訪問看護の研修である訪問看護師養成講習会について解説します

訪問看護師養成講習会はご存じでしょうか?

今回、訪問看護歴25年の私が受講した訪問看護師養成講習会について、25年前の講習内容と現在の状況を比較して記事を書かせていただきました。

当時勉強したノートを読み起こしながら今も役に立っている事、当時は必要だったのに今は必要ない看護技術などを紹介したいと思います。

訪問看護の研修を検討されている方のお役に立てると幸いです。

 

訪問看護の研修である訪問看護師養成講習会とは?

 

「老人保健法」(1982年)が開始、同法改正(1992年)老人訪問看護ステーションから訪問看護がスタートしました。

1994年には健康保険法の一部改正により老人以外の在宅療養者へも訪問看護が提供できるようになりました。

在宅ケアにおける看護の充実のために看護協会は未就業の看護師等を対象に「訪問看護師養成講習会(120時間のプログラム)」を開催して訪問看護師を養成しました。

1997年度から看護師養成の基礎カリキュラムに在宅看護論が採用され、30歳代以下の看護師は在宅看護を学習しています。

在宅看護論は生活の場である地域で小児から高齢者まで全てのライフステージ期の人々や人工呼吸器装着などの医療依存度の高い人々、難病・障害を持つ人々、さらには人生の最終段階を在宅で過ごすことを希望する人々を対象に展開される看護の専門分野として設けられたようです。

私のように介護保険施行される2000年以前に看護教育を終えているものは、病院中心の看護教育であり、在宅ケアにおける看護についてあらためて養成する必要があったようです。

訪問看護師養成講習会は集合研修のみだったので、約30日程度通いました。

そのため、働きながら研修に参加することは難しく、当時職場の上司に相談しましたが、理解は得られず退職し受講することにしました。

現在も訪問看護師養成講習会は継続されています。

過半数の都道府県看護協会は、通学しなくても学習可能なeラーニングシステムを採用し、訪問看護に興味をもっている看護師や現役の訪問看護師を対象にされています。

 

訪問看護師養成講習会の学習内容とは?

平成29年度版の訪問看護eラーニングの学習内容は全6章に分かれていました。

私が平成9年に受講した内容をもとに時代を反映されているように思いました。

訪問看護概論では、看護師も開業できる時代へと変わっており、活気的なことと教えられます。

学習内容例
講義
・コミュニケーション技術
・カウンセリング技術
・面接技術
・訪問看護と法律
・ケアマネージメント理論と実際
・アセスメントとケアプラン

見学および実習
・住居改善について
・福祉機器の見学
・リハビリテーションの実際
・家庭看護の実際

見学や実習は総合病院や介護実習センターで行われ、ケアマネジャー業務に含まれるようなことまで学習していました。

 

今となっては必要なくなりつつある看護技術

 

家庭看護の実際では、介護保険以前のためベットではなく布団を想定していました。

段ボールを三角にして背もたれをつくり座位を保つ方法、入浴サービスもほとんど利用できないため石鹸清拭、洗髪は新聞紙、ビニール袋とバスタオルでケリーパット(洗髪する道具)を作成しやかんにお湯を入れて行う方法を教えていただきました。

また、和式の寝巻の更衣の仕方も教わりました。

25年たった今ではほとんど行うことはほとんどありません。

みなさんの事業所でも同じではないでしょうか?

当時の私のノートにはベクトルの法則、慣性モメント、トルクの法則、てこの原理で看護を行うことと書いてありました。

家庭にあるもので工夫するためにはこれらの知識から工夫しましょうという事ですね。

自分で書いたノートですが、改めて看護技術に必要なことだったんだと思いました。

 

訪問看護ステーションの運営について(平成9年当時)


事業所モデル
・1ステーションあたり50人の利用者
・利用者 1人月6回から8回
・1回平均約60分
・対象 寝たきりCランク
・病名 脳血管障害
・指示書の内容 リハビリテーション 病状観察 褥瘡処置

このように示されていました。

訪問看護養成講習会では、リハビリテーションについてはしっかり実習しました。

まだ訪問看護にはセラピストは在籍しておらず、看護師がリハビリを行っておりました。

訪問看護で行うリハビリは今でいう作業療法士が行う食事、排泄、入浴、移動、外出、趣味を生活の中にどうしていくかといったことが中心でした。

またエアーマットの普及も少なかったため、医療処置は褥瘡の処置が主でした。

 

現在、ステーションは大規模化推進とされており、対象も高齢者から小児、難病、ターミナルと対象もひろがり、リハビリはセラピストに依頼することが多くなりました。

褥瘡は在宅で治癒できるようになりました。

 

訪問看護の心得とは(平成9年当時)

訪問看護の心得

・看護を売る職業(診療補助ではない)
・法的も心構えて質の保障
・自己で責任とる
・利用者の負担にならないようにする
・家族はねぎらうことが大事
・訪問看護は点、点からいかにコーディネートする

当時、看護師は病院や施設で働くことが主でした。

病院での業務は診療補助が中心になりがちで、看護を売る職業と言われできるだろうか?と不安になった気がします。

そして私は訪問看護の世界に飛び込んでいくことになりました。

ここで学んだ安全管理、危機管理は今も昔も変わらないと思います。

 

まとめ

 

今回は25年前に私が訪問看護師養成講習会で学んだ要点をまとめてみました。

今回の記事を書かせていただき、25年前に学習したノートを探し出し、当時の自分が勉強した内容を復習することができました。

また看護師もリハビリテーションの視点は必要と思いますし、この時はじめて習った呼吸リハビリは前後のケアにもつながる技術だと感じています。

また、eラーニングとはちがい現場で学ぶことで私の訪問看護の原点となりました。

過去は今をつくり、今は未来をつくっていると感じます。

最後まで読んでいただいたみなさんにも少しでもプラスになることがあると幸いです。

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