訪問看護は主治医からの訪問看護指示書にもとづきサービス提供しますが、訪問看護指示期間中に主治医が変更になることもあります。
そのような場合、どのように対応したら良いでしょうか?
こちらの記事では、『主治医変更した時の訪問看護指示書はどうすれば良いか?』というお悩みが解決できるよう、対応について詳しく説明します。
よくあるケースを挙げて解説しますので、参考にしてみてください。
目次
主治医変更した時は訪問看護指示書はどうすれば良いか?
なぜなら、訪問看護指示書は医師から訪問看護ステーションに交付されるものであり、報告・連絡・相談等々の必要な連携は、医療機関ではなくあくまで主治医個人と行うものだからです。
主治医が変更になるのはどのようなとき?
それでは、どのような時に主治医が変更になるのでしょうか。
それぞれのケースを例に挙げて説明していきます。
(参考資料:令和4年版訪問看護実務相談Q&A)
利用者さんの体調・病状が変化した時
訪問看護指示期間内で利用者さんの状態が変化することはたびたびあります。
その場合、訪問看護指示書を新たに交付してもらうことが望ましいです。
よくある事例に沿って説明していきます。
「特別訪問看護指示書」は、訪問看護指示書交付の医師から交付されるものです。
この場合は主治医変更されていますので、「訪問看護指示書」と「特別訪問看護指示書」の両方の交付を受けてください。
尚、1人の利用者さんに対し、複数の主治医から訪問看護指示書の交付を受けることはできませんので、元の主治医・新しい主治医・利用者さんと、しっかり協議をして変更するようにしましょう。
利用者さんの体調が悪く、主治医と異なる医療機関を受診し、脳梗塞の診断を受け、特別訪問看護指示書と在宅患者点滴指示書が交付されました。
この場合、主治医が変更になるのでしょうか。
主治医と異なる医師から、特別訪問看護指示書の交付は受けられません。
訪問看護指示書および特別訪問看護指示書は利用者さん1人に対して一人の医師から交付されるものであり、複数の医師から訪問看護指示書を受けることはできません。
主治医を変更するか否かについては利用者さんの意向や、以前からの主治医、今回訪問看護指示書を交付した医師と相談して、その後の対応を決定しましょう。
退院時に、病院から訪問看護指示書の交付を受け、介護保険で訪問看護を提供していましたが急性憎悪により、訪問診療医に主治医交代となりました。
交代した訪問診療医から、特別訪問看護指示書のみの交付を受けたのですが、訪問看護指示書も必要でしょうか?
「特別訪問看護指示書」は、訪問看護指示書交付の医師から交付されるものです。
主治医交代されたのであれば、訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の両方の交付を受ける必要があります。
この場合も、主治医(元の主治医、新しい主治医)や利用者さんとしっかり協議をして変更するようにしましょう。
褥瘡悪化のため、皮膚科受診し医師より処置の指示がでました。
毎日処置が必要なので特別訪問看護指示書がでましたが、主治医を変更した方が良いのでしょうか。
皮膚科の医師と主治医とで、診療情報提供書により情報を共有してもらい、訪問看護指示書が交付されている主治医より特別訪問看護指示書を出してもらうのが良いでしょう。
訪問看護指示書の有効期間内ですので、再度訪問看護指示書の交付を受けなくても訪問看護の提供は可能です。
ただし、病状の変化等があれば、再度訪問看護指示書を交付してもらう必要があります。
利用者さんがかかりつけ医の変更を希望した時
在宅療養の過程で主治医が変更になる場面もたびたびあります。
こちらもよくある事例を挙げて説明します。
利用者さんの希望を尊重し、近所の医師を主治医とし、新たに訪問看護指示書を交付してもらうのが良いです。
大学病院の医師に相談し、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらい、主治医変更の相談をします。
そのうえで、新たな主治医から訪問看護指示書を発行してもらいます。
ただし、訪問看護指示料は1人につき1月に1回のみの算定となっていますので、医師間で相談してもらいましょう。
主治医が転勤などで交代する時
訪問看護指示期間内に主治医が転勤や退職で変更になることがあります。
その場合、訪問看護指示書はどうすれば良いか説明していきます。
主治医は変更になりますが、訪問看護指示書はそのまま使えるでしょうか。
主治医が転勤や退職で変更になった場合は、新たに訪問看護指示書を交付してもらう方が良いです。
担当医が変わったが、前回の訪問看護指示書が残っています。
新しい担当医が、利用者さんの状態がよくわからないと訪問看護指示書を出してくれません。
そのままで訪問看護を継続していいでしょうか。
継続して訪問はできます。
しかし、担当医が変わった場合、新しく訪問看護指示書を出してもらう方が望ましいとされています。
新しく主治医となる医師に訪問看護指示書の発行を依頼しましょう。
そのうえで、利用者さんやケアマネージャーと協議して診察の日程を調整するなど、主治医と連携できる環境づくりが必要になります。
また、訪問看護指示書は1月に1回しか算定できませんので、前医からすでに交付を受けている場合、翌月交付してもらうなどの調整をしましょう。
まとめ
今回は、主治医変更した時は訪問看護指示書はどうすれば良いかについて紹介しました。
訪問看護指示書を交付できるのは、1人の利用者につき、原則1人の主治医となります。
仮に主治医が2人いたとしても、訪問看護指示書を交付できるのはどちらかだけです。
この『主治医である医師と訪問看護ステーションとの関係』の根本を知っておくと、『特別訪問看護指示書』や、主病名以外を診ている医師からの指示への対応も理解しやすいと思います。
訪問看護を提供するために必須である『訪問看護指示書』。
利用者さんが安心してケアを受けられるよう、しっかりと確認し対応していきましょう。
しかし、主治医が変更になった場合は、指示期間に残りがあったとしても新たに発行してもらうことが望ましいです。