訪問看護師歴25年が感じる昔と今で変わったこと5選

 

「これからの訪問看護師の人材育成に悩んでいる」

「訪問看護ステーションの今後について知りたい」

 

このような悩みや疑問を抱いていませんか?

この記事は、このような悩みを解決できる記事です。

 

この記事では下記の内容を知ることができます。

 

この記事でわかること
  • 25年前と現在の訪問看護の違い
  • 25年前の利用者さんと現在の利用者さんの違い
  • 25年前と現在の訪問看護を取り巻く他職種との関わりの違い

 

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

では、早速解説していきますね!

 

訪問看護師歴25年が感じる昔と今で変わったこと5選

25年前と現在で訪問看護において、変化があったことについて5つ紹介します。

 

  1. 訪問看護の大きな流れの変化
  2. 訪問看護技術に関する変化
  3. 訪問看護の利用者さんに関する変化
  4. 訪問看護と他職種との関わりについての変化
  5. 訪問看護で働くスタッフの変化

 

それぞれについて詳しく解説していきます。

 

①訪問看護の大きな流れの変化

1990年代、高齢者人口の増加に伴い生活習慣病などの慢性疾患が増え、その中でも脳血管障害疾患が死因の第1位を占めていました。

医療費支出の増大による社会的課題として医療費の抑制策や在院日数の短縮から在宅での療養へシフトされていきます。

介護保険制度前はすべての福祉(介護)サービスは措置制度でした。

措置制度とは簡単に言えばサービスの開始、廃止は行政の権限で提供するもの。

当然ヘルパーや入浴サービスの利用も措置制度のため希望どおりの利用はできないということです。

2000年4月「介護保険法」が実施。

介護保険制度は、ケアプランのもと必要なサービスを利用者と事業者との契約制度によりできるようになります。

2014年には介護が必要になっても、住み慣れた住まいで生活ができるように訪問看護・リハビリテーション等の医療サービスと介護サービスを総合的に利用できるように地域包括システムづくりを構築していく形に変化します。

 

②訪問看護技術に関する変化

 

ヘルパーや入浴サービスの利用は措置制度のため希望どおりの利用はできないため、介護保険前の訪問看護の依頼目的は清潔援助、入浴介助とリハビリがほとんどでした。

必要な看護技術はベット上で行う洗髪、清拭(石けん清拭)、寝衣交換(和式の寝巻)、バスボードを利用した入浴介助、または2人で抱えて浴槽に入れていました。

リハビリは、寝たきりの方の拘縮予防、食事、排泄動作、移動訓練、これらを生活の中で取り入れることを考え提案する技術が必要としました。

また、デイサービスやショートステイも整っていないので、家族の介護負担の軽減を図り、介護が継続できるようにするための環境調整の工夫をしなければなりません。

しかし福祉事務所は申請するところであって相談するところではないと教えられていたので、社会資源のコーディネートを担うことがありました。

自宅での点滴注射に関して、平成16年度の診療報酬改定において静脈注射(点滴静脈注射)を訪問看護で実施できるようになります。

在宅に特有な「ヒューバー針のポートへのせん刺、抜去」もレベル3として実施できることになり、訪問看護で点滴注射依頼が増えました。(社団法人 全国訪問看護事業協会・財団法人 日本訪問看護振興財団「訪問看護における静脈注射実施に関するガイドライン」より)

そうして特定行為に係る看護師の研修制度の創設につながりました。

現在必要な看護技術は、難病や終末期のケア、心不全、誤嚥性肺炎と嚥下の評価や食支援(栄養評価も含む)といったことでしょうか。

新型コロナウイルスによって、感染対策やPPEの技術も自宅において習得しなくてはいけなくなりました。

 

③訪問看護の利用者さんに関する変化

 


利用者のほとんどは高齢者、病名は脳血管障害の後遺症、糖尿病の合併症、認知症関連による寝たきりCランク。

現在は小児から高齢者、障害者と対象も広がり、がん、心臓病、脳血管疾患、パーキンソン等の難病、これら単独ではなく認知症をかかえての発症であったりします。

また、ケアプランにより寝たきりになってからの介入ではなくなりました。

在宅医療の充実とともに主治医から早期の依頼も多くなってきました。

訪問先も自宅だけではなく、有料老人ホーム、サービス付き住宅高齢者住宅、グループホーム(連携契約・医療)に訪問しています。

 

④訪問看護と他職種との関わりについての変化

訪問看護ステーション開始当初は主治医との指示関係のみです。

その後、行政とのかかわりとして利用者居住の保健所あてに情報提供書(現在もつづく)を提出していました。

この頃は結核や寝たきりの方に保健師も自宅訪問されていたので、保健師が情報提供書を通して連絡があり社会資源のコーディネートをしてもらいました。

介護保険創設以後は、ご存じのとおり自事業所の職員だけではなく、ケアマネージャー、ヘルパー、入浴サービス、福祉用具、デイやショートの職員との密な関わりがケアの質を左右するといえます。

 

⑤訪問看護で働くスタッフの変化

 

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訪問看護ステーションは看護職員のみ(保健師、助産師(医療保険のみ)、看護師、准看護師)を常勤換算で2.5人以上配置となっていました。

介護保険の創設により、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士の必要数の配置ができるようになりました。

 

まとめ

今回は、「訪問看護師歴25年が感じる昔と今で変わったこと」について解説させていただきました。

私が働き始めた頃は、訪問看護の仕事は清潔保持やリハビリを行うもので重度の疾患をかかえての利用者もいなかったように思います。

訪問看護の情報もほとんどありませんでしたが、利用者との信頼関係さえあればあまり困ることもないといった時代でした。

現在の訪問看護は、「地域包括ケアシステム」の構築で訪問看護ステーションはそれを担うというものに変化しています。

看護師個々が自己研鑽するだけの時代は終わりました。

現在必要とされているのは、ICTを利用して効率のよい他職種連携、危機管理や医療安全に配慮できる訪問看護師の育成、そしてこの制度を支える人材確保です。

そのために、このビジケアマガジンをぜひご活用ください。

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