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「訪問看護ステーションの運営の未来予測 ~”医療計画”を学び、同時改定や第8次医療計画へ備える~」(2022.10.28)
講師:一般社団法人医療振興會 代表理事/認定M&Aアドバイザー 坪田 康佑 氏
今回は、令和4年10月28日に開催した有料会員向けセミナーのご紹介です。
まずは講師の紹介です!
講師紹介
坪田 康佑/Kosuke Tsubota
- 国際医療福祉大学 保険医療学博士課程
- 一般社団法人医療振興會 代表理事
- 訪問看護事業継承ガイドライン検討委員会
- M&Aアドバイザー協会認定M&Aアドバイザー
[著作]
看護管理者のためのコーチング実践ガイド
講師プロフィール
慶応義塾大学看護医療学部1期生
米国Canisius大学M.B.A
NEC社会起業塾/ETIC社会起業塾
無医地区にて診療所や訪問看護ステーションの開業
訪問看護の嫁入り(事業承継)専門家
訪問看護ステーションを開業も、体調を崩したことをきっかけに事業承継。
このきっかけを元に、現在は「訪問看護の嫁入り」として、訪問看護の再編、再生等のアドバイザー業務、事業承継支援を中心に活動を行う。
講義内容スタート
講師である坪田様は、ユニーク看護師やビジネス看護師として色々なところでご活躍されており、SNSやインターネットでご存じの方もおられるのではないでしょうか。
講義は、坪田様の自己紹介から始まりました。
坪田様は、栃木県で「どこでも訪問看護ステーション」を経営されておりましたが、体調を崩されたことをきっかけに法人売却をされたご経験があります。
会社を売却する際に、医療計画を読み込んだことでしっかりストーリーを作ることができ、スムーズに会社を事業承継することができたとご紹介がありました。
坪田様ご自身の実体験をもとに、講義では医療計画を知ることの重要性を分かりやすくひも解いて解説してくださいました。
講義は、以下の内容で構成されています。
第一部:自己紹介
第二部:医療計画とは?
第部三部:医療計画を読んでみよう
第四部:第8次医療計画
2024年は、診療報酬・介護報酬の同時改定があり、また第8次医療計画の開始が予定されています。
医療計画というものをご存じでしょうか?
日本看護協会によると、医療計画を次のように説明しています。
引用)日本看護協会
医療計画とは、医療法(第30条)に基づき、都道府県が、厚生労働大臣の定める基本方針(良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針)に即して、地域の実情に応じた医療提供体制を確保するために策定する計画です。
大雑把にいうと、国のインフラです。
都道府県が責任をもって医療計画を作ることが、医療法第5章第2節で定められています。
医療法によって、各都道府県が立てる医療計画は次のような内容で構成されています。
- 地域の現状
- 地域に必要な医療数
- 必要な医療を提供する取り組み
- 都道府県の目標
医療計画書には、訪問看護のニーズや供給予測などが立てられており、都道府県単位で綺麗にまとめられています。
例えば、近年病院の退院支援担当者の設置が急に増えてきたり、在宅医療関係者会議の開催の増加などは、実は医療計画で推奨があったから起きている状況なのです。
未来予測は経営者の仕事にもなってくるため、医療計画について知っておくと経営がしやすくなると坪田様は教えてくださいました。
実際に、ビジケアの所在地である大阪府を例に挙げて、医療計画の読み方を分かりやすく解説してくださいました。
医療計画を見ることで、在宅医療の現状と課題施策の方向を知ることができます。
未来を見据えて経営していくために必要な情報が、医療計画には載っています。
これは、訪問看護を経営する方にとって必見な内容です!
次に、第8次医療計画について具体的に説明がありました。
第8次医療計画は、2024~2029年の6年間の期間となります。
第8次医療計画開始までの流れとしては、次の通りです。
2022年 検討会
2022年年度末 厚生労働省通知
2023年 各都道府県計画策定していく
2024年 第8次医療計画開始
この第8次医療計画の中で、「在宅医療」はかなり重要視されていると、坪田様は話されます。
訪問看護の必要量について、資料を共有していただき、グラフや地図を見ながら次のような内容を解説してくださいました。
- 訪問看護の利用率
- 2025年以降の後期高齢者の割合
- 訪問看護の利用者数のピークの見込み
小規模訪問看護ステーションは管理コストや開設コストが高すぎるため、効率が悪いとの指摘もあります。
いかに、どの地域にどう大規模化していくのか、また撤退時期を地図を見ながら考えていくことの重要性も講義の中で学ぶことができました。
7人以下の訪問看護ステーションは、夜間オンコールも多くなってきてつぶれるリスクも大変高く、国の大きな流れとしては大規模化していかないといけない流れとなっています。
医療計画から、色々なことが読み解けますね!
後半には、坪田様から会員様の中で医療計画について資料が欲しい方に資料を提供してくださるというプレゼントもありました。
このほかにも、人数限定で会員様の経営地域の医療計画を一緒に読み込んでくださるという企画も用意してくださっており、訪問看護を経営する方にとってはとても得るものが多い講義になったのではないでしょうか!
また、坪田様が立ち上げた日本男性看護師会で政策提案の要望書を提出されている活動などについても詳しくお話していただきました。
こういう活動があるんだということを初めて知り、新たに知見を得ることができました。
最後に、坪田様は「訪問看護は経営し始めたら不老不死ではないので、必ず誰かに引き継ぐ時代が来る。出口を意識して経営されるといいのではないか。事業承継のガイドラインも読んでもらえると嬉しい。」と話され、講義は終了しました。
質問タイム・交流会
講義の後は質疑・応答へと移り、参加者してくださった方からの質問が寄せられましたので、その中の一部をご紹介します。
災害に強いステーションや災害対策はないのでしょうか?
医療計画の中に、災害に強いステーションを目指していくという方針はなかったのでしょうか?
医療計画で災害医療という位置づけで立ててはありますが、まだ訪問看護ステーションに関しては医療計画の中にあまり取り上げられていないです。
ただ、感染症の対策をしていくにあたって訪問看護が今回とても良い機能してきました。
今回のコロナで、訪問看護の可能性に対して世の中がより注力しきています。
災害の場合に訪問看護でできる役割はたくさんあります。
しかし、今のところ医療計画の中には載っていないです。
今回の講義では、医療計画の読み込み方を詳しく具体的に解説していただき、とても勉強になりました。
訪問看護の先を見据え経営していくという意味でも、とても重要な内容だったと思います。
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