訪問看護での家族への対応で困った場面の解決方法を解説します

利用者さんや家族との関係に困ったことはありませんか?

訪問看護の現場では、「家族への対応がむずかしい」「家族にどうかかわっていいのかわからない」といった事があります。

よかれと思った介入がクレームになったりすることもありますよね。

また、スタッフからも利用者さんや家族から心無い言葉を受けた場合、我慢して訪問看護を継続するものなの?といった発言もでてきます。

こういった事を経験していくなかで私は、渡辺式家族アセスメント/支援モデルを参考にして援助の方向性を考えるようにしています。

何が原因なのか、誰が悪いのかではなく、その場で「何が起きているのか」に焦点をあてる方法になんども助けられています。

なにかの参考にしていただけると幸いです。

 

利用者さん・家族・訪問看護師はお互いに影響を与え合う存在

利用者さんと家族は、影響を与え合う存在、つまり家族あっての利用者さんであり、利用者さんあっての家族です。

訪問看護の場合、利用者さんと家族、それぞれ個別に対応するのではなく、利用者さんと家族丸ごとみていくことになります。

また、同時に家族と訪問看護師も影響を与え合う存在です。

訪問看護師が家族に対して苦手意識を持ったり、「非常識な家族」と感じるときは、家族と訪問看護師との間に感情の悪循環が生じている可能性があります。

このような問題を解決するためには、一般的にはコミュニケーションが大切といわれます。

しかし、いくらコミュニケーションや信頼関係が大切にとはいえ、訪問看護師も行き詰まりを感じてしまいます。

家族との関係に行き詰まった場合の事例検討では、利用者さんや家族の分析のみすることがほとんどではないでしょうか?

訪問看護師の場合は、利用者さん・家族の対象理解は十分といえるほど行えていると思います。

むしろその能力が高い看護師と言えると思います。

しかし単なる対象理解では、これといった援助の方策を見出すことにはつながりません。

訪問看護師自身が「困った」と感じる相手の言動は、家族との関係性において生じていると考えます。

家族に変化をもたらすには、訪問看護師自身が家族にどのような影響をもたらしているのかを客観的にみつめ、関係性を更正する援助の方向性を見出すことが大切になってきます。

 

家族のストーリーに耳を傾けて思いを受け止める

生活の場、そこには利用者さん、主たる介護者、それを取り巻く家族の存在があります。

その家の歴史、好みのライフスタイル、思い出、これまで築いてきた人間関係などの文脈の延長のもとに療養していると理解します。

しかし、単に利用者自身の問題にとどまらず、様々な問題が同時に存在し、それらが互いに影響し合って、その家族固有の問題となってあらわれていることが多々あります。

家族のストーリーに耳を傾けて思いを受け止める方法とは

①家族の気持ちになって家族の困りごとを考える

②家族が困りごとに対してどのように対処しているのかを考える

③家族の対処の背景を考える

④家族のストーリーとしてまとめる

後で事例を通じて説明したいと思います。

 

訪問看護師の価値観と思いを考える

次に訪問看護師の価値観と思いを考えてみます。

訪問看護師の価値観と思いを整理する方法も、家族のストーリーと同様に同じ視点で考えます。

訪問看護師の価値観と思いを整理する方法
①訪問看護師の困りごと

②訪問看護師はどのように対処しているのかを考える

③訪問看護師の対処の背景を考える

④訪問看護師のストーリーとしてまとめる

 

家族のパワーレベルと訪問看護師のパワーレベルを考える

よくある事例検討では、家族の問題点がアセスメントされます。

では、訪問看護師の思いを気づくことも必要なのはなぜでしょうか?

ここからは、私が渡辺式家族アセスメント/支援モデルを知ってから、お互いのパワーについて考えられたことが目からうろこでした。

家族のパワーが大きい時もあれば、ネグレクトのようなパワー不足であったりしますよね。

また、訪問看護師自身もパワーがあふれてしまうこともあったり、その逆に「私には対応できない」なんて弱気になってしまうことも経験しています。

そのことを考えられることこそが、今、何が起こっているかについて整理することができると思います。

 

困った場面の具体例

訪問看護師は、介護をしている長男からいつ怒鳴られるか予測がつかず、たびたび大声でまくしたてられています。

これまで長男を褒めたり、不安を言葉にできるようにいろいろ対応していますが、状況は変わらず訪問看護師は大変なストレスを感じています。

長男の困りごとは介護にかかわる負担や仕事を思うようにできない経済的な不安、さらに訪問看護師が思い通りに動いてくれないことに困惑する日々を送っていると考えられました。

一方、訪問看護師は怒鳴る長男にどのように接したらよいのかわからないことに困っていました。

こうなった場合、ひたすら言い分を聞くという対処をしてしまい、長男の攻撃はエスカレートしてしまうといった悪循環を招いていると考えられます。

巻き込まれ支配されている現状に気づく必要があります。

このように、長男の困りごと、対処(攻撃をエスカレートさせる)訪問看護師の困りごと、対処(ひたすら言い分を聞く)をそれぞれのストーリーとしてまとめます。

 

この事例は家族のパワーレベルを下げる、訪問看護師のパワーレベルを上げることに注目します。

渡辺式の考え方は、訪問看護師のパワーレベルを上げること、具体策として訪問看護師は巻き込まれを招いている認知の歪みに気づき「相手を受け入れなければならない」「理解すれば相手が変わる」といった自分の中にある認識を再度問いかけていく、専門職としての姿勢が必要とされていると考えます。

そして、1人の利用者とその家族に、できること、できないことの限界をしっかり認識し、その枠組みのなかで最善を尽くす姿勢が不可欠であり、否応なくその枠組みを崩そうとする家族のパワーに圧倒されそうになりますが、社会的サービスとしての枠組みを守ることが訪問看護師も長男も守ることになると考えると解説しています。

家族のパワーレベルを下げるための具体策としては不満を十分に聴き、できることできないことを示し、合意を形成することが重要です。

また、合意形成が困難な場合は、組織の判断に委ねる必要があります。

 

まとめ

 

  • 家族の「困りごと」「対処」「対処の背景」を考える
  • かならず、対象者だけでなく訪問看護師の「困りごと」「対処」「対処の背景」を考える
  • 「何が起きているのか」に焦点をあてる
  • 家族のパワーレベルと訪問看護師のパワーレベルについて考える

 

 

上記のことを整理し考えることで行き詰まった感じがなくなることを経験から実感しています。

2人以上の訪問看護師で行うこともできると言われているので、事例検討といったあらたまった場でなくてもあらゆる場面でも活用できます。

「渡辺式家族アセスメント/支援モデルによる困った場面課題解決シート」という著書を用いるとさらに明確にすることができると思います。

 

興味のもった方はさらにセミナー等に参加されることをおすすめします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

訪問看護の中で何かのヒントになれば幸いです。

 

また、以下の家族との関わりについての記事と併せて読んでいただければと思います。

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