訪問看護は、利用者さんのご自宅に基本一人で訪問します。
また、訪問看護は疾患も幅広く、赤ちゃんから高齢の方、難病の方、人工呼吸器を装着しているの方まで様々です。
そのため、訪問看護や在宅看護は、経験を積んでから訪問看護師になった方が良いという意見も聞かれます。
しかし、最近では若い訪問看護師や新人看護師が訪問看護師として活躍している場合もあります。
訪問看護師になるには臨床経験がどれくらい必要なのでしょうか。
現役訪問看護師がお伝えします。
目次
訪問看護になるためには臨床経験がどのくらい必要か
訪問看護の主な業務内容は以下となります。
- バイタルサイン測定、アセスメント
- 排泄ケア(摘便、排便コントロール)
- 清潔ケア
- 導尿
- 膀胱留置カテーテル管理・交換
- ストマケア
- 吸引
- 点滴
- 中心静脈輸液管理
- 人工呼吸器管理
- 酸素管理
- 胃ろう管理
- 褥瘡処置
- 服薬管理
- リハビリテーション
- 医師との連携
- 多職種(ケアマネ、ヘルパー等)連携
臨床経験が長いと、上記の業務は問題なくケアできるかもしれません。
しかし、在宅では病院とは物品が違うこともあります。
環境も病院ではなく、利用者さんのご自宅になります。
そのため、制限があることとも多いです。
どんなに臨床経験が長くても、病院のようなケアができないケースがほとんどです。
訪問看護では、工夫と適応力が必要になります。
その点で苦労する看護師もいます。
臨床経験が短い、あるいは新人看護師の場合では、訪問へ一人で行くことへの不安や、ケアに対する不安がある看護師もいます。
実際、筆者は整形外科の臨床経験4年で訪問看護師になりました。
当時の病棟の師長には、「臨床経験が浅いのに訪問看護師になれるはずがない。」と言われた経験があります。
その当時の師長は看護歴25年以上のベテランでしたが、師長自身が訪問看護の経験がないからこそ不安に思い、上記の発言をしたようです。
では、実際新人看護師を受け入れている訪問看護ステーションの現状をお伝えします。
臨床経験は必須ではない
看護師の求人募集要項に、臨床経験3年以上と目にする事があるかと思います。
しかし、訪問看護ステーションは、臨床経験を問わない場合もあります。
臨床経験が長くても、病院と訪問看護では看護の目的が違います。
病院は治療をするところであり、在宅は生活するところです。
訪問看護では、ご利用者さんの生活に看護師がお邪魔させていただくという視点での介入が大切です。
また、臨床経験がある方が、働く看護師の不安は少し減らせる可能性はあります。
しかし、訪問看護は様々な疾患や、いろいろなケースの利用者さんのご自宅に訪問します。
どんなに臨床経験があっても、初めてのお宅に訪問するのは誰でも緊張するものです。
訪問回数を重ねて、色々なケースに対応し、訪問に慣れていきます。
新人でも訪問看護師になれる
新人看護師を受け入れている訪問看護ステーションは、教育体制がしっかりしているケースが多く、訪問看護でもプリセプターをつけてくれる訪問看護ステーションもあります。
最初から一人で訪問することはなく、初めのうちは全て同行し、訪問看護を知ってもらうことからスタートしていきます。
徐々に利用者さんのケアに介入し、新人看護師が一人での訪問に不安がなくなったら、一人で訪問します。
一人で訪問し、わからないことがあればすぐに報告・連絡し、相談できるように体制を整えると、不安は少なくなってきます。
些細なことでも確認し相談することで、不安が少なくなり自信に繋がってきます。
外部や内部での勉強会に積極的参加がオススメ
外部や内部の病院、看護協会や製薬会社等が勉強会を行っています。
新人看護師の場合、訪問看護では看護技術(点滴や吸引等)を学べる機会があまりありません。
利用者さんや家族が新人看護師への受け入れがよい場合には、新人看護師に点滴や吸引等をさせてもらえることはあります。
しかし、家族が見ている中で、初めての看護技術の実施は緊張するものです。
そのため、看護技術練習の研修も多くあります。
上記記載の看護技術獲得の研修以外にも、訪問看護ステーションには数々の研修のお知らせが来ます。
また、病院やクリニックなどが勉強会を行っているケースもあります。
まとめ
医療は日進月歩であり、経験年数関わらず常に学びが必要です。
そのため、臨床経験が長くても新たに学ぶことも多いです。
そして、学んだ技術をすぐに活かすことが出来るのが訪問看護です。
学んだケアで、利用者さんや家族が救われ、住み慣れたご自宅で安心して利用者さんがご自身のペースで過ごせるようにサポートするのが、私たち訪問看護師の役割です。
2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、高齢化率は30%を超えると言われています。
病院での入院期期間も短くなり、自宅療養される方がますます増えてきます。
在宅療養される方をサポート訪問看護師はまだまだ不足していると言われています。
ブランクがある方、新卒の方でもサポート体制がある訪問看護ステーションであれば、ご自身のペースに合わせた働くことが可能です。
看護師の働き方の選択肢の一つに、ぜひ訪問看護師も検討してみてください。