【有料会員セミナーレポート】「ホームホスピスと訪問看護~運営14年の事例からみる開設のイロハ~」(2022.9.16)

利用者数を

Ns上妻

みなさん、こんにちは!

株式会社ビジケアの代表の上妻(コウヅマ)です。

今回は、訪問看護経営者・管理者の方向けのセミナーの紹介をさせていただきます!

ビジケア有料会員約200名(R4年6月現在)登録してくださっており、定期的にイベントを開催しています。

 

 

「ホームホスピスと訪問看護~運営14年の事例からみる開設のイロハ~」
講師:なごみ訪問看護ステーション、神戸なごみの家 代表 松本 京子 氏

 

 

今回は、令和4年9月16日に開催した有料会員向けセミナーのご紹介です。

Ns上妻

まずは講師の紹介です!

 

講師紹介

 

松本 京子/Kyoko  Matsumoto

緩和ケア認定看護師
神戸なごみの家代表

2008年(株)なごみ訪問看護ステーション開設
2015年 著書:なごみの家の7年「看取りの家からとも暮らしの家へ」出版

 

講師プロフィール

1995年阪神淡路大震災後、在宅看護の道へ。
医療法人 訪問看護ステーションやホスピス病棟開設に携わりつつ、緩和ケア認定看護師資格、社会福祉学研究修士課程修了。
現在は、なごみ訪問看護ステーションや、共に支え合うホームホスピス[ホームホスピス神戸なごみの家]、暮らしの保健室3店舗運営。

 

講義内容スタート

松本様は、2008年に訪問看護ステーションを兵庫県に開設し、数年前に他訪問看護ステーションを吸収され、一時期利用者数が約140人程にもなりました。

しかし、利用者数が多くなったことで看護が見えない状態となってしまったそうです。

全体の利用者数が増えたのに在宅看取りが減っていくということが起こり、これは看護の関わりも影響あるのではないのかと松本様は考えられました。

利用者様の看護が見えるようにするために、2年前に利用者数を90~100人の規模縮小に体制を変えられたという事業変化の経緯もお話しくださいました。

現在は会社の代表取締役は息子様に譲り、松本様は訪問看護ステーションの管理者をされておられます。

定年退職も過ぎているため続けるべきか迷われたそうですが、地域のニーズがあったためもう一度管理者に戻る選択をされました。

 

講義は、以下の内容で構成されています。

 

アジェンダ

第一部 ホームホスピス

第二部 ホームホスピスの運営

第三部 これからのホームホスピスに求められること

 

第一部の講義では、ホームホスピスについて詳しく説明していただきました。

松本様は訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、訪問介護ステーション、デイサービス、暮らしの保健室と幅広く様々な事業運営をされており、ホームホスピスも3件運営されています。

松本様の会社の活動理念は、「住み慣れた地域で最期まで自分らしく生きることを支える」。

看取りは結果であって、最期まで生きるために私たちは活動する」ということを発足当初から松本様は常に言い続けておられます。

病棟で末期の方たちを見ながら、関わる専門家によってQOLが問われているなと実感された体験があり、利用者様や入居者様のQOLを高めていくことを大事にしているとお話くださいました。

 

 

数年前までは2025年問題といわれ、高齢者を支えるための地域包括ケアシステムが始まりましたが、今はなぜ地域包括ケアシステムから地域共生社会に変わってきたのか社会の課題についても講義の中では詳しく深ぼって説明していただいています。

 

地域共生社会とは

地域住民同士がお互いを支えあえる社会

住民同士による助け合いを、公的に支援する

 

以下のものは、講義の中で松本様が説明されたものですが、社会の問題は高齢者だけの問題ではなく障害を持った方や子供たちなど社会に取り残されている方たちもたくさんいます。

そのため、地域共生社会というものをもっとつくれるように私たちも意識して活動していかなければならないのではないかなと感じました。

高度経済成長と共に、医療技術が進歩し、医療保険制度が充実したことで、誰でも具合の悪い時に医療の恩恵を受けることができるようになった。それは現代の長寿社会に貢献している。一方で加齢に基づく不具合を抱え、誰かのお世話にならないと生活がままならない人たちを増加させました。

 

