訪問看護におけるリハビリの需要は、拡大しています。
在宅医療が進み、病院だけでなく在宅でもリハビリを受けたいと思う方が増えています。
介護保険を利用する利用者さんの場合、訪問看護におけるリハビリは20分単位で介入することができます。
在宅におけるリハビリでは、20分で介入する方は、あまりにも時間が足りません。
多くの利用者さんは、40分または60分ですよね。
訪問看護におけるリハビリにおいて、40分と60分のどちらを選択したら良いか、悩むことはありませんか?
今回は、訪問看護で40分と60分はどう選ぶのか、それぞれの特徴を解説します。
目次
訪問看護(リハビリ)で40分と60分はどう違う?
まずは、訪問看護におけるリハビリの40分と60分はどう違うか見ていきます!
料金
訪問看護におけるリハビリは、「訪問看護Ⅰ5」で算定します。
単位数は下記の通りです。
- 訪問看護Ⅰ5…293単位(1回/20分につき)
- 予防訪問看護Ⅰ5…283単位(1回/20分につき)
時間が長くなれば、単位数は増え、利用者さんの負担額も増えます。
利用者さんの金銭的な負担がどの程度まで可能なのかを、確認しておきましょう。
また、利用者さんにとって、1日の訪問看護におけるリハビリが40分を超える場合は、10%減算となります。
- 訪問看護Ⅰ5・2超…264単位(1回/20分につき)
- 予防訪問看護Ⅰ5・2超…142単位(1回/20分につき)
他の訪問看護ステーションによるリハビリが同一日に介入していても、減算の対象となります。
他の訪問看護ステーションからリハビリの介入があれば、同一日であるかどうかを確認しておきましょう。
頻度
訪問看護におけるリハビリは、週に最大120分までと定められています。
そのため、最大の介入回数は、以下のようになります。
- 40分の場合、週に3回まで介入することができる。
- 60分の場合、週に2回まで介入することができる。
週に2回、または3回のどちらが利用者さんにとって良いのかを考える必要がありますね。
訪問看護(リハビリ)の料金や頻度についての詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください!
訪問看護(リハビリ)における40分と60分の特徴
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう!
40分を選ぶ場合の特徴
介入頻度を増やしたい
上記で述べたように、介入頻度を多くしたい利用者さんは、40分を選ぶ方が良いでしょう。
最大で、週に3回介入することができます。
具体的な例を挙げます。
- 寝たきりで通所系サービスなどを含めた外出が困難な場合
- 利用者さん一人では運動が続けられず、定期的に運動を促した方が良い場合
- 退院直後であり、自宅での生活が不安で、動作方法の指導を細かくした方が良い場合
目標やリハビリの内容が明確
さらに、目標やリハビリの内容が明確な場合は、40分のリハビリでメニューがこなせることが多いですね。
具体的には以下のような方です。
- 日頃から運動を定期的にしている利用者さん
- 趣味を再開したいと強い思いがあり、意欲的な利用者さん
利用者さんの意欲が低い
利用者さんのリハビリの意欲が低い場合も、40分を選択する場合があります。
- 意欲が高くなく、リハビリは周囲のすすめで介入することになった
- 以前にリハビリの拒否があった
- 体を動かすことに抵抗がある
このような場合は、40分で介入し、一定期間をおいてから再度評価を行い、介入時間の検討をすると良いでしょう。
60分を選ぶ場合の特徴
時間がかかる
どうしても介入時間に時間がかかってしまう利用者さんはいます。
リハビリで時間がかかる利用者さんといえば、こんな方がいらっしゃいますよね。
- 介助量が多い利用者さん
- ゆっくりとした動作の利用者さん
- お話好きな利用者さん
このように、時間がかかってしまう利用者さんの場合は、60分を選択した方が良いですね。
介入頻度が週2回以下
40分を選ぶ場合とは反対に、介入頻度が週2回以下の場合は、60分を選択することがあります。
例えば、以下のような場合は、60分を選択すると良いでしょう。
- デイサービスを週3回利用しており、自宅では積極的な活動がない場合
- 家族の協力が得られやすく、家族指導に時間をかけて行う場合
- じっくりと長い時間リハビリを行いたいと希望されている場合
ただし、60分を選択する場合は、時間が長くなり、利用者さんの負担が大きく、事業所としては減算の対象となります。
そのため、慎重に選択する必要がありますね。
本当に60分必要であるか、医師やケアマネジャーなど他職種の意見を聞きながら検討しましょう。
40分と60分を検討する時に必要な項目
では、どのような内容を把握しておくと良いのでしょうか。
- 活動量:利用者さんの自宅内の活動量の把握、評価
- 意欲と目標:利用者さんのリハビリに対する意欲、目標の明確さ、利用者さんの家族の意向
- 集中力や持久力:利用者さんの集中力や持久力
- 目標設定:医師やケアマネジャーなど他職種の目標設定
- リハビリに求めること
以上の項目について、把握しておくと良いでしょう。
その上で、リハビリ専門職として考えることは、リハビリの目標とそれに向けたリハビリの内容です。
サービス担当者会議など、他職種で検討する際は、上記の項目を把握して、リハビリ専門職としての意見を伝えられるといいですね。
まとめ
訪問看護(リハビリ)で40分と60分はどう選ぶか、それぞれの特徴を解説しました。
これらの違いは、時間だけでなく、金銭的、身体的に利用者さんの負担も変わるため、評価と情報による検討が必要です。
利用者さんの目標や意欲を把握し、他機関との協力を得て、選択していきましょう。
それでも、介入してみないとわからないこともあります。
医師やケアマネジャーと相談して、状態に合わせて変更するなど随時評価が必要です。
利用者さん一人ひとりに合った時間で、サービスが提供できるようにしていきましょう!