このように感じている訪問看護師も多いのではないでしょうか?
実際に精神科訪問看護で働いていると、利用者さんから拒否されることがあります。
私もたくさん拒否をされ、悩んだ経験は数知れません。
今回は、精神科訪問看護師として働いている私が、拒否をする方との関わりのコツを4つ紹介します。
実際に私が行ってみてうまくいった方法ですので、訪問看護で拒否されるのが不安な人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
精神科訪問看護における拒否は2種類に大別される
まず、精神科訪問看護における拒否には、どのようなものがあるのかを知っておきましょう。
利用者さんの拒否は、その内容によって主に2種類に大別されます。
「対応困難な拒否」と「対応可能な拒否」です。
それぞれについて解説します。
対応困難な拒否
対応困難な拒否とは、以下のようなものです。
- 受け入れ拒否が強く自宅にあがらせてもらえない
- こちらの問いかけに一切返答がない
このような拒否は稀にではありますが、起こります。
ここまで拒否が強いと、関係構築にはかなりの時間を要し、利用者さん・看護師双方にとって大きなストレスとなってしまいます。
そのため、無理に関係をつくろうとするよりも、担当を外してもらい距離をおくのが無難です。
対応可能な拒否
一方で対応可能な拒否とは、以下のようなものです。
- 返事がそっけない
- 会話が弾まない
- 視線が合わない
- 横柄な態度をとられる
- 本心を語ってくれない
こういった場合、拒否をされてはいるものの、こちらの対応しだいで関係が良くなる可能性があります。
ただし精神疾患を抱える利用者さんは、看護師のふとした態度で「対応困難な拒否」になってしまうケースも多々あるため、注意深く関わりましょう。
精神科訪問看護で拒否する方への関わり方のコツ4選
先述したように、拒否には2種類あります。
対応困難な拒否になってしまった場合は、関係性の構築はあまり期待できません。
ここからは「対応可能な拒否」における関わり方のコツを4つ紹介します。
- 精神症状を把握する
- 自分から心を開く
- 気さくな人として接して警戒心を解く
- 本人の興味・関心のあることを一緒に行う
私が実際に行ってみて有効だと感じた方法です。
それでは、順番に解説していきます。
精神症状を把握する
精神疾患を抱える利用者さんは、症状が悪化して幻聴や妄想などが現れてくると、攻撃性を示すことがあります。
このような場合、訪問看護師が話しかけても聞き入れてもらえないかもしれません。
そのため、まずは利用者さんの精神症状を把握しましょう。
- 服薬は規則的で飲み忘れがないか
- 部屋に物が散乱していないか
- 夜は眠れているか
- どのような幻聴や妄想があるのか
主に上記の内容を把握し、どのような精神症状であるかをアセスメントすることが大切です。
アセスメントの際に利用者さんの発言を否定してしまうと、攻撃性が出てくる場合がありますので、否定せず、傾聴の姿勢を大切にしましょう。
自分から心を開く
拒否傾向にある利用者さんには、訪問看護師が自分から心を開くことが大切です。
こちらが先に心を開くことで、警戒心をもっていても安心感を与えやすくなるからです。
相手は自分の態度を反映する「写し鏡」のような存在といえます。
看護師から緊張感や警戒心が伝わってしまうと、利用者さんも同様に感じ、ますます距離をおかれてしまう可能性があります。
そのため、たとえば相手の様子を見ながら自己紹介したり「あなたに興味があります」とアピールしたりするとよいでしょう。
こういった関わりにより、利用者さんの受け入れが少しずつ良くなっていきます。
まずは訪問看護師の方から心を開き、少しずつ距離を縮めていきましょう。
気さくな人として接して警戒心を解く
スムーズに支援が始められるように、警戒心を解くように努めましょう。
拒否的な利用者さんは、以下のような気持ちになっている場合があります。
- 自分は病気ではない
- 看護なんて不要だ
- 訪問看護師が来て、自分は何をされるのだろう
警戒心を解くためには、次のような声かけが有効です。
「訪問看護」という医療的な立ち位置から話すと警戒心を強めてしまうため、「話を聞いてくれる気さくな人」というイメージで関わりましょう。
警戒心が解けると、利用者さんも徐々に悩みごとを話してくれるようになりますので、ぜひ試してみてください。
本人の興味・関心のあることを一緒に行う
本人の興味・関心のあることを一緒に行うと、不快な思いをせずに支援できることが多いと感じています。
私の経験談を紹介します。
受け入れが悪く、訪問時にかなりそっけない態度を示す利用者さんがいました。
なかなか話も聞き出せず、どのように対応したらよいか、悩む日々でした。
しかし根気強く話を聞く中で、利用者さんの好きな活動に、アプリゲームや将棋があるということを聞き出せたのです。
さっそく「一緒にやりましょう!」と声をかけ、訪問時はゲームと将棋を定期的にするようになりました。
このように思う人もいるかもしれません。
しかし、まずは関係性をつくれなければ、利用者さんの目標や考えを知ることはできません。
しばらく続けていると利用者さんの笑顔が増え、「もう帰るんですか?」と言ってくれるほど、良い関係性になったのです。
ささいなことでも利用者さんとのきっかけを見つけ、そこから話を広げたり、活動に結びつけていったりすると、少しずつ心を開いてくれる可能性があるという経験談でした。
まとめ
今回は精神科訪問看護で拒否をする方への関わり方4選を紹介しました。
- 精神症状を把握する
- 自分から心を開く
- 気さくな人として接して警戒心を解く
- 本人の興味・関心のあることを一緒に行う
私の経験では、これら4つの方法がうまくいきました。
しかし、すべての利用者さんに当てはまるとは限りません。
「その方にとって正しいか正しくないか」は、それぞれ異なります。
ただしひとつ言えるのは、拒否をされてもあきらめずに関われば、気持ちは利用者さんに伝わり、関係性が良くなるケースもあるということです。
本記事が、訪問看護で拒否をされて困っている人の参考になれば幸いです。
精神科訪問看護では拒否が多いと聞くけど、どのように対応すればいいのだろう。利用者さんに拒否されるのは嫌だな。