訪問看護におけるリハビリを導入する3つのメリット

リハビリを行う場は、「病院に入院して行うもの(急性期・回復期・維持期)」「病院に通院(外来)・通所(デイサービス・デイケア)にて行うもの」「ご自宅で行うもの(訪問)」と大きく分けて3つあります。

この中で、訪問でのリハビリにおいては、「訪問リハビリ」「訪問看護でのリハビリ」の2種類があります。

同じようで違う2種類ですが、病院や診療所・老人保健施設からの訪問の場合は訪問リハビリと言い、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下PT・OT・ST)がリハビリを実施します。

訪問看護事業所からの訪問は、あくまで看護業務の一環として、PT・OT・STが訪問するというスタンスになっているため、看護師がリハビリをすることもあります。

しかし、専門性を求められる観点から、基本的には訪問看護でのリハビリでは、PT・OT・STが訪問を実施しています。

訪問リハビリと訪問看護でのリハビリでは、在宅での日常生活動作の維持・向上を図る点で同じですが、訪問看護でリハビリを導入するメリットを3つご紹介します

ソース画像を表示

各疾患における病態の理解を看護師とリハビリ職で共有して支援できる

訪問看護でリハビリを実施するにあたり、以下の2パターンがあります。

①定期的な看護師訪問がある

②最低3か月に1回の頻度での看護師のアセスメント訪問がある

 

①定期的な看護師訪問がある場合

毎週の状態を確認しながらリハビリを行なうことができ、リスク管理の観点で、とても意義があると思います。

心疾患・呼吸器疾患・中枢疾患など、リスクが高い利用者さんにおいては、リハビリ職も看護知識を持ち合わせていますが、看護師の方が精通している場合が多いです。

具体的には、「普段と雰囲気が違う」「浮腫が増悪している」「呼吸数が増えている」など、細かな変化においても、リハビリ職は看護師に相談し、状況によっては、かかりつけ医につなげることもあります。

また、リハビリ介入時に利用者さんの状態変化や看護師が介入のたびに確認している、服薬状況や排便状況、睡眠状況など、看護師訪問にプラスした目が入ることにおいても有意義です。

 

②最低3か月に1回の頻度での看護師のアセスメント訪問の場合

2018年の介護報酬改定にて、訪問看護におけるリハビリスタッフの訪問において、看護師の訪問が最低3か月に1回は必要になりました。

何かしらの理由があり訪問看護を利用しているので、状態が落ち着いている人においても医学的な目は必要になります。

それとともに低頻度での看護訪問により、前回の状態との変化を感じやすく、機能・能力の向上が目にとるようにわかることもあります。

逆に悪い方向での状態変化も感じやすいため、病気の進行や早期発見をみつけやすいメリットもあります。

①、②で挙げたように訪問看護でリハビリを実施することは、定期的な看護師の目が増えることで、利用者さんも安心してサービスを導入しやすくなります。
ソース画像を表示

看護師が支援している日常生活動作の改善につなげやすい

看護師の訪問において、日常生活動作の一部を補助するための訪問があります。

例えば、入浴介助や摘便・浣腸での排便コントロール、食事介助などがあります。

これらの日常生活動作において、リハビリの介入ができることで、利用者さんが楽に動作をすることができたり、介助者の負担を軽減できる可能性があります。

具体的な例としては、以下のようなものがあります。

 

①入浴介助の場合

浴槽の跨ぎ動作において、股関節や膝関節の可動域の低下や下肢筋力の低下をしている方が、手すりを使用してもうまく跨げずに介助を要する。

この場合、病状的に難しい場合は福祉用具の利用を検討しますが、自宅でのリハビリ介入により、可動域や筋力の改善、動作手順を検討して代替手段を練習するなどして、動作獲得ができる。

 

②排便コントロールの場合

腸の蠕動運動が不良の方に対する腹部リラクセーション、腹圧を上げるための腹筋群トレーニングなど、身体的なアプローチによる改善する。

また、寝返りに介助を要する方や下肢の可動域が低下している方に対して、少しでも自力での寝返りが出来たり、下肢の可動域の改善により、介助者の負担軽減につなげられる。

 

③食事介助の場合

食事には、さまざまなフェーズがあり、姿勢調整、嚥下練習、上肢の機能練習により、利用者さんがご自身で食事を摂れるようになる。

このようにリハビリ職の専門的視点により、利用者さん・介助者が、より動作を行いやすくなるように支援することができます
ご自宅で、なるべく長く安全・安楽な生活を送れるようになることが、訪問のやりがいであり、利用者さんの望みであると思います。
ソース画像を表示

難病・終末期の方の身体的支援ができる

訪問看護と言えば、ご自宅での看取りや難病の方がご自宅で生活していく手助けをすることは、存在意義として大きいと思います。

残された余生を安楽に過ごせるようにする支援として、リハビリ職も力になれます。

 

ガンの末期で、痛みと闘いながら生活している方に対しては、筋肉を愛護的に解したり、関節の動きを大きく動かしたりすることで、少しでも痛みが和らぐという方は多いです。

転移の状態によっては、行えないこともありますが、往診医に相談しながら進めていく必要があります。

機能解剖学の専門家として、リスク管理をしながら、できることを見つけて、利用者さんの希望に沿うよう支援することで、精神的支えとなるケースも多くあります。

 

また、難病の方に対しては、福祉用具を多く活用しながら、ご自身でできることを増やしたり、補助具の提案により、なるべく手を借りずに生活ができるように支援することもあります。

リハビリは機能・能力を向上させることだけでなく、維持させることも重要な役割となっています。

進行性の難病の方に対しては、現状がどうなのか、今後どう進んでいきそうか、などを考えながら、利用者さんとのコミュニケーションを密にとり、関わっていく必要があります。

 

上記のように看取りや難病の方のリハビリは、精神的支えになり、先が短い方に対して、少しでも元気づけることができる職種の1つだと思います。
ソース画像を表示

まとめ

今回は、訪問看護でのリハビリを導入する3つのメリットをご紹介しました。

①各疾患における病態の理解を看護師とリハビリ職で共有して支援できる

②看護師が支援している日常生活動作の改善につなげやすい

③難病・終末期の方の身体的支援ができる

この3点から、在宅における訪問看護事業所がリハビリを行なうことで、利用者さんの利益になります。

 

最後に

リハビリ職の人数は年々増えていますが、在宅での就職を志す方は多くないのが現状です。

その理由として、病院と違い利用者さんとご自宅で1対1の状況で「何かあったらどうしよう、責任が持てない」と不安を抱えているとの声を何度か聞いたことがあります。

看護師という身体の状況把握に長けたスタッフがいる訪問看護事業所は、緊急時の対応にも慣れ、フォロー体制がしっかりしているので、とても心強いです。

是非、訪問看護でのリハビリを盛り上げていきましょう。

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
H.F理学療法士/ライター
埼玉県で訪問看護ステーションの所長をやっております。 規模拡大できるよう尽力しています。 ライターとしても、駆け出しですが、 知識を深めるためにも頑張っていきます。