訪問看護における作業療法士の役割とは?

「作業療法士」の作業とは、食べたり入浴したり、人の日常生活に係るすべての諸活動を呼びます。(出典:日本作業療法士協会

また、作業療法士は生活機能面と精神機能面のリハビリ専門職として、理学療法士・言語聴覚士と分けて考えられています。

大まかに捉えると、理学療法士が各動作の土台となる基本動作を専門的にみる、その先にある応用動作を専門的にみるのが作業療法士です。

例えば、「洗濯物を干す」という動作を考えてみます。

①立つ(座る)

②洗濯物を取り出す

③洗濯物を物干し竿に引っ掛ける

①の立つ・座る姿勢を保持するために必要なトレーニングをするのが、理学療法です。

②や③のように洗濯物を取り出すことや物干し竿に引っ掛けるような指先を使ったり、複合的な動きができるようにトレーニングしていくのが作業療法です。

以上のように作業療法士の役割は厳密に言うと分類されています。

そこで、今回は訪問看護において作業療法士の役割はどのようなものかを紐解いていきます。

この記事を読んでいただけると、作業療法士として訪問看護での活躍の場や理学療法士・言語聴覚士より秀でている部分が明確になります。

最後まで読んでいただけたら幸いです。

訪問看護において、作業療法士の役割3選

訪問看護において、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は職種の垣根を越えて介入している場合も多々あります。

しかし、歩んできた過程で専門的視点もあり、特に長けている分野があります。

そこで、作業療法士が訪問看護において主に特に活躍できることとして、以下の3選があります。

 

  • 精神疾患に対するリハビリができる
  • 生活動作に精通している
  • 自助具など、日常生活動作の補助の視点に長けている

 

これらに対して、細かく解説していきます。

 

精神疾患に対するリハビリができる

訪問看護で作業療法士が一番活躍できることとして、精神疾患の利用者さんへのリハビリを実施できることが挙げられます。

何かの疾患に付随して精神疾患を患っている方は多くいますが、精神疾患単独の方においては訪問できる職種が限られています。

その職種の中の1つとして作業療法士が位置づけられています。

作業療法士が精神疾患の方の訪問看護ができる基準に関しては、以下のリンクをご参照ください。

 

精神疾患による体重減少・増加、ひきこもりなど案件は多岐にわたります。

看護師でなく、リハビリ職種として作業療法士が介入する役割としては、運動機能面で看護師とは違った角度からの視点があるところです。

看護師・作業療法士が協働して、精神疾患の利用者さんを良い方向に導けるケースは多々あり、理学療法士や言語聴覚士にはできない分野となっています。

 

生活動作に精通している

次に生活動作に精通している点においても作業療法士は、理学療法士や言語聴覚士より秀でています。

どのように生活動作に精通しているかというと、理学療法士は基本動作を主に行うとして、作業療法士は応用動作を得意分野とします。

この応用動作というのは、生活動作に直結する部分であり、日々の生活には欠かせない細かい作業や実用的な動作となります。

訪問看護は、ご自宅での介入が基本となっており、生活の中での困ったことや行いづらいことへの支援を行います。

そう考えると、利用者さんの「困った」に一番寄り添いやすいのは、理学療法士や言語聴覚士でなく作業療法士となります

 

自助具など、日常生活動作の補助の視点に長けている

自助具作成は、作業療法士を志す学生の得意分野と言っても過言ではないです。

それぐらい資格を取得する前から、学校のカリキュラムに組み込まれるくらい必要なものです。

先にも述べたように作業療法士は、細かな作業や実用的な動作などの応用動作を主に行います。

その時に少しの工夫で食事や洗濯・トイレ動作などができる手段として、自助具や福祉用具があります。

福祉用具の選定においては、理学療法士も福祉用具専門員と協働することはありますが、自助具に関しては作業療法士に及ばないことが多いです。

また、自助具には柄の曲がったスプーンや箸の間にバネのついたものなど、様々なものが出ています。

こういった生活面での不足部位に対して作業療法士は、どうすればできるようになるか、身体面ではこの能力が足りないから補助が必要など緻密な部分にまで配慮してくれます

 

まとめ

今回は、訪問看護における作業療法士の役割についてご紹介しました。

ポイントとしては、以下の3点となります。

 

  • 精神疾患に対するリハビリができる
  • 生活機能面に精通している
  • 自助具など日常生活動作の補助の視点に長けている

 

大きな括りでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に変わりはありませんが、それぞれの専門分野を活かすことで、利用者さんに有益な関わりになります

各訪問看護ステーションで、それぞれの専門分野を磨いて協働していくことで、より良い職場となり、利用者さんや相談員さんからの評判は良くなっていきます。

そのためにも、まずは各職種について知ることが重要です。

それぞれを知り、お互いを尊重しあいながら利用者さん1人1人と向き合っていきましょう。

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ABOUT US
H.F理学療法士/ライター
埼玉県で訪問看護ステーションの所長をやっております。 規模拡大できるよう尽力しています。 ライターとしても、駆け出しですが、 知識を深めるためにも頑張っていきます。