アセスメントと言う言葉は、リハビリだけではなく医療分野でよく耳にする言葉ですよね。
アセスメントとは、対象を客観的に調査、評価することです。
利用者さんのリハビリをすすめるうえで、なくてはならないものになります。
今回は訪問看護リハビリでのアセスメントのコツをお伝えしたいと思います。
目次
訪問看護でのリハビリでアセスメントを行うのはなぜ?
利用者さんは自宅で生活をするうえで何か困っていることがあるため、訪問看護を利用しますよね。
- 「原因は何か?」
- 「何をすれば自宅生活を続けることができるか?」
このようなことをどう解決していくかが必要になってきます。
そのためには色んな情報を集めて分析しなければいけません。
アセスメントのコツを知りたい方は是非参考にしてみてください。
訪問看護におけるリハビリのアセスメントのポイント
情報収集と他の評価したことを整理していくことでアセスメントを行い、ニーズ・課題をみつけていきます。
アセスメントをするための流れを以下に示します。
- 事前の情報収集をし、利用者のイメージをつかむ
- 問診をしっかりすることで詳細な情報が分かる
- 観察をすることで、利用者さんの様子がより見えてくる
- 客観的評価を行い、原因を見つけていく
①事前の情報収集をし、利用者のイメージをつかむ
まずは基本情報である現病歴や既往歴、生活歴、家族などの情報から確認します。
それに加えて精神状態や身体機能面、日常生活動作の制限、社会的役割なども確認し、イメージを広げます。
また、疾患の病態、現在どういう生活を送り、何ができているかなどを想像していくことをしていきます。
紙面情報には歩行器具が具体的に書かれていないなどの場合もあるため、もう少し事前に知りたい情報があれば他職種から情報を得るようにします。
病院のリハビリ担当者やソーシャルワーカー、要介護被保険者であればケアマネージャーなど情報の取り方は色々あります。
こうして事前に情報収集をして利用者さんのイメージをつかむようにして、訪問するほうが本人との話をより深めることができますね。
また、訪問時間も限りがあるため、訪問当日はよりスムーズにリハビリが進められることにもつながるメリットもあります。
②問診をしっかりすることで詳細な情報が分かる
訪問してからは事前情報との照らし合わせながら、整理していきます。
そして、実際に利用者さんや家族と対面し会話をしますが、対話していると事前情報にないことや実は違う課題も見えることがあります。
以下の内容は問診の一部ですが、特に抑えておきたい内容です。
- 主訴
- 一番困っていること
- リハビリをしてできるようなりたいこと
- 現在何ができているか
問診では必ず相手の想いを聴くようにしなければいけません。
特に主訴には一番困っていることや本人の希望が含まれていることもあります。
私自身、主訴をしっかり聞けていなかったことで苦い思いをした経験があります。
その訴えが必ずしもリハビリで解決できるものとは限りませんが、ちゃんと話を一度受け止めるようにしましょう。
また、本人が困っていることをうまく言えない場合は具体的な動きなどの質問からする方法もあります。
例えば、膝疾患の方では「階段などの段差は支障ないですか?」のように聞くことでスムーズに話が進められるとこともあります。
内容によってはフィジカルアセスメントを行いながら問診もできるようになると、時間を効率よく使うことができます。
訪問は時間の限りがあるため、こういったスキルも必要になります。
お話し好きの方もいますので、苦手な方はこちらを参照みてください。
③観察をすることで、利用者さんの様子がより見えてくる
観察からも色々情報が得られます。
表情や皮膚、体格・姿勢、コミュニケーションの取り方など色々アセスメントができます。
もちろん、これも問診や他の評価をしながらでも観察を行うこともします。
ここまでは病院でも行えますが、訪問ならではの観察は自宅の状況が見れます。
- 「自宅では主にどこで過ごすか」
- 「トイレの位置」
主な生活スペースや行動が分かると動線もある程度分かります。
その環境下で下記のような動きの確認も行います。
- 「どのように動けているか」
- 「どのようなことが出来ているか」
さらにはちゃんと掃除がされているかなど衛生面などの確認もしてみてもいいと思います。
ある程度動けそうな方の場合は下記のような自宅内以外にも確認しておくと、良いでしょう
- 「近所に買い物できる場所はあるか?」
- 「病院までの通院が行いやすいところなのか?」
このように、ご本人の状態や動作の観察、それ以外に自宅や周囲の環境などの観察が出来るのが訪問ならではです!
④客観的評価を行い、原因を見つけていく
今までの情報収集や問診、観察などの情報から課題があれば原因の特定を行わないといけません。
例えば変形膝関節症の方で自宅の2階に行きたいけど行けない場合、下記に一部の客観的評価内容を示します。
- 膝の痛みがあるのか?
- 下肢の関節はどのぐらい動きがあるか?
- 筋力はあるのか?
- バランス低下はないか
このように他の情報などとすり合わせ「何が原因か」を考えていきます。
原因特定は実際の臨床では簡単ではないことがよくありますが、可能性を色々考えていくことが必要になってきます。
評価して、「これは良かった」「これは原因の一因になりそう」など一つ一つ評価し確認して他の情報と整理していくしかないと思います。
さらに数値化したものを使うと変化が分かりやすく、他者はもちろんですが、本人にも伝えやすくなります。
まとめ
以上のような流れからニーズ・課題をみつけ、目標やゴール設定行います。
私自身、流れ的にはこのように病院でも行っていました。
訪問看護のリハビリになってからは「実際の住んでいる環境」に沿った内容を今までの方法に付け加えて行っています。
臨床に経験があるセラピストであれば訪問でもすぐに慣れると思います。
ただ、訪問看護は病院よりも本来の本人の生活を意識した情報や評価をしなければいけないと感じています。
食事面、服薬状況、通院状況、どういう行動範囲、どういう方と交流があるか?など入院時よりも広く、時に深く見なければいけません。
全て深く見れるわけではないので、この利用者にはここが課題などcase-by-caseです。
私自身まだ慣れないこともありますが、訪問看護なので看護師を中心に他職種と協力し、アセスメントを行っていくことが大事かなと思います!