- 誤嚥性肺炎を繰り返している利用者さんがいる
- 肺炎は治癒したものの食事がとれない利用者さんがいる
- 嚥下に関して問題を抱えたまま退院することになった利用者さんがいる
- 利用者さんが抱える神経難病や認知症の進行があり、摂食・嚥下に問題が生じる可能性がある
上記のような理由から、利用者さんの嚥下機能低下における栄養摂取の問題に対し訪問看護師としてどのようにアセスメントすればいいのか悩む方もいるのではないでしょうか。
どんなアプローチができ、在宅の環境で家族にどのように助言すればいいのか知りたい訪問看護師さんも多くいらっしゃると思います。
今回は、私が実際に役に立てた訪問看護におすすめの嚥下の本を5冊紹介します。
目次
訪問看護におすすめの嚥下の本を5冊紹介します!
食事や嚥下について記載された参考書は数多く出版されており、どの本が実際の現場で役に立つのか悩んでしまう看護師さんもいると思います。
摂食・嚥下に関して、私が訪問看護の現場で役に立ったと感じた本は以下の5冊です。
① 認知症患者の摂食・嚥下リハビリテーション
② 認知症「食事の困った!」に答えます
③ まるごと図解 摂食嚥下ケア
④ 口から食べる幸せをサポートする包括的スキル
⑤ 摂食・嚥下障害のフィジカルアセスメント
上記の5冊の本は、現場に必要な知識やすぐに使えるテクニックがたくさん詰まっています。
おすすめできるポイントを踏まえ、1冊ずつ紹介していきます。
認知症の摂食・嚥下や食事について知りたい看護師さんにおすすめはこちら
まず、最初に紹介したい本はこちらの本です。
この本は、私が認知症の進行に伴い、食事の困りごとを抱えた利用者さんを担当した時に出会えた本です。
初版は2011年で、この頃はまだ認知症の嚥下に対する情報も少なく、在宅でも手探り状態でした
嚥下の基本から認知症の病態やリハビリについて、実際の食支援についてていねいに書かれていて現場ですぐに役立ちました。
この本に出会えたことが、今の私の訪問看護に大きく影響されています。
この本の著者野原幹司先生は歯科医です。
それまでは摂食・嚥下は耳鼻科の領域と思っていました。
しかし歯科の目的は食べることであり、納得できました。
同じく歯科医師、日本歯科大学教授、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武先生の本です。
「食べること」「しゃべること」などの口のリハビリテーションを目的とした同クリニックで外来診療や訪問診療を行っています。
この本は認知症の家族や医療職以外の方向けに書かれています。
認知症のことや食事で困っていることのQ&Aと料理の工夫、手づかみ食、口腔ケアまでわかりやすく書かれています。
絵で見てわかるというように訪問看護の実践のヒントになることばかりです。
年代別の摂食・嚥下障害とリハビリについて知りたい看護師さんにおすすめはこちら
この本は摂食・嚥下障害看護認定看護師が書かれています。
摂食嚥下障害へのかかわりが看護の常識になるよう、診療科や年齢で分けず、対象は小児から高齢者まで幅広く、図や写真を多く取り入れてまとめられています。
特にほかの本にはない小児の摂食嚥下障害のことが書かれています。
小児の多くは生まれたときから正常な摂食嚥下機能の発達の遅れや機能獲得不全があります。
このことは、一度獲得された摂食嚥下機能が疾患によって障害される高齢者とのちがいがあります。
間接訓練、直接訓練、ライフサイクルに合わせた対応など参考になることばかりです。
私は、幼少から障害がある成人の利用者さんに訪問した時、歯は生えそろっているのに噛めないという方に出会いました。
お母さんがおっしゃるには、小学校に入るまでずっとミルクで育てました。
その時代は誰もそれがおかしいと言われなかったそうで、発達する時期に獲得していなければ、歯の有無は関係がないということを知りました。
食事介助のテクニックについて知りたい看護師さんにおすすめの本はこちら
口から安全に食べてもらう食事介助のテクニックとして環境や社会をどう変えて食べたいを支えるかについてくわしく書かれています。
この著者の小山珠美先生は、摂食嚥下障害に対する評価をしても、その先の食べさせる技術がないと感じ包括的支援モデルKTバランスチャートを考えられました。
また、小山先生考案のKスプーンは食事介助を最適に考えられています。
そのスプーンの持ち手には、開口障害のある方の開口を促せるK-pointを刺激できるようになっています。
研修等も行っておられますので参加することもおすすめします。
摂食嚥下の頸部聴診法やリハビリについて知りたい看護師さんにおすすめの本はこちら
この本は言語聴覚士さんが書かれた本です。
このタイトルどおり、聴診器で嚥下状態をフィジカルアセスメントができる内容になっています。
また、本だけではなくDVDもついています。
著者がいう「食べて治す」リハビリは在宅の場では必要ですし、誤嚥性肺炎を発症しないように限界まで食べ続けるための情報をわかりやすく記載しています。
私は、何度も何度も見返しています。
また自宅の掃除機を利用して窒息時の吸引方法も記載してあり、目からうろこの状態でした。
まとめ
今回は、訪問看護におすすめの嚥下の本を5冊を紹介させていただきました。
私は、おいしく食べて気持ちよく出すということを訪問看護の現場で大切にしています。
これらの本に出会い、知識を深めたりスキルアップすることができました。
そして認知症患者の摂食・嚥下リハビリテーションの著書の野原幹司先生のDHP主催の嚥下トレーナーの資格も取得しました。
利用者さんの食を支えるには、訪問看護師だけでも主治医との連携だけでもできないということも実感しました。
今は食を支える会という地域のコミニティにも参加させていただき、多職種連携にて活動しています。
この記事が皆さんの業務のヒントになっていただければ幸いです。