訪問看護は利用者の生活の場に入り、医療ケアから家族支援まで幅広い支援を行うため、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。
中には看護師自身ではコントロールできないものもありますが、事前に知っておくことで冷静に対処でき、重大な問題へ発展することを防げます。
この記事では、訪問看護で実際に起こりやすい3つのトラブルと、その対処法を分かりやすく解説します。
目次
訪問看護で起こりやすいトラブルとは?
訪問看護では、病院と異なり看護師が一人で現場に向かうことが多いため、トラブル発生時の判断力が求められます。
特に起こりやすいのは以下の3つです。
1)利用者の急変
2)家族や利用者とのトラブル
3)予定変更や連絡不足による業務上のトラブル
これらを事前に理解し、対応方法を身につけておくことがトラブル予防につながります。
起こりやすいトラブル① 利用者の急変
状況の例
訪問看護では、利用者の状態が突然変化することがあります。
・呼吸状態の悪化
・意識レベルの低下
・発熱・血圧異常
・転倒・骨折
病院と違って看護師が一人のため、現場で落ち着いて対応する判断力が必要です。
対処法
・「迷ったら医師や管理者にすぐ連絡」を徹底
・バイタルサインの観察を丁寧に行い、変化があれば早めに相談
・緊急性が高い場合は迷わず119番通報
・普段から利用者の“いつもと違う”を把握しておく
・訪問前に疾患・リスクを予測して訪問する
急変時は一人で抱え込まず、まずは報告・相談。判断が遅れるほどリスクが増えるため、早めのアクションが大切です。
起こりやすいトラブル② 利用者・家族とのコミュニケーションのトラブル
状況の例
訪問看護は、利用者や家族と密接に関わるため、以下のようなトラブルが発生することがあります。
・希望と看護内容が一致せず不満が生じる
・家族が感情的になる
・指示書内容と要望にギャップがある
・サービス提供の限界への理解不足
コミュニケーションが原因のトラブルは多く、看護師自身が悪くなくても起こりやすいのが特徴です。
対処法
・最初の訪問で「できること・できないこと」を明確にする
・家族の不安やストレスをまず受容し、否定しない
・医師やケアマネと連携し、全員で同じ方向性を共有する
・感情的な状態のときは一旦距離を置き、後日訪問で再調整
・トラブルが起きた時は必ず管理者へ報告
コミュニケーション問題は、トラブルの芽を早めに摘むことが重要です。
起こりやすいトラブル③ 予定変更・連絡不足による業務トラブル
状況の例
訪問看護の現場では、急な予定変更がよくあります。
・利用者の入院
・家族の外出で利用者が不在
・ケアマネからの連絡漏れ
・ステーション間の連携不足
連絡がうまく伝わっていないと、現場で困るだけでなくトラブルに発展する可能性があります。
対処法
・訪問前に必要な情報(入院・外出の有無など)を確認
・ステーション内の情報共有を徹底
・ケアマネへの報告は訪問ごとに行う
・家族には予定変更時は早めの連絡を依頼
・「記録」や「報告」をこまめに行う習慣をつける
予定変更は避けられないこともありますが、情報共有をしっかり行うことで多くのトラブルは防げます。
訪問看護でトラブルを防ぐためにできる5つの予防策
① 訪問前のアセスメントを徹底する
状態・疾患・リスクを事前に把握しておくことで、急変への備えができます。
② 情報共有を日常的に行う
チーム内の連携が強いステーションほど、トラブルは起こりにくいです。
③ 利用者・家族と信頼関係を築く
普段からコミュニケーションを大切にすると、トラブルに発展しにくくなります。
④ できること・できないことを明確にする
あいまいな説明は誤解のもと。初回訪問で伝えておきましょう。
⑤ トラブルが起きたらすぐに管理者へ相談
一人で対応すると、後から責任が大きくなる場合があります。
早期共有がリスク管理の基本です。
まとめ:訪問看護はトラブル予防と冷静な対応が大切
訪問看護では、
・利用者の急変
・家族とのトラブル
・連絡不足による業務トラブル
といった問題が起こりやすいですが、事前に理解しておくことで冷静に対処できます。
一人で訪問するからこそ、
・情報共有
・コミュニケーション
・早めの相談
を大切にすることで、トラブルの多くは未然に防げます。
訪問看護は大変な場面もありますが、対応力が身につき、看護師として大きく成長できる魅力的な仕事です。
安心して働けるよう、トラブルの知識と対処法をしっかり身につけておきましょう。



















