利用者さんの自宅を訪問してリハビリを行うサービスには、訪問看護からのリハビリと訪問リハビリがあります。
どちらも「リハビリ」という言葉が入っている訪問系のサービスですので、混同しやすいですよね。
今回は、訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違いについて解説します!
目次
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違いとは?
では、訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違いを、5つのポイントに着目して解説していきます!
事業所による違い
まずは、事業所による違いです。
- 訪問看護ステーション
- 病院・診療所
- 病院・診療所
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
訪問看護からのリハビリは、名前の通り、事業所は訪問看護ステーションになります。
開設者は、営利法人が約60%を占めています。
参考)厚生労働省 令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況
一方で、訪問リハビリは、病院や診療所など医療機関が事業所となります。
開設者は病院や診療所が約80%と大きな割合を占めています。
それぞれ人員基準も異なります。
訪問看護ステーションは、看護職員が常勤換算で2.5人以上の配置が必要です。
訪問リハビリは、常勤医師が1名以上であり、必ず医師がいます。
訪問する職種による違い
続いては、訪問する職種による違いです。
厚生労働省では、以下のように定義されています。
疾病または負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。
訪問看護からの理学療法士等による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものである。
居宅要介護者について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション。
訪問看護からのリハビリは、看護業務の一環として位置づけられています。
そのため、看護師や保健師などによるリハビリも含まれます。
また、リハビリ中心の利用者さんは、定期的な看護師の訪問が必要となります。
一方で、訪問リハビリは、リハビリ専門職によるリハビリとなります。
医師の診察は必須ではありませんが、所属する医師の診察により、加算が設けられています。
制度による違い
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリでは、制度が異なります。
それぞれの正しいサービス費の名称は、以下の通りです。
【介護保険】
- 訪問看護Ⅰ5
- 予防訪問看護Ⅰ5
【医療保険】
- 訪問看護基本療養費と訪問看護管理療養費
【介護保険】
- 訪問リハビリテーション費
- 介護予防訪問リハビリテーション費
【医療保険】
- 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料
このように、そもそものサービスの制度が異なります。
続いて、それぞれの単位数および料金をみていきます。
単位数および料金による違い
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリでは、単位数および料金が違います。
【介護保険】
- 訪問看護Ⅰ5(20分):293単位
- 予防訪問看護Ⅰ5(20分):283単位
※週6回まで、1日3回までの制限があり、1日2回を超える場合は10%の減算
【医療保険】
- 訪問看護基本療養費(Ⅰ)理学療法士等 5550円
- 訪問看護管理療養費 月の初日7440円 2日目以降3000円
①②の合計した料金(30分〜90分)
※同一建物居住者以外の場合であり、機能強化型訪問看護管理療養費、加算は除く
【介護保険】
訪問リハビリテーション費、介護予防訪問リハビリテーション費(20分):307単位
※週に6回までの制限があるが、退院(所)直後の3ヶ月間で医師の指示があれば週12回まで可能
【医療保険】
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料1(20分):3000円
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料2(40分):6000円
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料3(60分):9000円
単位数および料金については、訪問リハビリの方が高く設定されていますね。
また、ここで示した単位数および料金は現時点でのものであり、診療報酬改定や介護報酬改定が行われた際には変化する可能性があります。
利用者さんの状態による違い
最後は、利用者さんの状態による違いです。
医療処置が必要な利用者さんが多い
退院(所)から2週間未満の間に訪問リハビリが介入となる利用者さんが多い
訪問看護からのリハビリにおいては、看護師による医療処置が必要な重症な利用者さんが多くいます。
上記の資料から、事業所で対応できない利用者さんの割合は、訪問リハビリの方が高い傾向です。
訪問看護からのリハビリでは、看護師による医療処置と合わせてリハビリを行うことも多いですね。
一方、訪問リハビリの場合、退院(所)から2週間未満の間に訪問リハビリが開始となるのは約7割です。
また退院直後の3ヶ月以内であれば、頻回にリハビリを実施することが可能となります。
医療機関から在宅への移行を、より手厚くリハビリで支援できる仕組みになっていますね。
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違いのまとめ
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違いについて解説しました。
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの主な違いは、下記の通りです。
- 事業所
- 訪問する職種
- 制度
- 単位数および料金
- 利用者さんの状態
どちらも「在宅で行うリハビリ」であり、実施している内容はよく似ています。
ですが、今回紹介したように訪問看護からのリハビリと訪問リハビリでは違いがあります。
これらのポイントを押さえて、利用者さんや主治医、ケアマネジャーからの相談などで活用していただけると幸いです。