訪問看護における個人情報の保護規程について

訪問看護では個人情報の取り扱いに細心の注意が必要となります。

SNS等での発信内容はもちろん、個人情報が含まれている普段の書類の管理にも配慮が必要です。

また個人情報を含めた書類を郵送・FAXで外部とやり取りすることも多く、日々注意が必要とされる話題となります。

今回は訪問看護における個人情報の保護規定について、現場で働く際に役立つ基本的な内容を中心に解説してゆきます。

 

知っておくべき個人情報保護法

 

2017年に改訂された個人情報保護法では、私たちが普段意識しているよりも多くの情報が、個人情報として定義されています。

氏名や生年月日、住所の他に、性別や家族構成も含まれます。

他にもどのような情報が個人情報に含まれるのかの定義が明確に定められました。

その中でも3種類の個人情報について解説してゆきます。

 

  • 個人属性情報

マイナンバー、クレジットカード番号、パスポート番号、電話番号、端末ID、メールアドレス、サービス/アカウントIDが含まれます。

その他ですと、近年の電子機器のほとんどで使用されている顔認証データや指紋データ、音声データも個人属性情報に含まれます。

 

  • 要配慮個人情報

人種や病歴が含まれます。訪問看護記録にも残る情報であるため、記載情報には気を配る必要があります。

その他にも社会的身分、犯罪歴、宗教等の信条も含まれます。

 

  • 履歴情報

購入履歴や位置情報、ウェブの閲覧履歴、乗車履歴が含まれます。

近年のSNS流行ならではの個人情報になります。

 

個人情報保護に関する契約

 

 

訪問看護では初回利用の前に契約作業が発生します。

この契約作業の中で、個人情報保護に関して触れられることが多いです。

契約作業の中では、利用者さんに対して、事業所として書面を通して個人情報の取り扱いに関して説明をすることになります。

対応する職員は細心の注意と、事業所職員内で個人情報に関する共通の認識を持っておく必要があります。

この際に説明しておくべき基本的内容に関して解説します。

 

使用目的

 

利用者さんの個人情報を取り扱うにあたり、どのような目的で使用するのかを示す必要があります。

何のために使用するのか、どのような場面で使用するのか、どなたに対して情報を使用するのかを示しておきましょう。

具体的な場面で表現すると、ケアプランを作成するケアマネジャーには必ず情報を共有することと、福祉用具業者など必要に応じて他事業所との連携を図る旨を伝えておければよいと思います。

 

使用期限

 

訪問看護契約期間中に使用した個人情報を、いつまで管理使用するのかの期間を示す必要があります。

 

注意事項

上記の記載に当てはまる事柄以外で、個人情報に関わる注意事項がありましたら記載しておきましょう。

特に書類の処分に関してなどの記載が必要になります。

上述の書類使用期限と合わせて、期限超過後の書類をどのように破棄するのか、事業所内での共通認識をもっておきましょう。

 

以上が契約作業の際に説明しておくべき基本的内容になります。

この他にも個人情報に関する取扱いについて、事業所毎に個別的に設定している場合もあります。

自身の努める事業所が、個人情報に関してどのような契約内容を設定しているのか、いま一度確認しておくことをお勧めします。

 

現場での個人情報あるある

 

最後に、現場で悩む個人情報の取り扱いについて解説してゆきます。

 

氏名消し問題

 

訪問看護ではFAXでの情報交換が必要な場面が多くあります。

この際に書類の氏名が開示されないように配慮をします。

以前、書類の利用者さん氏名を全て消し(氏名を全て消すのが訪問看護記録ソフトの推奨設定となってました)、念のためFAX送付状には一部消した氏名(田中太郎→田〇太〇のような、手作業で氏名の一部を消した状態)を記載して、別事業所に送付したことがあります。

すると別事業所から『一つひとつの書類自体が紛れてしまうため、書類の氏名を全て消すのはやめて欲しい』との指摘を頂くことがありました。

以降は書類の氏名は一部消す方向で統一し、書類一つひとつに対して手作業で対応してゆく形となりました。

事業所によって判断が異なる部分かと思いますが、氏名の表記方法には配慮が必要になると感じる経験でした。

 

書類に個人情報ありすぎ問題

 

またもFAXの問題になりますが、とにかく書類一つひとつが個人情報の宝庫となっています。

月々の実績などをFAXで送る際には、先述の氏名はもちろん生年月日、住所など各書類に個人情報が散りばめられています。

表記場所も統一されておらず、書類の確認を丁寧に行わないと、個人情報の記載を見逃してしまうほどです。

また情報共有の一つとして支援計画書を送る際には、病歴などの個人情報も記載されている可能性があります。

はじめに述べた個人情報保護法に則ると、個別性のあるほとんどの情報が個人情報に該当します。

一つひとつの書類を正確に確認の上、可能であればダブルチェックなどを踏まえた上でのFAX使用をお勧めします。

 

まとめ

訪問看護における個人情報の保護規定について、基本的な内容を中心に解説しました。

事業所ごとに対応が異なる難しい話題になりますが、トラブルが起きやすい重要な話題でもあります。

今回の記事を参考に、職場のスタッフとも一度個人情報の取扱いに関して振り返る機会を持ってもよいかもしれません。

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