人が生きる土台は、医療にあるのではなく日々の暮らしにあります。

松本様は阪神淡路大震災を経験された時に、コミュニティを失い、暮らしを失い、仲間を失った方たちが病気になっていく姿を間近で見てこられたそうです。

暮らしの土台である地域を失うということが健康障害につながるということを身をもってご経験されています。

 

また、松本様は海外のホスピスや訪問看護も体験され、ドイツのAIDSホスピスを見たときに日本のホスピスとあまりにも違うことに驚かれたそうです。

ドイツと日本でなにが違うのかは講義の中で話してくださっています。

松本様は、このドイツの研修を終えて2年半後にホームホスピスを日本に作られました。

 

 

次に、松本様が運営されている神戸なごみの家の活動を写真を共有していただきながら、どんな活動をされているのか詳細に説明していただきました。

ホームホスピスについて皆さんはご存じですか?

私は病院のホスピスについては知っておりますが、ホームホスピスについては今回の講義で初めて知りました。

 

ホームホスピスとは

ホームというのは家としてのホームだけではなく、ホームグラウンド(住み慣れた町、住み慣れた家、馴染みの関係、居場所)含めてホームと考える。ホスピスというのはもてなし、人と人が気持ちよく過ごすための配慮がある。
ホームホスピスは、「家にいるように暮らせるところはないですか?」という家族の言葉によって宮崎で生まれたのが始まりである。

 

また、なごみの家の実績やコロナ禍での活動、ホームホスピスで働くスタッフの取り組みなどについてのご紹介もあり、死生観を育むことは私たち看護師にとって課題だなと思いました。

講義では、なごみの家入居者様の具体的な事例のお話もあり、病院で過ごされた方がホームホスピスに移り住んだ後に驚くほどの変化があった様子を実際に聞かせていただき、その大きな変化に驚きました。

 

 

第二部では、訪問看護師の役割3点について説明があり、在宅療養者の意思決定支援についての事例を含めた説明をしていただき、ホームホスピスの運営についてより深く学ぶことができました。

サロン活動や暮らしの保健室については、ここで詳しくお話しくださり、松本様が運営されている暮らしの保健室が月平均263名の利用者数であることから、松本様が開催されている暮らしの保健室が本当に人気があるのが分かります!

お話を聞いているだけでも賑やかで楽しそうな地域の保健室なので、地域で保健室の活動をされている方にはとても参考になるのではないでしょうか。

 

暮らしの保健室には以下の機能があります。

  1. 暮らしや健康に関する「相談窓口」
  2. 在宅医療や病気予防について「市民との学びの場」
  3. 受け入れられる「安心できる場」
  4. 世代を超えてつながる「交流の場」
  5. 医療や介護・福祉の「連携の場」
  6. 地域ボランティアの「育成の場」

 

松本様はホームホスピスについて、参加者に分かりやすく懇切丁寧に講義してくださり、あっという間に時間が来てしまい、第3部については次回のセミナーで説明してくださることになりました。

今回の講義は、松本様がどういう思いでホームホスピスを立ち上げたのかを知る機会となり、ホームホスピスについての理解が深められ、また新しい発見もあり、とても有意義な時間でした!

 

質問タイム・交流会

講義の後は質疑・応答へと移り、参加者の方から質問が寄せられましたので、その中の一部をご紹介します。

 

Q

約1年前からナーシングホームやホームホスピスを検討しておりまして、賃貸の物件でも看取りの話をすると人が亡くなるというのは困るというので断られることがあるのですが、物件等々の検索という点で注意点があれば教えていただきたいです。

 

A

次回にどういう仕組みがあって、立ち上げるプロセスを歩んでいるかの話をしようと思いますが、物件探しが一番苦労します。最初に立ち上げた人、二番煎じ三番煎じに連れて質が落ちていくというのはよくあることなので、これを防ぎたい。ホームホスピスとして最初の理念を守り抜きたいという思いがあり、商標登録をして研修を企画しています。その中で、家の探し方、どういう物件が良いのかというのも大学の建築学の先生にも理事に入っていただいたり、高齢者住宅に長く関わってこられた方にも加わっていただいて物件探しに協会で協力しながらやっていく・・・・・

参加者の方へ松本様が答えてくださった答え部分が途中になっていますが、とても有益な情報でしたので、続きが気になる方は是非ビジケアの動画でご覧ください!

次回の講義では、物件探しについて詳細に話していただけるということですので、これは必見ですね!

 

 

 

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