フィジカルアセスメント 生体侵襲と生体反応⑱

Ns辻本

今回も事例を通して、ケアに必要な侵襲と生体反応の知識について学習しましょう。

 

 

呼吸状態の評価

 

事例

SpO2:90%維持目的で酸素投与し、10L/min以上でDr Callの指示。

酸素マスク5L/min、SpO2:88%。指示通り酸素流量を増量後、92%まで上昇したが低下。BP90/50(55)mmHg、GCS3/4/6。

最終的に10L/minまで増量したが、呼吸状態が改善せずショック状態となり、ICU入室となった。

 

この事例は、SpO2の値だけで呼吸状態を評価しており、また、原因を考えずに酸素投与で問題を先送りにしている状態です。

呼吸状態の中で最も評価すべき項目は、呼吸数です。

見落としがちですが、必ず呼吸数を観察しましょう。

低酸素血症の原因は、肺胞低換気、肺内シャント、死腔換気、換気血流不均衡、拡散障害などがあり、それらを考慮してアセスメントすることが大切です。

 

呼吸状態悪化の対応

 

呼吸数をみる

急変の予兆は、呼吸の異常から始まる場合が多いです。

呼吸回数、呼吸パターン(努力呼吸)をみましょう。

酸素化はP/F比(PaO2/F1O2をみます。

実際に計算してみましょう。

下記の①と②では、どちらのほうが重症でしょうか?

 

SpO2:98% PaO2:90mmHg

 

①酸素マスク F1O2:0.3

この場合は、90÷0.3=300になります。

②呼吸器 F1O2:1.0

この場合は、90÷0.1=90になります。

つまり、②のほうが状態が悪いということになります。

 

SpO2を100%で管理しない

 

 

PaO2は酸素飽和度と連動していますが、酸素飽和度が100%までに対して、PaO2は最大500ほどあります。

PaO2が400から100に下がったとしても、酸素飽和度だけでは気付くことができません。

ICU入室患者では、SaO2を94~98%で管理するようにしています。

 

低酸素血症の原因を探る

 

 

低酸素血症の原因として考えられることを3つ紹介します。

酸素化をみるときは、肺胞が開通し換気ができているか、血流が流れているかをみていきます。

 

肺内シャント

肺内シャントは、血流は流れていますが、肺胞が潰れて換気がなくなっている状態です。

 

換気血流不均衡

換気血流不均衡は、換気と血流のバランスが悪い状態です。

上のイラストでは、左の肺胞は完全には潰れていませんが、肺胞が小さくバランスが悪くなっています。

また、右の血管は細くなり、血流が悪い状態になっています。

換気血流不均衡は、例えば安静臥床が長い場合などに起こります。

下側(背中側)の血流はありますが、背中側の肺は重力で潰れやすく無気肺になりやすいです。

上側(腹部側)は、肺胞は開きやすいですが、重力で血流が少なくなり、アンバランスになります。

 

拡散障害

拡散障害は、肺胞と血管の間の異常になります。

通常であれば、酸素は圧力の勾配で、酸素の圧の低い静脈血に圧力の高い酸素が移動します。

しかし、肺炎や肺水腫では、肺胞と血管の間の間質に炎症や水分が漏出することで酸素の行き来が障害されます。

肺炎の場合は、抗生剤で原因菌を除去し炎症を抑えたり、ひどい場合はステロイドを用います。

 

Ns辻本

このように様々な原因を考慮し、ドレナージやスクイージング、呼吸リハビリなどの排痰ケアを行い、改善されなければ、薬物療法の適用などをチームで考えます。

ひとつの数字だけで対応を考えるのではなく、全身の状態をみて判断することが重要です。

 

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ABOUT US
菅野貴文看護師/ライター
看護師/産業カウンセラー/大学で心理学学士取得後、看護師に。総合病院、訪問看護ステーションを経て精神科専門訪問看護ステーションに勤務。同じく看護師の同性パートナーと切磋琢磨しながら、理想の看護師になれるよう日々精進している。