訪問看護のサービス内容には、「リハビリテーション」が含まれています。
リハビリは、看護師またはセラピストで行います。
訪問看護ステーションでは、セラピストが在籍してリハビリを行っているところも多いですよね。
私も訪問看護で、理学療法士として働いています。
今回は、訪問看護でのリハビリの内容を紹介します!
目次
訪問看護でのリハビリとは
そもそも、リハビリとはどんな意味があるかご存知でしょうか。
まずは、リハビリの意味について押さえていきましょう!
リハビリの意味
リハビリと言うと、どんなことをイメージしますか?
運動をすることや、筋トレをすることと言ったイメージを持っている方が多いかもしれません。
利用者さんの立場になると、「しんどいこと」と答える人もいらっしゃいますね。
リハビリとは、ラテン語でre+habilis、つまり「再び適する」と言う意味になります。
わかりやすい言葉で言うと、「再びその人らしい生活ができるように支援すること」になります。
つまり、リハビリとは、利用者さんの身体機能にアプローチするだけではありません。
利用者さんを取り巻く全ての人(介護者やサービス担当者)やもの(生活空間など)に対してもアプローチします。
これを念頭に置いておくと、リハビリの内容が理解しやすいと思います。
訪問看護でのリハビリとは
訪問看護でのリハビリは、看護業務の一環として行われます。
訪問看護におけるリハビリは、看護業務の一環ですので、看護師との連携が重要です。
ただし、看護師とセラピストでは、利用者さんをみる視点が異なります。
主な違いを簡単に言うと、以下になります。
- 看護師:病状についての介入と予後予測
- セラピスト:機能回復や日常生活についての介入と予後予測
利用者さんの状態や目標について、看護師とセラピストで情報共有して、お互い強みを活かしながら介入できるといいですよね。
訪問リハビリとの違いはこちらの記事を参考にしてくださいね。
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職種別!訪問看護でのリハビリの内容を紹介
リハビリの専門職であるセラピストには、3つの職種があります。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
いずれの職種も、介入時の流れは同じです。
- 健康状態のチェック(血圧測定など)
- リハビリ(評価とアプローチ)
リハビリをするには、まず評価が必要です。
評価をして、問題点に合ったアプローチがリハビリの内容になります。
リハビリの内容は、職種によって異なる部分があります。
ここからは、職種別の訪問看護でのリハビリの内容をご紹介します!
理学療法士のリハビリ内容
理学療法士とは、動作の専門家です。
基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、自立した日常生活が送れるように支援します。
訪問看護でのリハビリの内容は、具体的には以下になります。
- 関節の動きの拡大(関節可動域訓練)
- 筋力の維持、強化(筋力強化訓練、ストレッチなど)
- 麻痺の改善
- 動作の改善(座る、立つなどの基本的な動作や日常生活動作)
- 環境調整(手すりなど福祉用具の提案、安全かつ効率の良い動線の提案、ポジショニングなど)
- 介助方法の伝達や指導(介護者の力の入れ方や介護する位置などの指導、腰痛予防対策など)
訪問看護での理学療法士のリハビリは、利用者さんへの直接的なアプローチだけではありません。
利用者さんの生活環境などにもアプローチしていき、利用者さんの生活全体を支援していきます。
作業療法士のリハビリ内容
日常生活に関わる全ての諸活動や社会適応能力を維持、改善し、その人らしい生活の獲得を目標に支援します。
作業療法士の「作業」とは、食べたり、入浴したり、仕事や家事、趣味など人が関わる全ての諸活動を指します。
この「作業」に焦点を当てて、評価とアプローチをします。
訪問看護でのリハビリ内容は、具体的には以下になります。
- 基本的動作能力の維持、向上(運動や感覚、知覚、精神や認知などの心身機能)
- 応用的動作能力の維持、向上(日常生活動作、家事など日常で必要となる活動)
- 社会的適応能力の向上(地域活動への参加、就学や就労の支援)
- 福祉用具を使用して趣味などを楽しむ支援
- 環境調整(その人に合った、より生活しやすい環境づくり)
訪問看護での作業療法士のリハビリは、セラピストの中で唯一、精神科訪問看護のリハビリができます。
言語聴覚士のリハビリ内容
言語聴覚士とは、コミュニケーションや摂食嚥下に関する専門家です。
言語聴覚士は、セラピストの中でも1番少ない職種です。
さらに在宅の現場で働く言語聴覚士は、さらに少ないです。
しかし、在宅の現場では需要が高いのが現状です。
訪問看護での具体的なリハビリの内容は、以下になります。
- 摂食・嚥下訓練(食べ物を使う訓練、口頭や頚部のマッサージやストレッチ、口腔ケア)
- 高次機能訓練(失語症などに対するコミュニケーションに関する訓練)
訪問看護では、言語聴覚士が少ないため、簡易的な評価やアプローチは、看護師や理学療法士、作業療法士が行う場合もあります。
まとめ
今回は、訪問看護でのリハビリの内容について、職種別に詳しく紹介しました。
訪問看護でのリハビリの内容は、在籍するセラピストの数によって、職種の領域を超えて求められることがあります。
また、住宅環境や福祉用具、使用機器などによって、評価やリハビリの内容が変わります。
限られた資源を活かして、利用者さんに合わせたリハビリの内容を提案していくことが必要で、難しいと感じる部分です。
同時に、とてもやりがいがあることだと思います。
セラピストの強みを活かして、看護師と協力しながら、利用者さんに合った訪問看護でのリハビリを提供できると良いですね。