訪問看護は、利用者の生活の場に入ってケアを提供する仕事です。
病院や施設とは異なり、看護師が単独で判断・対応を迫られる場面も多く、「予想外の出来事」に直面することが少なくありません。
実際に働き始めてから、
といったトラブルにぶつかり、不安やストレスを感じる人も多いのが現実です。
しかし、よく起こるトラブルには「パターン」があり、事前に知っておくだけで冷静に対処できるようになります。
この記事では、訪問看護の現場で頻繁に起こる代表的なトラブルと、その具体的な対処法を詳しく解説します。
これから訪問看護に挑戦する方も、今まさに悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護でよくあるトラブル5選とそれぞれの対処法
利用者・家族からの過度な要求やクレーム
訪問看護で非常に多いのが、「契約内容を超えたサービス」を求められるケースです。
例えば、
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訪問時間を延ばしてほしい
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医療行為以外の家事もしてほしい
-
他の家族の相談にも乗ってほしい
-
24時間いつでも電話に出てほしい
といった依頼です。
利用者や家族に悪気があるわけではなく、「困っているからつい頼んでしまう」という背景が多いのですが、すべてに応じてしまうとサービスの公平性が保てなくなり、スタッフの負担も増大します。
対処のポイントは、「できないことをきちんと伝える勇気」を持つことです。
その際は、
「事業所として決まっているルールであること」
「他の制度やサービスで代替できる可能性」
をセットで説明すると納得してもらいやすくなります。
また、個人で抱え込まず、管理者やケアマネジャーに必ず報告し、チームとして対応する姿勢が重要です。
利用者との距離が近くなりすぎる問題
訪問看護は、利用者の自宅というプライベートな空間で関わるため、信頼関係が深まりやすい反面、距離が近くなりすぎることがあります。
例えば、
-
個人的な連絡先を聞かれる
-
勤務時間外の相談を求められる
-
プレゼントや金銭を渡されそうになる
-
特定の看護師を強く希望される
といった状況です。
関係が良好であることは大切ですが、専門職としての境界線を守らなければトラブルにつながります。
一度特別対応をしてしまうと、それが「当たり前」になってしまうからです。
対処としては、
-
連絡は事業所を通す
-
個人的な贈り物は受け取らない
-
訪問はチームで支えていることを説明する
など、ルールを繰り返し丁寧に伝えることが重要です。
最初に線引きをしておくことで、後々の人間関係も円滑になります。
医師やケアマネとの連携不足による混乱
訪問看護は多職種連携の中で成り立っています。
しかし、情報共有がうまくいかないと、
-
指示内容が統一されていない
-
聞いていた話と違う
-
誰が対応するのか不明
といった混乱が起こります。
特に急変時や処置の変更時に情報が伝わっていないと、大きな問題に発展しかねません。
対処法として重要なのは、「記録に残す」「確認する」「共有する」の3つです。
口頭のやり取りだけで済ませず、
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訪問看護計画書
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報告書
-
連絡ノート
-
電話記録
などに必ず形として残す習慣をつけましょう。
不明点があれば遠慮せず確認する姿勢も、専門職としての大切な役割です。
ハラスメントや不適切な言動
残念ながら、訪問看護では利用者や家族からハラスメントを受けるケースもあります。
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体に触れられる
-
容姿についての発言
-
威圧的な態度
-
不必要に長時間引き止められる
など、精神的負担の大きい問題です。
「我慢すればいい」と考える必要はまったくありません。
スタッフの安全が守られてこそ、継続した支援が可能になります。
対応としては、
-
その場で毅然と断る
-
すぐに管理者へ報告
-
複数名訪問へ変更
-
契約の見直し
といった対策を検討します。
事業所として利用者を守るだけでなく、スタッフを守る体制があるかどうかも非常に重要なポイントです。
事故や物品破損などの賠償トラブル
訪問中に、物を壊してしまった、家具に傷をつけてしまった、医療物品を紛失したなどの事故が起こる可能性もあります。
どれだけ注意していても、ゼロにすることはできません。
大切なのは、「隠さないこと」です。
小さなことでも必ずその場で謝罪し、管理者へ報告します。
その後は事業所のルールや保険に基づいて対応します。
自己判断で弁償したり、利用者と個人的に解決しようとするのは絶対に避けましょう。
かえって問題が複雑になる場合があります。
まだまだある!訪問看護でのトラブルを紹介
代表的なもの以外にも、訪問看護の現場にはさまざまな悩みの種があります。
例えば、
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駐車場が確保できない
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ペットがいてケアに集中できない
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感染対策が難しい環境
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家族間の意見が対立している
-
終末期で感情的な場面が増える
など、生活の場ならではの課題です。
これらに共通して言えるのは、「一人で抱え込まないこと」が何より大切だという点です。
訪問看護は単独訪問が基本ですが、決して一人で仕事をしているわけではありません。
管理者、同僚、医師、ケアマネ、ヘルパーなど、多くの職種が関わっています。
困った時にすぐ相談できる環境があるかどうかで、働きやすさは大きく変わります。
また、経験を積むことで予測できることも増え、トラブルを未然に防げるようになります。
新人のうちは、わからなくて当然です。
遠慮なく周囲の力を借りましょう。
まとめ
訪問看護はやりがいが大きく、利用者の人生に深く関われる素晴らしい仕事です。
しかしその一方で、生活の場に入るからこそ発生する特有のトラブルも少なくありません。
今回紹介したように、
-
過度な要求
-
距離感の問題
-
連携不足
-
ハラスメント
-
事故や破損
などは、多くの事業所で経験する可能性があります。
大切なのは、
「自分だけで解決しようとしないこと」
「ルールを守ってチームで対応すること」
です。
事前に知識を持っておけば、いざという時に落ち着いて行動できます。
不安を感じることがあっても、あなたは一人ではありません。
周囲と協力しながら、安心して訪問看護を続けていきましょう。




















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