組んだ事例です。

 

オレンジカフェへの参加

 

オレンジカフェとは、私が住む地域の認知症カフェの名称です。

認知症カフェは認知症の方やそのご家族、地域住民、介護職員など誰もが集える場所です。

気軽に悩み相談や世間話などができるコミュニケーションの場として全国各地で運営されています。

日本では認知症施策の一環として2012年から推進されており、2015年の新オレンジプランにて全市町村での設置を目指すという目標が示されました。

近所のデイサービスで開催されていたため、運営メンバーではなく地域住民として数回参加しました。

参加者は認知症の方や家族に認知症の方がいる方、専門職としてケアマネージャーとデイサービスのスタッフの方などでした。

初期の認知症の方と暮らすご家族とお話をさせて頂き、今気になっていることや今後に向けて考えていることなどを聞くことが出来ました。

私からは、日々の訪問看護の経験を踏まえたアドバイスや介護サービスとして訪問看護の紹介をさせて頂きました。

地域包括ケアシステムの中に参加し、地域で働く訪問看護師として情報提供の支援ができた実践例の1つです。

 

地域包括支援センターの勉強会への参加

訪問看護ステーションの近隣の地域包括支援センターで、住民向けの勉強会が開催されていたため、参加者として勉強会に参加させて頂きました。

その後、地域包括支援センターから訪問看護の依頼を受けて連携をする中で、勉強会開催の依頼を頂き、講師として勉強会に参加させてもらいました。

勉強会のテーマは「自宅での介護を考える」でした。

参加された住民の方の中には、実際に介護をされている方やこれから介護が必要になったときのために参加されている方がいました。

自宅で介護を行う際に、介護者が疲弊しないためにも介護保険、介護保険サービスを使用することができることをお伝えしました。

行政と協力し、地域住民に訪問看護師として働きかけができた事例です。

 

地域のお祭りへの参加

 

青年会議所から依頼を頂き、地域で開催するお祭りの救護班の運営を行いました。

地域の他の訪問看護ステーションと一緒に、お祭りの当日準備、救護班の運営を行いました。

体調不良者の対応や怪我の手当を行い、安全にお祭りを行うことができるように関わらせてもらいました。

地域のイベントを支え、訪問看護ステーションの広報にもなった事例です。

 

まとめ

訪問看護師の地域での役割は、高齢者の方が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように支援することです。

地域包括ケアシステムは超高齢化社会に対して考えられたシステムのため、高齢者を対象としていますが、高齢者の方の周りには他の世代の家族、地域の方がいます。

そして訪問看護の対象者は赤ちゃんからお年寄りまでの全ての人です。

そのため、高齢者の方だけでなく地域に暮らすすべての人が自分らしく暮らすことができるよう支援することが、訪問看護師の役割であると言うことができると思います。

日々の訪問看護業務を行うことでも、十分に役割を果たしていることになりますが、利用者さんの自宅以外でも、地域のための活動を行うことができるという実践例を紹介しました。

今後も、利用者さんに直接看護を提供する以外にも、訪問看護師として役割を果たすために出来ることを考えていきたいです。

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ABOUT US
清水 千夏ライター
東京都在住/看護師・保健師/ 卒業後大学病院9年勤務 その後、派遣看護師としてクリニックやデイサービス、訪問入浴などを経験。 現在は訪問看護ステーションの立ち上げメンバーとして奮闘中です。